母が出ていった。そして静かに頷いた。
当時僕は中学三年生だった。
そろそろ志望の高校を決める時期。
我が家には高校受験するにあたり1つルールがあり、それは「男は工業へ、女は商業へ行け」というものだ。
僕には特に行きたい高校などはなかったのだが、工業だけには行きたくなかった。
だって女の子いないじゃん。
高校ってさ、女の子と放課後にカラオケ行ったり席替えでドキドキしたりとかさ、そういうさ、青春胸キュンストーリーを体験するための場所じゃん。工業とか男だけでムサイじゃん。
そう思っていた。
「「普通科に行きたい」」そう伝える機会を伺いながらも、言えないまま非情にも時間だけがすぎた。
そして迎えた三者面談
(※三者面談とは、母と先生と僕の3人で受験する高校を決定するという地獄のイベントです。)
母と先生が僕の進路について話を進める。
内容は主に、工業に行かせたいけどどこの学校がいいかという奴だ。
僕の意見などは一切取り入れない。そういうやつだ。母の口調からは、なんかもう確固たる信念ってやつを感じた。こわい。マジ母恐し。
そんな話しが10分ほど続いた時、、、
それまで息を潜めていた僕が!
遂に口を開いた。
放つ言葉はひとつしかない。
言ええええ!!!
「「「僕は!普通科に行きたい!!」」」
母は僕の頬を全力でビンタした。
え、なんで???
そして母は泣いた。
え、、なんで???
泣きながら教室を出ていった。母。家に帰った。
・・・え、なんで????
教室には先生と僕。二者面談だ。
残された先生が僕に言った。
「工業でいいの?」
僕は静かに頷いた。
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