おとおとの マークⅡの話
おとおとはそうでした。
あにもおそらくそうじゃないかな?
僕たち兄弟が免許取得後、初めて運転した車はTOYOTAのマークII。
もちろん自分たちで買った車ではなく父親が乗っていた車を運転させてもらった。
でもこの車は実は父親が買ったものではなく、だいぶ前に死んだ祖父が車の修理屋で働いていた親友(実はぼくらの母方の祖父)から
「新車を買うやつはバカか金持ちだけだ。悪ぃことは言わねぇやめとけ。」
と言われたのを何とか説得して説得して買ったのがマークII。
その後、母方の祖父も父方の祖父も亡くなってガレージの中で10年ほど眠っていたマークIIを、父親が一念発起して、祖父が働いていた修理屋(今は母方の叔父が働いている)でレストアして乗り始めた。
この車がなかなか渋くて、古くて、かっこよかった。
だが父が18万キロほど乗ったところでいよいよエアコンが壊れ、ぬるい風しか出てこなくなった。
真夏は窓全開で運転。
いやダメだ。
暑すぎる。
僕らは汗をダラダラ流しながら運転をしていたがこりゃ限界。
それでも父はこの古い車に対応するエアコンを探してきてまた叔父の車屋で直して帰ってきた。
まあ1週間後にはぬるい風しか出なくなったけどね。
きっと父親はマークIIに乗りながら亡き父と会話をしていたのだろう。
そんなマークIIいよいよガタが来てしまい、廃車にすることになった。
祖父さんが買ったマークIIを最後に運転するのは祖父の次男の次男。
分家中のド分家の僕。助手席には父。
全窓を全開にして、近所の車屋まで5分ほどの最後のドライブ。
父親はどんな気持ちだったのだろうか。
僕らもいつか父が亡くなった後
父の乗ってた車に乗り
亡き父親と会話をするのだろうか。
その時は同じように壊れるまで乗り倒したい。
そんな父が今乗っている車。
シエンタ。
チャラい。