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鹿児島は昼もすばらしい!

出張で鹿児島に来ている。
前日飲み過ぎたせいか、喉に違和感を覚えて、8時半に起床。

勝手に9時半までと思っていた朝食は、フロントにもらった朝食ビュッフェのチケットを見ると9時までとなっている。

昨晩、シャワーも浴びずに寝てしまったけれど、シャワーも浴びないままに着替えて、ホテル一階のレストランに移動。

看板メニューの黒豚しゃぶしゃぶは二口分くらいお湯に潜らせて、皿にべちゃっと盛り、あとは、ご飯と味噌汁。名産品の漬け物が多く、それをちょっとずつ小皿に盛る。昼は、がっつり食う予定なので、まぁちょっと腹の虫を鎮める程度でいいと負け惜しみ。

焦っていたので朝食の写真はなし。

食事を楽しむ間もなく、ご飯をかきこむ。最後、カップにコーヒーを注ぎ、飲み終わったところで8時55分。こんな時にもコーヒーはおいしいと思う。

シャワーを浴びて、昨日の鹿児島の夜のnoteを書いて、支度して、チェックアウトは11時少し前。

昨日、友人に評判がいいとんかつ屋を聞いていたので、昼食は、決めている。ホテルに荷物を預けて、ホテル出た後は、お店の開店時間まで、天文館をぶらつく。途中「しろくま」で有名な「むじゃき」を見つける。

再訪を誓い、とんかつ屋に向かっていたところ、昨日別れた同僚とばったり。彼女は、ラーメンを食いに行くと言う。昨日、友人に教えてもらったばかりの鹿児島のラーメンの種類(こってり、お湯のようなさっぱり、など)について知識をひけらかす。

同僚と別れ、とんかつ屋に移動。店が開くのは11時半だが、評判がいいと聞いていたので、開店15分前に店の前に到着。すでに10人くらいが並んでいる。しばらく待って店に入る。ランチメニューもあったのに、つい欲張って「上ロースカツ定食」(2,500円)を注文。

朝と違って昼はゆっくりと食べる。とんかつを食べるのがひさしぶりだ。ロースなので、油の部分が多くはあるが、決して嫌な油じゃない。衣はさくさく。食べ応えはないはずがない。店を出る時には、もうお腹が苦しい。

県立博物館に行くか、先に市立美術館に行くか、と考えながら歩いていると、公園を抜けたところの案内板に「西郷洞窟」なる文字を発見。

西南戦争で敗戦濃厚な時に、別府晋介らといたところだ。ちょっと行ってみたくなって、左手に目を先に向けると西郷さんの像が見えてくる。と、カメラを西郷さんに向けている同僚を発見。

同僚に話しかけ、一言二言、話をしていたところ、地元のボランティアのジャンパーを着たおじさんに「一緒に」と言われ、私のスマホで西郷さんを背景にして写真を撮られる。カップルでもないから一緒に撮る必要もないのだけれど。同僚に写真を共有したら、スマホから消そう。

再び、同僚と別れ、鹿児島県立博物館に行く。動物の骨格標本や、来週行く予定の沖縄と鹿児島の生態系、植物、動物分布を見る。

床に描いてある図を撮りたいなと思って、スタッフの方に「床の写真撮っていいですか?」と聞いたら、「どうぞどうぞ。館内はどこも写真OKです。一階の水槽はフラッシュNGですけど。どこでも撮ってください」とおっしゃる。

博物館は、一通り、軽めに回って、外に出る。次は市立美術館に行こうと思ったが、もし市立美術館が気に入って、長時間滞在してしまって、暗くなってしまうと困るので、先に西郷洞窟に向かう(西日本の日没は早い)。

この辺りは旧跡が多い。歩いていて案内板を見ていると、地元のお兄さん(といっても同年代か、ちょっと下)にこの石が銃弾跡ですよ、と教えてくれる。

西南戦争で苦しむ西郷さんは、過去、数々のドラマで何度も見てるが、頭の中の西郷さんは常に大河ドラマ『翔ぶが如く』(1990年放送)の西田敏行だ。西田敏行さんが苦しむ表情を思い出す。

西郷洞窟に向かう途中、
「しんどん、もうここらでよか」
と言って、切腹した西郷さんの最後の地があった。西郷さん(西田敏行)の切腹シーンを思い出す。

墓ではないが、終焉の地にあった石碑に手を合わせざるを得ない。

その後10分くらい歩いて、西郷洞窟へ。

ここで最後の時を待ったんだな。苦しむ西田敏行が浮かぶ。西郷洞窟の前には、「最Go kids 保育園」。

右手に桜島の噴火を見ながら、来た道を戻る。

途中、行くときには気づかなかった私学校跡があった。桐野利秋(中村半次郎)が真っ当であれば、もっとしっかりしていれば、西郷さんを巻き込むこともなかったかもしれないが、ことは簡単ではなかったんだなと、またも、苦しむ西田敏行の顔を浮かべる。

そして、市立美術館へ。ここは楽しみにしていた。

常設展には、有名どころの画家、彫刻家の作品が時代を問わず1点、2点、展示されている。

ピカソ、藤田嗣治、シャガール、モネ、セザンヌ、ヘンリー・ムーア、マチス、カンディンスキー、ダリ、…

気にいったのは、エルンストの「石化せる森」、キスリングの「赤い服の女」、シャガールの「赤い馬と太陽」、藤田嗣治「座る女性と猫」、ヘンリー・ムーアの「三つの個体からなる臥像(1975)」、デュビュッフェの「都会脱出」、ジム・ダインの「冬の9つの情景Ⅵ」。

特に気に入ったのは、デュフィ「ベルト・レイズの肖像」とマチスの「窓辺の婦人」。今までいいと感じたことがなかったが、この淡い色合いが好きになってしまい、絵はがきを購入。

企画展は「広重vs五葉 甦る浮世絵風景版画の傑作~復刻 『保永堂版 東海道五十三次』」

橋口五葉(1881~1921)は、鹿児島出身。大正期に江戸期の錦絵(多色摺り木版画)の技法を用いて優れた美人画を制作したことから「大正の歌麿」と称された浮世絵研究者。

五葉が編集した図版には、初版刷りだけじゃなかったそうで、展示にも後版(変わり図)と二つ並んでいて、楽しめた。だいたい前の版のほうがいいな、と個人としては思ったけれど、変わり図は広重自身が変えたものもあったそう。どういう意図で変えたのだろう。

「日坂 佐夜の中山」「白須賀 汐水阪図」「蒲原 夜の雪」「宮 熱田神事」の構図が好きだ。その他、「四日市 三重川」の右の男がイケメンすぎる。「庄野 白雨」の真ん中の男の背中もいい。

市立美術館を出て、15時半過ぎ。まだまだ見て回れるぞ、ということで近所の「かごしま近代文学館」へ移動。

鹿児島ゆかりの作家の直筆原稿、書などの展示が並ぶ。展示には、以前、ほぼ日の学校の授業で知った島尾敏雄さんもいて、島尾さんのコーナーには、他の作家さんよりも少し長めにいさせてもらった。

企画展は向田邦子さん。

子どもの頃に鹿児島に住まわれていたので、彼女もゆかりの作家となる。彼女の直筆原稿も多かったが、自身の原稿の朗読音源や留守番電話の音源があって、彼女の文章を読む時とは違った感触で、向田邦子さんに近づけた気がした。彼女には、もっともっと作品を残してほしかった。

県立博物館→西郷さん終焉の地→西郷洞窟→市立美術館と回って、さすがにあまり時間が残っていなかったので、展示はほどほどに、文章がパネル等で展示してあれば、なるべく声に出して読んでまわった。

駆け足で見て、そろそろホテルに荷物を取りに戻ろうか、と思ったが、もう少し時間がある。途中、照国神社にも参拝。午後、最初に行った県立博物館を抜けて、でっかい鳥居を抜ける。

今回の出張で気に入ってしまった鹿児島に、再び強い縁ができることを祈って退散。

17時近いが、まだ昼食に食べたとんかつがお腹にあるのを感じる。昼は贅沢したのでもう晩飯は抜きでいいな、と思って、ホテルに荷物を取りに行く。ホテルのちょっと手前、昼食を取ったとんかつ屋さんと同じビルに「田中カレー」の文字を発見。

(あ、グルメサイトで見たところだ…)

さっきの「晩飯抜き」の気持ちを飲み込んで、「さぁ、晩飯晩飯!」と元気に田中カレーへ。

黒豚メンチカツカレーを注文する。お腹の状況もあったが、ギリギリおいしく食べられた。

ホテルで預けた荷物を回収して、空港までのバスに乗車。

今回は、鹿児島を一気に堪能しすぎたかもしれない。まだこれから縁を作ろうと思うなら、別に次回に持ち越してもよかったじゃないか? とも思ったが、おいしい食事は絶対に食べつくせないし、鹿児島市内にも行きたい美術館も残しているし、鹿児島市を出ても県内には行きたいところはまだまだある。

そうそう照国神社の後ろにあった城山ホテルで温泉にも入らないといけないんだった。

また近いうちに鹿児島に来れますように。

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のーどみたかひろ
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。