あにの お楽しみ会の話
最近、もしかしてググって何かを調べるのってわりと高度で、習得している人の少ない技術なのではないかと思うことが多いあにです。
お仕事をしていると色々とお客さんや上司部下同僚から色々と質問をいただくわけですが、いまあなたが左手に持っているその板状の機械は、電話をかける以外にも色々使えるんだけど、もしかして知らないのかなぁ…なんてことが多々あります。
どうも。「可憐な蕾」でどうググっても目的のビデオにたどり着けないあにです。実家にまだあるかしら。
さて、愚痴で始まるときはたいてい書くことが思い浮かばないか、疲れているか、その両方のあにです。今回は両方です。
というのもあに、幼少の頃から孤独を愛するというか協調性がないというか、多人数で何かをするのが苦手で、小学生の頃からお楽しみ会とかレクリエーションの会とかそういうのがホント苦手でした。おとなになったらそういう煩わしさから開放されるのかと思っていたのですが、社会人になってもそういうのってついて回るんですね……だいたい学校のクラスとか職場の班分けとか、仲良しグループでもなんでもなくその場にいる人間でやむを得ず集まったようなところがあるのに、そんな人間で集まって「さあ!なにか楽しいことをやろう!」とかいっても楽しいわけないんですよ。そういうのは好きな人だけ集まった仲間内とかでやれば十分だと思うんだけど、世の中の人間は意外とそうでもないらしく……
さあ、おじさんの愚痴が続いて皆がブラウザを閉じてゆく中、ここまでたどり着いたのはなしフリークのあなた、ありがとう。そろそろ始めます(笑)
それはあに少年が中学生の頃、母に言われて渋々部屋の片付けをしていたときのことでした。引き出しの奥から一本のファミコンカセットが出てきました。
それは小6の時に引っ越す前に、幼馴染の江口くんに借りたもの。借りたまま引っ越してしまい数年。すでに以前住んでいた借家もなくなり、今では立派なアパートが建っています。
なんと申し訳ないことをしてしまったのでしょう……
江口くん一家が引っ越してきたのは、あにがまだ幼稚園に入る前でした。
あに少年と同級生のゆうくんと、1こ年上のひろくんの兄弟。我々兄弟が住んでいた借家の斜向かい。
未就学児の小さな世界に突如やってきた同年代の男の子です。お隣に住んでいた1こ年上のケンケンといっしょに、当然のように仲良くなり、常に一緒に遊んでいましたし、散々悪さもしてきました。
3つも年下のおとおとは大概お味噌扱いでしたけどね。ごめんね。
そんな江口くん兄弟の兄、ひろくんがある日こんな提案をしてきました。
「今日は、ぶっとびごっこをしよう!」
「ぶっとびごっこ!?」
「そう。ぶっとびごっこ。せーの!の合図でみんなでぶっとびぶっとびと言いながら高くジャンプをするの。それがぶっとびごっこ!」
「それ.…だけ.…?」
「うん。それだけ。」
「勝ち負けとか.…」
「うん。そんなものはない。とにかく高くジャンプするだけ!」
「ただ.…ジャンプする..…だけ…?」
「うん。そう! ただジャンプするだけ!」
「...… ...… かっこいいかも(ばか)」
正直あに少年は、江口くんちで我が家にはないファミコンで遊ばせてもらいたいと思っていました。江口くんがたくさん持っているドラクエ4コマ劇場や今月号のコロコロを読ませてもらいたいと思っていました。(江口くんはコロコロ派)
しかしぶっとびごっこ……この甘美かつ衝動的でインタレスティングがインポッシブルな響きに、小学生のあに少年は抗うことはできませんでした。
「よし! きょうはぶっとびごっこだ!」
今考えても小さな借家に設けられた子供部屋。
そこに集まったひろくん、ゆうくん、ケンケン、そしてあに少年の4人の子どもたち(おとおとはミソッカスだからいませんでした)
それらが各々天を仰ぎ、ひたすらぴょんぴょんとジャンプをくりかせしながら「ぶっとびぶっとびー! ぶっとびぶっとびー!」と叫んでいる姿を見て隣の部屋にいたであろう江口くんのお母さんは果たして何を思っていたのでしょうか……
思いがけず発見されたファミコンソフトを見つめているうちに、そんな少し昔の、本当にばかだった子供時代のことをふと思い出して思わず苦笑いを漏らしていると、あに少年の部屋のドアがノックもされずに不躾にあけられました。
「おにーちゃん、今度学校でお楽しみ会があるんだけど、なんかみんなで出来る楽しいゲームとか遊びない?」
「ああ、それなら……」
あにの、ぶっとびーの話でした。