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今さらながら「プロジェクトX」
最近、火曜の21時からBSプレミアムで、
「プロジェクトX 挑戦者たち 4Kリストア版」
が放送されている。
NHK総合で、2000年から2005年まで放送され、大人気だったドキュメンタリー番組だ。録画して、時々、見ている。
最近、こんな投稿を見かけた。
プロジェクトXなどを見てると不可能を可能にするようなリーダーが出てきますが、あんなものは一種のファンタジーで真似しない方がいい。連戦連勝のナポレオンの強さの秘密についてプロイセンの軍事学者、クラウゼヴィッツは「確実に勝てる戦いしかやらなかった」と分析してます。地味なものですよ。
— 山口周 (@shu_yamaguchi) June 18, 2022
番組がもてはやされていた当時は、目につかなかったが、番組が終了した後、
あれはプロジェクトマネジメントの失敗事例だ!
プロジェクトとしての再現性がないお手本にならない!!
といった厳しい意見が目につくようになった。
論調としては、以前からよく見たもので目新しいものではないが、最近、放送を見ていたので、つい目に留まった。
徹夜続きの製品開発、経営層からの叱責、顧客からのクレーム、内緒のプロジェクト、…
真似しちゃいけないと言われるのも仕方ない状況ばかりだ。
しかし、当時のメンバーが、過ぎた昔のこととはいえ、誇らしく笑顔で語る姿を見て、どこか憧れもする。
あの笑顔は「こういう顔してください」という指示ではできない。
と思う一方、普段の仕事でインタビューしたり、インタビューを切り取った動画の作成することがあるので、
相手に
「もうちょっと深刻そうに」
といった表情に対するはするだろうし、楽しい話のあとに、
「参画できたことは誇らしいですか?」
とでも質問すれば、笑顔でメンバーのことを語ってくれるかもしれない。
そうした裏側の想像をできるくらいには、嫌な大人になってしまった。
でも、自分の仕事が、多くの人に認められ、それが社会に大きな反響を起こし、市場を作ることができれば、その経験は、誇らしいだろう。
俺もそうした経験は欲しい。
大きな山を当てた経験は、成長していく日本にはたくさんあったろうし、それが経験できる機会があったことがもうらやましく感じる。
自分にとっての「プロジェクトX」、人生の勲章は欲しいとは思う。
しかし、確かに、無茶なプロジェクトが多いので、その裏で、心や体を病んだ人もいたことを考えるなら、これから参画したいとも正直思えない。
「プロジェクトX」で紹介されたプロジェクトは、社会に横たわる長年の課題があって、想いがある人がいる。そして、長い時間といくつものラッキーに助けられた後、問題が解消され、市場が作られ、多くの人に幸せが訪れる様子を見ると胸がスッとする。
失敗プロジェクトかもしれないが、番組は見続けるなぁ。
そうそう先ほどのツイートの引用RTにこんなのもあった。
「生存率1%の奇跡」だからこそ映画やドラマになるので、真似したら死ぬ… マネすべきは、企画会議で「ドラマ性がない」とか「身も蓋もない」ってボツになる事例のほう https://t.co/IEbYmi8hGu
— 深津 貴之 / THE GUILD / note.com (@fladdict) June 18, 2022
そうそう、よくできたドラマなのである。
思いかある人がいて、
出会いがあって、
偶然のひらめきで突破する。
ロマンだなぁ…
実際には、物語ですら、ロマンだけで駆動することを許してくれない。
『ワンピース』をはじめとした少年マンガでさえ、ロマン駆動のように見せかけて、実は主人公やその仲間が優秀な血統で、隠された恵まれた環境や能力に支えられていることがほとんどだ。
ありえない偶発的な出会いの繰り返しより、優れた血統にしたほうが物語に説得力が出てしまう。
現実にあった、ありえない事例のほうがより物語としては優秀だ。
今晩も酒の肴にどこかのプロジェクトに参画してみようかな。
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