わたしの味
(第46回JAPAN Pastry Chef Cop最優秀賞は
パティシエール乃木 山下美月さんです!)
山:うそっ...
発表され呼ばれた彼女の表情は驚き、戸惑いそして嬉しさが入り交じった表情をしていた
理:おめでとう!山!
遥:おめでとうございます!美月さん!
(それでは山下さん。どうぞ壇上まだお越しください)
山:は...はい
壇上に向かう道中、一人の女性が近寄ってきた
山:あっ...梅澤さん...
梅:まさか、あたしが負ける日が来るなんてね。おめでとう。山下さん。でも次は負けないから
山:はい!
(それでは山下さん。今の率直な気持ちを教えてください)
山:はい、私がこのような賞に選ばれるなんて夢のまた夢だと思っていたのでまだ実感が沸いてないのが率直な気持ちです
これは夢を追い求め、努力を重ね、夢を掴み取った一人の少女の物語である
美:ママ~ただいま~
私の幼い頃の記憶は今でも鮮明に覚えている
幼稚園、小学校の時の私の遊び場はお母さんが働いていた洋菓子店のキッチンだった
美母:あら、おかえり。今日もみんなと遊びに行かなくて良いの?
美:明後日、みんなと遊ぶから良いの!
美母:そう、じゃあ美月は卵を130個割ってくれる?
美:うん!卵黄と卵白分けなく良いの?
美母:ごめんね。美月が帰ってくる前に終わっちゃったのよ
美:えー、やりたかったのに...
私は学校から帰ってくるとお母さんのお手伝いをするのが日課になっていた。もちろん、友達がいないわけではないし友達と遊んだとこがないと言うわけではない
?:美月~
美:あっ、理々杏ちゃんだ!
理:買いに来たよ~
美母:あら、理々杏ちゃん。いらっしゃい。どれにする?
理:どれにしようかな。美月、今日のおすすめは?
美:今日はねぇ~これ!
理:えっ!美味しそう!じゃあこれください!
美母:はい、ありがとうね。美月も手伝いばかりしてないで理々杏ちゃんとケーキ食べちゃいなさ~い
美:は~い
この子は同じ小学校の友達の伊藤理々杏ちゃん。彼女とは一年生の頃からの友達で一番仲が良い子
理:ねぇ、美月。毎日、お菓子作ってて飽きないの?
美:飽きないよ。だって作るの楽しいもん!
理:そっか。じゃあ美月の夢はパティシエ?
美:うん!
そして私が中学に上がる頃、お母さんは日本では知らない人はいないほどのトップパティシエになっていてお店は連日大行列が出来るほどだった。私もそんなお母さんを見て、手伝えることは出来る限りした。
すると私が中学二年の時、お母さんは日本パティシエトップ50に選出され、その中から注目パティシエの一人として紹介された。選出された大きな理由の1つがシュークリームだった。お母さんもシュークリームには並々ならぬ想いがあった
卵1つとっても自ら養鶏場に足を運び、卵の状態を確認したり他のシュークリームが有名なお店を回り、自分のシュークリームに活かせるものはないかと試行錯誤の毎日だった
それからというもの、お店には連日シュークリームを求めるお客さんが長蛇の列を作るほどだった。以前は1日150個売れていたシュークリームが今では1日460個売れるようになるほどの大盛況だったとか
一方で私はと言うと高校に入り、勉強と平行してスイーツの勉強もしている。お母さんと一緒にやっていて将来的に自分のお店を持ってみたいと思うようになり、それに向けて自分だけのスイーツを産み出そうと日々、研究に明け暮れている
?:ねぇ~美月~
美:ん~?
?:今日さ、学校終わったらここ行かない?最近ここ話題になってるじゃん
美:あ~ここかぁ
?:美月のアイデアのヒントになるかもよ。それにここ最近勉強ばっかじゃん。リフレッシュにもなるし。行こ?
美:はぁ~。そんな顔されたらわたしが断れないの真佑が一番知ってるじゃん~。ずるいよぉ
真:えへへ
美:じゃあ行こっか
そんな、真佑との約束を取り付け、放課後今、話題のスイーツ店へと向かった。これがわたしにとって永遠のライバルと出会うとは思いもしなかった
To be continue...
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