不凍液 【短歌7首】
ペン回しをしている時におとずれる余白の中に永遠がある
にびいろの心と融和した部屋で飲もうか
カゴメ野菜生活
乾燥機で縮んじまったセーターのくせに孤独を語ろうとする
あの月はこわくはないぞ
ベランダのサボテン達と対話する風
相槌がうまくいかない
言い訳を抽出したら苦いコーヒー
履き皺の深く入った革靴を何度も磨くたましいであれ
ゴミ箱にみかんの皮が一発で入った世界だから信じろ
何かを声高に叫ぶには年をとってしまった。日に日に衰えてゆく感性に蝕まれて私の手はしぼんでしまったのだった。