12人目のマモリビト 1話
ーー2022年8月25日
とある爽やかな日の朝に
若者たちの楽しげな声がーー
"今日こそ殺してやるっ、威ぶーー◎⊿◇*$¥!?"
とても楽しげな声が聞こえてきました
○○:チッ、朝っぱらから絡んでくんじゃねぇよ
朝の暖かな陽射しの下で、一人の少年が吐き捨てるように言い放った。
返り血で染まった手で髪を搔き上げる。左耳のピアスが陽射しによってキランッと光った。
黒を基調とした柄シャツに、学ラン。黒髪に、首裏の黒い龍のタトゥーが特徴的なこの少年は『威吹 ○○』。
誕生日:2005年12月25日
血液型:B型
職業:高校二年生
これが、この少年の簡単なプロフィール。
そしてただいま、登校中に喧嘩をふっかけられて、それを返り討ちにしたところだった。
爽やかな朝の時間に、道に倒れ伏す少年たちと、その中心で平然と佇む○○といった構図。
何を隠そう、○○は生粋のヤンキーである。
中学時代にその名を轟かせ、高校は関東屈指の不良校『月下高校』に入学。入学初日で一年をまとめあげ、入学3日目で学校の頭となった。
そのせいで、○○に敵対している者が多く、先程の者たちも○○と敵対するグループの一つである。
○○:さてと、学校行くか
倒れ込む不良たちの上を遠慮なく歩き始めた○○。一歩進むごとに「ゔっ....」といった声が聞こえてくる。
「おはようございますっ、○○さん!」
そんなところに、元気いっぱいの挨拶が響き渡った。
○○:おぉ、ハチか。今日も元気だな
顔を向けると、茶髪に犬のようなキラキラした瞳が特徴的な少年ーー「ハチ」こと、三雲八郎が満面の笑みを浮かべて立っていた。
年齢は○○の一つ下で、○○の子分的存在。また、自他共に認めるアイドルオタクであり、推しは櫻坂46の森田ひかるだとか。
ハチ:○○さん、朝からお疲れ様ですっ!
○○:そう思ってくれてるなら、代わってくれよ
ハチ:いやいや、そんなこと言って。○○さん、すごく楽しそうでしたよ。笑顔でボコってましたし...笑
○○:おいこら、誰が悪魔だよ
ハチ:そこまで言ってませんよっ!!
いつも通り、なんてことない会話をしながら学校へと向かっていく二人。
学校に到着して数分後、授業始まりのチャイムが鳴り響く。
と言っても、ヤンキー率九割越えの月下高校では、授業などあってないようなもの。
ほんのひと握りの非ヤンキー生徒のために授業は行われているものの、真面目に受けている生徒は皆無だった。
それは、○○のクラスも同様である。そんな中、廊下を爆走しながら、○○の教室に向かうハチ。
ハチ:○○さんっ、○○さん! 大変ですっ!!!
乱暴に教室のドアを開け、駆け込んできた。
目がガン開き。肩で息をしながらも、顔には笑顔が浮かんでいた。
○○:あ? 何そんな焦ってんだよ? クソでも漏らしたか?
ハチ:漏らしてませんよ! 赤ん坊じゃないんですから!! って、じゃなくて! 当たったんですよ!
○○:なにが?
ハチ:ライブのチケットですよ! 櫻坂っ! 東京ドーム! しかも、2日間ともですよ!?
鼻息を荒くしながら、スマホの当選画面を見せてくる。興奮状態なのは明らかだった。
○○:あー、よかったじゃねぇか。おまえ、楽しみにしてたもんな
ハチ:そうなんすよ! 改名後、初めての東京ドームですしっ、2日目にはゆっかーの卒コンもあるんですよ!
○○:わかったわかった。楽しんでこいよ
ハチ:はいっ! ありがとうございますっ!!
学校が終わり、時間は放課後に。
ヤンキー校に部活なんて文化は一ミリもない。そのため、生徒たちは我先にと学校をあとにする。
と言っても、真っ直ぐ家に帰る生徒は皆無で、カラオケやゲーセンなどへ遊びに行くのが基本だった。
その中、○○はハチと一緒に渋谷を歩いていた。
○○:あー、腹減った。なんか食ってくか?
ハチ:おれ、ラーメン食いたいっす!
○○:んじゃあ、一蘭にでも行くか
なんて話ながら歩いていると、すぐ近くの路地裏の方から、
「やめてくださいっ!!」
女の子の悲鳴に近い声が聞こえてきた。
○○:あ? なんだ?
声のした方へ視線を向けると、三人組の男が一人の少女に迫っていた。状況的にナンパなのは明らか。それに、少女の方は嫌がっているのは一目瞭然だった。
他の通行人もその光景に気づいていたが、面倒事に巻き込まれるのが嫌なのか、将又、三人組の男たちの風貌が一般人のそれとはかけ離れていたからか。
誰一人として、少女を助けようとはしなかった。
ハチ:○○さん、助けた方がいいですよ
○○:なんでだよ? 〝HOUND DOG〟の犬っころ共がどうにかすんだろ
ハチの提案に対して、○○は面倒くさいと言わんばかりに断りを告げる。
ちなみに、〝HOUND DOG〟とは渋谷を中心とした地域一帯を支配するグループである。グループの名の通り、猟犬の如く自分たちの島で悪さする奴を片っ端からボコしている。
ハチ:いや、たしかにそうなんですけど。あの三人組、月下高の生徒ですよ。このままだと〝HOUND DOG〟と揉めることになります
○○:はぁ....くそっ、それはそれで面倒くせぇな
「助けることの面倒くささ」と「他グループと揉めることの面倒くささ」。その二つを天秤にかけた結果、
○○:仕方ねぇ.....いくぞ、ハチ
ハチ:うすっ!
助ける面倒くささをとった。
少女は、人生最大の危機に瀕していた。
目の前には、ドラマや映画でしか見たことない、まさにヤンキーを絵に描いたような風貌の男がいた。しかも、三人。
(うぅ....なんで、しーがこんな目に.....)
少女ーー山下瞳月は目に涙をうかべ、自身の不運を呪った。
とあるアイドルの新メンバーオーディションを受けるために、京都からやって来た瞳月。
明後日に迫る四次審査の緊張を解す目的で、渋谷の街を散策していたところを、この三人組に絡まれてしまった。
自分が運が良いと思ったことはない。
それでも、一次から三次までの審査を突破してることもあり、運は悪くない。むしろ、良い方なのではないか、と最近は思い始めていた。
しかし、その幸運の反動がこんな形で返ってくるとは、瞳月自身も夢にも思わなかった。
"なぁ、いいだろ?"
"少しの時間だけだからよ"
"オレ達が楽しませてやるからよ〜...笑 "
ずっと「やめてっ!」と言い続けているのにも関わらず、ヤンキー達が諦める気配はない。
"チッ....おいっ、さっさと来いや、オラっ゙!!"
一人が瞳月の腕を強引に掴みあげ、怒鳴りつけるように言い放った。瞳月の諦めない抵抗に、遂にしびれを切らしたようだ。
瞳月:いやっ、いややっ!!!
涙で視界が滲む。自分の声が絶叫に近いものになったのを覚えた。持てるすべての力を使って必死に抵抗したが、それでも男の力には敵わない。
腕を無理やり引かれ、体が引っ張られる。
自分の人生はここまでだ。
瞳月が直感的にそう思った、その時ーー
「おいこら。てめぇら、何してんだ?」
ヤンキー三人組とは、別の男の声が割って入ってきた。
三人組は一斉に声のした方へと顔を向ける。瞳月もつられて、同じ方向へと視線を転じる。
そこには、二人の少年が立っていた。
見た目は、ヤンキー三人組とそこまで変わらない。それでも、醸し出す雰囲気は三人組とは違っていた。
"あぁ? 何だてめぇぇぇぇええええええっ!!!??"
"い、い、い、威吹っ!!?"
ヤンキー三人組が二人の少年を見た瞬間、目を見開いて驚愕の表情を浮かべた。
黒髪の方は、威吹という名前らしい。
三人とも、これでもかってくらいに目が泳ぎまくり、言葉にならない声を漏らしている。
「あのなぁ、ここが誰のシマかわかーー」
"""すいませんでしたぁぁあああああっ!!!"""
黒髪の少年の言葉の途中で、三人組は一目散に逃げ出した。
あまりにも怒涛の展開に、呆気にとられる瞳月。
すると、黒髪の少年が振り返り、口を開いた。
○○:おい、大丈夫か?
さっきまでの威勢はどこへやら。
恥も外聞も捨てて、我先に逃げていく三人組。その後ろ姿を見て、特に面倒事にならずに済んだことに、○○は心の中で安堵する。
○○:おい、大丈夫か?
少女の方へと振り返り、なるべく優しい声音で問いかける。
瞳月:あっ、はい。ありがとうございます
少女改め、山下瞳月は頭を下げる。
○○:観光なら、もっと別なとこにした方がいいぞ
瞳月:えっ....?
○○:あ? 違うのか? 京都訛りのJKが平日に私服でいたから、てっきり観光とかだと思ったけど
○○の的確な指摘に、瞳月は驚いた。ハチも呆気にとられたようだ。
瞳月:観光って訳じゃないですけど、似たような感じです。オーディションを受けに来たんです
ハチ:オーディション? 役者とかなにか?
瞳月:あっ、いえ。アイドルのオーディションです。櫻坂46ってグループなんですけど
それを聞いて、ハチの目の色が変わった。
ハチ:えっ、櫻坂のオーディション受けんの!? 凄ぇじゃん!
瞳月:えっ、あ、ありがとうございます......
○○:おい、やめろハチ。その子、引いてんだろ
ハチ:あぁ、悪ぃわりぃ。ごめんな...笑
瞳月:いえ、大丈夫です
その後、軽く会話をした三人。
どうやら、瞳月は道に迷っていたらしい。そこで、スマホの地図アプリを調べていたところ、先程のヤンキー三人組に絡まれてしまった。
○○:なんか、災難だったな。あっ、道に迷ってんなら.....ハチっ! お前、案内してやれ
ハチ:えっ、俺がですか!?
○○:また絡まれて、揉め事になんのは面倒臭いからな
ハチ:はぁ....仕方ないですねぇ
なんて文句を言いながら、○○の言葉には素直に従うのがハチ。「忠犬ハチ公」の二つ名は、伊達ではないようだ。
○○:じゃ、頑張れよ
ハチ:はいっ、お任せ下さい!
瞳月:あ、あの! 助けてくれて、ありがとうございました!
深々と頭を下げる瞳月。
そんな瞳月を一瞥して、○○はその場をあとにした。
ハチと別れた○○は、目的もなくぶらぶらと散策した後、帰宅のため、ひとり夜道を歩いていた。
横断歩道を渡り、自宅近くにある公園の前に辿り着いたその時、○○の顔が白く照らし出された。
公園の歩道を車のヘッドライトが接近してくる。
そう思ったのも束の間、もの凄い速さでヘッドライトの光が眩いばかりに大きくなっていく。
○○は反射的に、その場から飛び退いた。
次の瞬間、○○がいた場所に一台のハイエースが突っ込んできた。バリケードと進入禁止の看板が撥ね飛ばされる。
○○:おいおい、こんな夜中にかよ.....
体を起こしながら、悪態をつく○○。
深夜の公園内には闇ばかりが広がっている。街灯もほとんど見かけない。周りの木立が水平方向の視界を遮っていた。
そんな暗闇に、複数の光が照らし出される。
衝突してきた車体の後ろから、複数のヘッドライトが現れる。どれも、同じ車種のハイエースだった。
一斉にドアが開き、人影が左右に展開した。
鉄パイプや金属バットなど、全員が武装している。中には、ナイフを持っている者も見てとれた。
○○への襲撃であるのは、誰の目にも明らかだ。
○○:おい、お前ら。時間を考えろよ。こんなド深夜とか、近所迷惑だろ
"フンッ、威吹。そうやって、イキってられるのも今日で終わりだ"
○○の正面に立っていた男が、口を開いた。
ヘッドライトによって、男の顔が照らし出される。
その男に、○○は見覚えがあった。一、二年前に潰した半グレ集団の幹部に、この男がいたはずだ。
どうやら、組織を潰されたことに対する復讐のようだった。○○を囲んでいる男達も、その半グレ集団の残党といったところか。
○○:チッ、組織の仇討ちってことかよ。お門違いもいいとこだぜ
"うるせぇ!! お前ら、やっちまえっ!!!"
リーダー格の合図を聞いて、男たちは一斉に走り出した。
圧倒的な数的優位。
しかし、
○○:はぁ....残党だから、こんなもんな
ものの数分で決着がついた。
地面に倒れ伏す、残党の男たち。腕や足が折れた者や鼻が折れて出血している者など、無事な状態でいる者は一人もいなかった。
一方で、さすがに息が切れているものの、制服が汚れている以外に目立たった傷のない○○。
実力の差は、明白だった。
が、その時、
"クソがぁぁあああああっ!!!"
後方から男の声が怒鳴った。
それと同時にかすかな金属音が耳に届く。静寂の中だけに、それは明瞭に響いた。
バネの伸長を伴う独特なノイズ。リボルバー拳銃のハンマーを起こす音だった。
○○は息を吐きつつ、警戒しながら振り返る。
視線の先には、リーダー格の男が立っていた。
両腕をまっすぐに伸ばし、両手で拳銃をしっかりに握り、肩の高さでこちらを狙い澄ます。
リーダー格の男が持っているのが、サクラM360Jだとわかった。制服警官御用達の拳銃だった。
どこの不幸なお巡りからパクったのか。
オートマチックではなく、リボルバーを選んだのは薬莢の排出を防ぐため。つまり、発砲に躊躇いがない。
この男がそこまで考えて、リボルバーにしたのかはわからない。
そんなことを考えながら、○○は男に素早く近づいた。
左手ですかさず男の右手を包み込むよう握る。銃口を地面に向けさせるのと同時に、親指の関節を強く締め付ける。
男は激痛に顔を顰めたが、けっして銃を放そうとはしなかった。
だが、別にそれで構わない。○○はそう思っていた。
親指でシリンダーラッチをずらす。人差し指で弾き、回転式弾倉を横に露出させた。
すぐに弾倉をしっかり握りしめ、力ずくで弾倉を縦方向にねじった。
一連の動作にかかったのは、わずか二、三秒。
○○は目的を終えると、後方に跳躍し、男から距離をとる。
手が開放され、自由になったリーダー格の男は、慌てて弾倉を元に戻す。そして、流れるように銃口を○○に向け、トリガーを引いた。
しかし、銃弾が出ることはなく、虚しい金属音だけが闇夜に響いた。
"な、なんで撃てねぇんだ.....?"
一体なにが起こったのか。男はまったく理解できていなかった。それを証明するかのように、その後も何度もトリガーを引くが、結果はすべて同じだった。
弾が発射されることはなく、ただ金属音が鳴るだけ。
"くそっ....! 威吹てめぇ!! 何しやがったっ!!?"
男は顔を紅潮させ、怒鳴りつける。それと同時に、撃てなくなった拳銃を怒りに任せて、地面に投げ捨てた。
○○:銃を使うなら、これくらいの知識あたまに入れとけよ
サクラM360Jは、素材がステンレス鋼。そのため、シリンダーに様々な不具合が生じてしまう。
現在までに改良が重ねられているものの、弾倉を展開した状態でシリンダーを縦方向に全力でねじると、それ以降は撃針が雷管から僅かにズレて発射できなくなる。
警官の中にサクラM360Jではなく、未だにニューナンブを使う者がいるのも、それが理由だった。
○○:よいしょ.....っと
投げ捨てられた拳銃を広い、○○はリーダー格の男に近づく。
"く、くるな.....っ!!"
男は顔を引き攣らせながら後退る。が、石か何かにつまづいたのか、情けなく地面に尻もちをついた。
そんなことはお構い無しに、○○は拳銃を逆手に持って、男の顔目掛けて、グリップで容赦なく殴りつけた。
男は顔から鮮血を撒き散らしながら、勢いよく地面に倒れ込んだ。
○○:ふぅ....これで片付いたな
そう言いながら、○○は水飲み場へと向かう。
蛇口を捻り、拳銃全体に水をかける。こうすることで、拳銃に付着した汗や脂、指紋を洗い流すことができる。
相手の証拠も一緒に消すことにはなるが、それでも自分の痕跡を残すことに比べるとやらない訳にはいかなかった。
ひと通りの作業を終えた○○。
公園を後にし、ようやく家に帰ろうとした。
その時、
"死ねっ、威吹ぃぃいいいいいっ!!!"
絶叫に近い声が響き渡った。
ハッとした○○が振り返る。
そこには、無傷の男がハイエースの近くに立っていた。残党の男たちが戦っていた中、車内に一人で隠れていたのか。
両手には拳銃を握られており、銃口はこちらに向いている。拳銃はひとつだけではなかったようだ。
正円を描く銃口。この場合、弾は確実に命中する。咄嗟に横に飛び退けようとするが、それを待たずして銃弾が放たれた。
拳銃の弾速は、小口径でも秒速300〜400メートル。時速に変換して、約1000キロにもなる。
銃弾は螺旋を描きながら、真っ直ぐに進んでいく。
そして、○○の頭へと着弾した。
漆黒の夜空に、赤い鮮血が舞い散る。
チッ、ここまでか
あぁ、くそっ.....
こうして、俺の人生は終わった
ーーWe are Buddies〜〜♪
その音で、目が覚めた。
一番最初に目に入ったのは、見慣れない部屋の天井。
病院ではないようだが、それでも○○はひと安心した。どうやら、一命は取り留めたらしい。
しかし、何かが変だ。
○○は直感的にそう思った。知らない部屋にいるのもそうだが、頭に銃撃を受けたのに生きてるとは。
それに、体が妙に軽い。
今まで鍛え、身につけてきた筋肉が根こそぎ持っていかれた感じだ。
とりあえず、ベッドから降り、部屋の中を見渡すと姿見が目に入った。そこに映し出されたものを見て、
○○:はぁぁぁあああああっ!!!??
○○は驚愕の声を上げた。
ここまで驚いたことは、人生の中でおそらく一度もない。しかし、この時ばかりは驚愕せざるを得ない。
何故なら、姿見に映っていたのは、自分とは似ても似つかない少女の姿だったから。
胸元まで伸びたストレートの黒髪。猫のようなつぶらな瞳が鏡越しにこちらを見つめてくる。
○○:.....は? こ、これが....俺?
自分の置かれた状況に、○○はパニック。
そこに、見慣れない女性が「あらっ、起きてたのね?」と言いながら部屋に入ってきた。
○○:えっと....誰.....?
「何言ってるの、雅。起きたなら、早く着替えて準備しなさい。遅れるわよ?」
女性は今の○○を雅と呼んだ。どうやら、それがこの少女の名前らしい。
○○:遅れるって、何に?
何がなんだか分からない○○は、自分が思った疑問を率直に投げかける。すると、女性は呆れたように答えた。
「寝起きで頭ボケてるの? 今日はオーディションの最終審査でしょ」
オーディション? 最終審査?
答え返ってきたが、そこにはまたしても意味がわからない単語が。
すでに情報過多。○○の脳は限界の一歩手前まで来ていた。
しかし、いまの自分の状況は知るために、目の前にいる女性から情報を得るのが一番。そう、○○は判断した。
だから、問いただした。
○○:オーディションって、何のオーディション?
と。
そして、返ってきた答えに、
「何のって、櫻坂46のオーディションに決まってるでしょ。自分が受けたいって言ったんだから」
○○:...........は?
○○の脳はショートした。
……To be continued
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