おとおとの 屋根の上の話
時は遡ること20数年ほど前の夏。
ジリジリとやけるような暑さと地面から上がってくる湿気にやられながらおとおと少年は近所のキヨシノ公園のトイレの前で空の方向を見上げています。
あ、どうもこんにちは。
おとおと@旧車をEV仕様にして乗りたい。です。
今回は小学校高学年だった肥満児おとおとが自身の運動神経と校内格差のバランスの中で自分と戦う。
そんなお話です。
夏休みも中盤をすぎ、毎日毎日外で遊び倒した僕らはいよいよやる事もなくなり、公園のベンチでぼーっとしていた。
すると運動神経抜群、なぜか僕のことをやったら大好きなモチことケンモチくんが公園の便所を指さし
「あれ登ってみるか」
と言い出した。
運動神経抜群というか体力バカのモチはその一言を言った瞬間もう僕らの前には残像しか残ってないくらいの速さでトイレの方に駆け出していき、当時はまだ日本に上陸していなかったパルクールよろしくなスピードで上に登っていた。
「いい眺めだからおとおともこいよ!!」
だがしかし、おとおとはご存知肥満体型なのでそう簡単な話とではない。
チャレンジしてないが見ただけでわかる。
これは無理なやつだ。
しかしそれを大々的にカミングアウトしたくないので自分が体力的に劣るということを思いっきりモチのせいにしてブツブツと文句を言った。
ほんとこれだから高いところが好きなバカな男子って嫌い。
少し目線が上になったからってなにがいいっつんだよ。
お前ムカつくから下に降りてこいよ!
武藤敬司のフラッシュニングエルボー食らわしてやるから!
モチは生意気にも下界の雑音なんか気にもとめずに空を眺めていた。
......…くやしいなー。あがりてーなー。。
当時おとおとはガキ大将ではないものの持ち前の明るさと体重でクラスの男子のカーストでも低い場所にはいなかったもんで、体力だけで中身スカスカのモチごときに好きかってされたくない。
おとおとは一緒に遊んでいた親友のこれまた肥満児オオゼキ君にコソッとお願いをして、登る僕のケツを押してもらうことにした。
足をかけるところもない壁をオオゼキくんのアシストでヒョイと上がることが出来た。
なんということでしょう。
地上からたった3メートルほど上がっただけなのにこの開放感といったら!!
大袈裟じゃなく雲の上にいるようなそんな開放的な気分だった。
さっきまで憎たらしくてしょうがなかったモチにもついつい話しかけてしまいそ...…あれ?モチ?
モチがいない!!
そう。モチは早々に飽きてジャンプで降りてオオゼキくんとサッカーの続きをし始めたのだ。
ちょ、ちょっと待ってくれよ。俺どうやって降りるのさ!!
オオゼ.…アイツ駄菓子屋に行きやがった!
さっきまであんなに青い空を独り占め!みたいな気分だったのに今この瞬間めちゃくちゃ不自由な約3畳の牢獄に変わってしまった。
おまけに照り返しでまあ暑い。
くそーー!!こうなったのも全部モチのせいだ。
あいつがオクヤマさんに惚れてることバラしたろ。
すると下界で遊んでるモチの野郎が
「ねえ、いつまで上にいるのさ!!早く降りてきて駄菓子屋に行こうよ!」
「俺ここ気に入ってるからまだこっちにいる。」
んなわけはない。
降りたくて降りたくて、地上にいた頃を思い出して涙が出そうだ。
だけど降りられないなんて言えない。
特にモチには言いたくない。
しょうがない覚悟を決めよう。
モチの野郎が思っきりジャンプしても大丈夫なんだからいくら肥満な僕でもゆっくり降りれば大丈夫だろう。
この際不細工な降り方でも構わない。
ボクはモチとは比べ物にならないくらい、できる限りの衝撃を逃がす、まるでNOAHの佐野選手のフットスタンプのような(わかってくれたそこの君!ありがとう)ジャンプをした。
これで地上に戻れる。
母さん。
ボク。。帰るからね。
だん!
ビリビリビビリビリジンジンジンジンジン...…
痛い。というか痒い。
ただいま地球。
モチ。。ごめんな。
1回だけ
理不尽な暴力を振るわせてくれ.…
以上。
おとおとの Billy&GENEの話でした。
また来週。
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