アクリル絵の具 【短歌7首】
なっとうの神様、俺は醤油です
彼女は巫女の練り辛子です
うれしいの着色料に毒された
これでも喰らえっていう幸せの味
オンとオフ、オンとオフとを繰り返す
心臓だけがちゃんとして朝
魔法瓶の中のカフェイン
こそばゆい呪文となって夜をうちけせ
玄関のシューホーンにだけ打ち明ける
すべての雨は君に降らない
つつがなく竜頭を巻いて
思い出は命の針を進めてしまう
スケジュール帳の予言に縛られて
働けどなお楽にならざり
オーバーホールに出していた時計が手元に戻ってきた。1ヶ月近く離れていただろうか。さぞかし寂しい思いをしていただろうと腕に巻けば、彼女は素っ気なく時を刻んでいる。なかなかに気まぐれな恋人である。