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金融界に嵐の日が迫る

2019年10月10日のCOBRAの記事「The Silver Trigger」で紹介された記事「Financial Storm Clouds Gather」を翻訳しました。

"現在の金融システムがフェアではなく、人類を奴隷にするために設計されている事実を誰しもがわかっています。

現在の金融システムの今後の制度の崩壊は、実は負債奴隷バブルの崩壊です。

現在の現先市場は、このシステムがシステム的不安定性を有していることを示す氷山の一角にすぎません。"

元記事:


金融システムの弱体化という『回避策』の代価が、終に支払われようとしています。

金融界に嵐が迫っています。連邦準備制度の悪行や、現先取引問題について話しているのではありません。それよりも更にもっと深刻な、金融界の構造的問題についてです。はっきり言って、これはもう修復不可能です。

我々の社会を維持するための費用についてお話します。それは、私達が得ている収入は停滞し、それに比べ生活費用は高騰し、世帯ごとの負債は大きくなり、超過分を支払いきれなくなり、経済全体が衰退している現状です。

見渡せばどこの家も企業も役所も、やっとのことで黒字を維持している状態です。こんな酷い状況は、近代では見られなかったほどです。何かを支払うために、更にもっと借りなければならないというお金の罠にはまってしまっているのです。

では、収入と税収が落ち込んでいくと、どうなってしまうのか?世帯、企業、地方自治体はいずれも請求を支払うことができなくなってしまい、更に借り入れの需要が高まるものの、金融市場全体が返済困難のリスクに備えていくことになるので、これ以上の借り入れが難しくなっていく一方なのです。そのままいくと、中央銀行全能時代に終焉の時が来るでしょう。借金はいつでも帳消しにできるので、貸し手は皆崩壊して終わりです。

『中央銀行全能の時代』とは、次のような特徴があります。

1. リスク・リターンの分離。「中央銀行が損失をカバーしてくれるから、リスクを想定しなくてもいい」という考え方が存在している時のことです。連邦準備制度は暗黙の了解として常にリターンを保証してきましたので、市場介入が行われる時などもリスクは無視されてきました。

2. 資産バブル(訳注: 株式や不動産などの資産の価格が、実際の価値よりも大きく上昇した状態)によって、「我々はお金持ちになっていく」と錯覚するため、費用のことが無視されている状態。たとえば健康保険はここ数年だけで倍以上の費用になっています。しかしそれも不動産や401k(確定拠出年金制度)への投資額に比べれば微々たるものでしょう。これでお金持ちになったように錯覚していませんでしょうか。上昇しつづける費用で収入の大半が費やされていき、私達は金融的に浸食されているのです。

この「お金持ちになった気分」効果によって、収入と支出の間の大きな隔たりが我々の視界から隠され続けてきたのです。これは世帯レベルだけのことではありません。不動産の価値が上がると地方自治体の税収も上がり、小企業の株式の93%を保持している2割ほどの上級国民がお金を使うことで、彼らの持つ不動産価値は上がり続けます。(上位5%が株式の71%を、上位10%が株式の84%を保持しているという事実は注目すべき点です。)

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しかしながら、この資産バブルがはじけたら、お金持ちになった気分の人達も夢から覚めて一気に地獄に堕ちる思いをすることになります。持ち家の価値は暴落し、一気に貧困に陥った気分になるでしょう。そうするともっと銀行からお金を借りて、もっと節約するようになり、市場にお金が回らなくなります。

賃金は支出に追いついていません。これが現実です。こちらのグラフでは医療保険費用と表示されていますが、賃貸料金、教育費、こどもの養育費なども同様です。もう、給料だけでは生活は廻らないという事です。

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このように、世帯だけでなく社会全体が収入と費用の間の巨大な隔たりに苦しんでいるのです。しかもその回避策として、銀行からお金を借りまくるという行為に及んでいる状態です。

近頃はウォールストリートジャーナルのような主流メディアまでもが、真実を話しているのを見て驚きました。

『金融化』という言葉は、結局のところ私達が収入を使って支出をしていることから、費用(原価)構造を引き離すという結果を生みだしているのです。私達の支払い能力よりも費用が高くなってしまった場合、金融化するしか道が残されていません。つまり、もっと借金して、請求書を払っていくしかないのです。そして資産バブルというのは実は存在していない富のために、借金を底上げするための手段として用意されている『金融の罠』だったのです。

じゃあ費用構造を支払い可能なレベルまで下げればいいことだと思われるでしょう。そこにも大問題があるのです。実は私達が持っていると思っていた『脂肪=余裕』は、私達の『骨』だったのです。これ以上費用を下げれば、恐らく既得権を持ったインサイダーたちから猛反発を買うことになってしまいます。

そのこともあり、政治家達は解決の糸口を見つけ出せずにいます。有権者や徒党の要求を満たすためにお金は借りられ続けます。費用構造と支払い可能レベルの調整なんかより、投票数を稼ぐための借金にお金はつぎ込まれます。

このような『回避策』によって我々の経済システムは蝕まれているのです。そして、その終焉は避けられないでしょう。全ての層がやがて一度に崩壊します。脂肪だけでなく私達の骨までも、バラバラに崩壊する時がやって来ます。


TUESDAY, SEPTEMBER 24, 2019
Posted by Charles Hugh Smith at 11:55 AM

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