【農業女子にインタビュー】牛飼いになる夢を叶えた18歳、未来さんが語る仕事の魅力とは?
こんにちは!農GIRL×農LIFEプロジェクト事務局です。
農GIRL×農LIFEでは、全国の農業女子の皆さんと一緒に、農業のイメージ向上や魅力発信、コミュニティづくりに取り組んでいます。
SNSでの農業女子紹介や、農作物のプレゼント企画、直売所での加工品販売など、様々な企画を実施してきましたが、『農業女子ひとりひとりの魅力をもっと伝えたい!』という想いから、このnoteでは農業女子により密着したインタビューを配信しています。
《前回の記事はコチラから↓↓↓》
今回は、島根県・隠岐諸島の知夫里島で牛の繁殖農家をされている
下廣畜産・徳若未来さんにインタビュー。
小学校高学年から牛飼いに憧れ、高校を2年で辞め、この道に……。
現在18歳にして、繁殖農業*と経産牛**の肥育農業***に挑戦する未来さんに牛飼いの魅力と牛への愛を語っていただきました。
* 繁殖農業とは、肉牛生産のなかで、母牛に子牛を産ませ、その子牛を育てる農業のこと。
** 経産牛(けいさんぎゅう)とは、繁殖農家で母牛としての役目を終えた牛のこと。
*** 肥育農業とは、一般的には繁殖農家が育てた子牛を買い、食用にするために牛を大きくて、肉をつけさせる農業こと。
■牛飼いへの憧れを実現させるまで
Q.未来さんは牛飼いや繁殖農家に憧れて就農されたそうですが、このお仕事に憧れを持ったのはいつ頃からですか?
ーー小学校高学年の時です。
ちょうどその頃に母が再婚して、今の父が牛飼いだったので、それをきっかけに牛と出会いました。
もともと動物が好きだったこともあり、餌やりなどの手伝いをしているうちにどんどん牛が大好きになりました!
そんな大好きな牛と毎日一緒に過ごせること、命の誕生の瞬間や牛が成長していく過程を見れること、牛の一生に携わることのできる牛飼いという職業に憧れを持ちました。
Q.その憧れの職業・牛飼いになるまでの経緯を教えてください
ーー小学校の頃から牛飼いになるという憧れ、夢は持っていましたが、女の私には牛飼いは厳しい世界だということもわかっていて……。
諦めて、本土にある普通の高校へ通っていました。
でも、知夫里島との環境の違いや、周りとのギャップについていけず、2年生の夏に高校を中退して島に帰ったんです。
島に帰ってから、牛の仕事の手伝いをしているうちに、一度は諦めたけど『やっぱり牛飼いになりたい!』という思いが強くなって、就農を決意しました。
Q.ご家族には反対はされませんでしたか?
ーーされました!
でも、牛飼いをしたいという想いはすごく強かったし、『女の私でも牛飼いで成功できる!』という自信があったので、反対されても諦めることはなかったです。
Q.高校の同級生からはどのような反応がありましたか?
ーー突然高校を辞めたので、最初はびっくりされました。
今はみんなも受験生なので「お互い頑張ろう」と励まし合っています!
■知夫里島での牛飼い生活
Q.未来さんが暮らしている知夫里島・知夫村はどんなところですか?
ーーとにかく人が温かくて、空気が綺麗で居心地がいいです!
村民体育祭という、小さい子供からお年寄りまで島の人みんなで行う運動会があるくらい、地域の人同士の繋がりが濃くて、すごく楽しいところです。
Q.1日のスケジュールを教えてください!
ーー日によってもすることが違いますが、朝6時〜8時に牧場の餌やり、山の見回り、種付け、治療や妊娠鑑定などをして、9時〜12時に牛舎の餌やりや掃除をします。
お昼ご飯をはさんで13時ごろからは山でする仕事が多いです。山から牛舎へ分娩前の牛を移動させたり、分娩後の親子を山へ放したり……。
夕方になったら牛舎と牧場の餌やり、掃除をして、18時半〜19時ごろに家に帰ります。
空いている時間はずっと牛と遊んでいます(笑)
Q.山の見回りとはどのようなお仕事なのでしょうか?
ーー知夫里島での畜産農業は放牧が主体で、普段から山に牛を放しています。
山の見回りでは、放牧をしている山に行って、発情している牛や体調が悪そうな牛がいないかなどをチェックしています。
面積約13㎢のうち、半分ほどが放牧場として利用されてる知夫里島では、島の山ではいたるところに牛の姿が。
山の見回りはそういった環境ならではの作業ですね!
Q.下廣畜産さんでは現在、何頭の牛を育てているのですか?
ーー育成牛を含んだ繁殖牛は約70頭、子牛を合わせると90頭ほどを育てています。
Q.牛を育てる上で、「知夫里島ならでは」という特徴はありますか?
ーーやっぱり放牧で育てるというところが特徴ですね!
放牧だと、生まれた時から雨の日も台風の日も、どんな日でも外で過ごすので、とにかく元気な子が育ちます。
「知夫の牛は元気だから肥育してからも病気をすることがあまり無い」って肥育農家も言っていました!
足腰も強く、フレームがしっかりした牛が育つので、親牛も同い年の牛舎飼いの牛と比べると若く見えるようです。
歳を取っても背線(背中のライン)がしっかりしていたり、山を駆け回ったり、すごく元気なので繁殖牛として活躍する期間が長いです!
Q.未来さんが育てている牛さんはどのような性格ですか?
ーー放牧なので、子牛はやんちゃな子が多いです(笑)
親牛は、マイペースな子とか、気が強くてすぐ喧嘩する子とか、みんなそれぞれ性格が違います。
Q.自分と似ていると思う子はいますか?
ーー私はご飯を食べることと寝ることが好きなんですけど、お腹いっぱい餌を食べてのんびり日向でお昼寝をしている牛さんを見ると、私に似ているなと思います(笑)
自分では気がつかなかかったけど、他の人から「未来とあの子牛は似てる!」って言われることもあります。
似ているというか、『この子とは相性がいいな』と思う子もいますね!
Q.未来さんが思う、牛さんの可愛いポイントを教えてください!
ーー餌を食べているところと寝顔が最高に可愛いです!
足を伸ばして横になって、半目で爆睡している姿は本当に可愛すぎます🥰
Q.とても愛情を込めて育てていらっしゃいますが、市場に出荷してお別れをする時はどのように気持ちの切り替えをしていますか?
ーー『新しい場所でこれからも頑張れ〜』っていう応援の気持ちで送り出すとすごく前向きになれます😊
別れもありますが、分娩があったり、子牛を導入したり、新しい出会いもあるので頑張れますね。
■牛飼いになる夢を叶えた今、見据えている将来は?
Q.実際に牛飼いになって、憧れとのギャップを感じたことはありますか?
ーー小さい頃からお手伝いをしていたこともあって、牛飼いの仕事へのギャップはなかったのですが、1人で牛を移動させたり、治療をしたり、自分1人でやらなきゃいけないことがたくさんあるところが少し大変でした。
それから、牛の病気や餌のこと、血統についてなど、まだまだ知識不足で牛のことを全然分かっていなかったことに気がついて……。
それがとっても嫌で、牛飼いになってからたくさん勉強をして、たくさんの人から話を聞きました!
Q.このお仕事をしていてよかったと思う瞬間はありますか?
ーー自分の好きなことを仕事にできていることがすごく幸せなことなんだな、といつも感じています。
好きなことを仕事にできている人ってそんなに多く無いと思うし、小さい時からの夢を叶えられている人も少ないと思うんです。
だからこそ、小学校の頃からの夢を叶えて大好きな牛たちと今こんなに毎日楽しく仕事をすることができて、『諦めずに牛飼いになってよかった』って思っています。
Q.現在、肥育にも挑戦をされていますが、挑戦しようと思った理由を教えてください。
ーー肥育は経産牛といって、何度も子牛を産んで繁殖牛の役目を終えたお母さん牛を肥育しています。
今までそういった牛はミンチ肉やペットフードになる廃用牛としてセリに出していましたが、経産牛の再肥育をしている人のことを知り、再肥育することで美味しいお肉として食べられるのなら自分で肥育して、島で育った牛さんのお肉を島の人にも食べてもらいたい!と思い、挑戦を始めました。
経産牛の再肥育については、Instagramから別の農家さんにアポイントメントを取って勉強をしているそう。
インタビューをさせていただいた日は本土へ渡り、自分が再肥育した経産牛の試食会をおこなっていました!
12月中旬からは夢を叶え、島の人へお肉を販売するお肉屋さん「ミートショップなかみや」をオープンさせています。
Q.未来さんの周りでは、牛飼いをされている女性の方はいらっしゃいますか?
ーー知夫里島で独立してやっている女性の牛飼いさんは私を含めて3人だけです。
牛飼いの奥さんはいらっしゃいますが、まだまだ少ないのが現状です。
他の地域でも牛飼いをしている女性はいるので、いつか牛飼い女子で集まって色々なお話しをしたいです!
Q.牛市の時に毎回牛さんとご自身をアピールするTシャツやつなぎを作っていますが、作ろうと思ったきっかけはありますか?
ーーセリに来る購入者さんに私のことを知ってもらおうと思ったのがきっかけです!
そうすれば色んな方とお話をしたり、交流ができると思ったので。
結果的に、効果的面でセリで声をかけてもらえたり、顔を覚えてもらうことができました。
これからもセリがある度に作れば、そのセリの思い出になるかなと思っています!
Q.Instagramで投稿を始めたきっかけを教えてください。
ーー知夫の放牧牛のことや、知夫村の良さをたくさんの方に知ってもらいたいと思ったのがきっかけです!
私のInstagramをフォローしてくださっている方は、牛飼いさんばかりじゃないので、専門的な部分より、とりあえず牛の可愛さを伝えられるように投稿をしています☺️
Q.未来さんの思う、農業女子、牛飼いの魅力について教えてください!
ーー牛飼いで言うと、男性よりも女性の方が愛情を持って牛さんと接することができるのではないかと思います。
あとは、私は高校を辞めて牛飼いになったのですが、学歴関係なしに努力して、挑戦ができることは魅力だと思います。
Q.今後の未来さんの夢を教えてください!
ーー隠岐で1番の牛飼いになりたいです!
そのためにまず、個人で繁殖牛70頭が今の目標です。
放牧できる環境を活かして、足腰が強い元気な子牛づくりをこれからも頑張っていきつつ、スマート農業など、新しい技術も取り入れていければいいなと思っています。
子牛づくりでも、SNSでも、もっと色んな方に知夫の放牧牛のことを知ってもらい、たくさんの方にセリに来ていただきたいなと思います。
最終的に「私は隠岐で1番の牛飼いだ!」って胸を張って言えるようになりたいです!
小学生からの夢を叶え、牛飼いとして大きな目標に向かって進んでいく未来さん。
強い信念と牛への大きな愛を持ってお仕事をしていることがとても伝わってきました☺️
隠岐で1番の牛飼いになるまでのストーリーをこれからも追いかけて行きたくなりますね!!
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次回は北海道でフルーツトマトを中心に農業をされている農業女子にインタビュー予定✨
どうぞおたのしみに!