おとおとの 中学校の話
あの中学校はヤクザ製造工場だ。
我が母校は今でこそなんてことはない普通の公立中学校だが、僕ら兄弟の数代前の世代はまあ激しく荒れており暴走族の下部組織のような状態だったそうで、近隣の住民からは上記のように言われ大層嫌われていました。
うちのあにが在校していた時代はわからないがおとおとの僕が入学したときは、いわゆる「ヤンキー漫画憧れ世代」みたいな先輩方が窓ガラスを割り、壁に落書きをし、下駄箱のエアマックスのエアを抜く。まさしくヤクザ製造工場の名をほしいままにしていた。
ねりけし製造工場の名をほしいままにしていた僕は穏やかに毎日を過ごしていたが、いかんせん不良が多い学校は先生の血の気も多い。不良ではないが多少体系が我儘なせいで意図せずシャツがズボンから出てきてしまう可愛い僕にも分け隔てなく「シャツ入れ。シャツ」とドスの効いた指導が入るのだ。おそらく先生たちも青少年達が一時の過ちで道を踏み外させないように必死だったのだろう。とにかく怖かった。
当時は学ランの第1ボタンを開けて先生に怒られるみたいなことも今ではすっかりブレザーになり反抗のしかたが変わってきていることだろう。考えてみると教師と生徒の会話も平成時代と令和&コロナ時代の今では全然変わってしまったのかも。
「先生。田中が放課後にこっそり鈴木さんのマスクつけてました。」
「おい田中!おまえそれもしかしてNIKEのエアマッスクじゃん」
「田中!鼻入れ。鼻」
「みんな聞いてほしい。今朝田中のエアマッスクのエアが何者かに抜かれました。」
「鈴木が作ってる毛糸のマスクーはたぶんクリスマスに誰かにあげるんだろうな。田中ではないだろうな。」
もうこのくらいでいいだろうか(笑)