彼の幸せ、彼女の幸せ。

人には人の幸せがある。
 
 
僕の幸せと君の幸せは違ってて、
君の幸せとあなたの幸せも違ってる。
 
子沢山の人には子沢山の人の幸せ、
独身の人には独身の人の幸せ。
 
 
男には男の幸せ、女には女の幸せ、
白人には白人の幸せ、黒人には黒人の幸せ。
 
裕福な人には裕福な人の幸せ、
成り上がりには成り上がりの幸せ。
 
 
貧乏人には貧乏人の幸せ。
どっちつかずにはどっちつかずの幸せ。
 
達成者には達成者の幸せ、
夢老い人には夢追い他人の幸せ。
 
 
その人の地位や境遇、環境によって、
幸せの定義は違っている。
 
 
ある人にとっては幸せなことでも、
別の人にとってはそうでもないこともある。
 
お金が欲しいとただただ願う人もいれば、
お金よりも愛が欲しいと切望する人もいる。
 
地位が欲しいとがむしゃらに走る人もいれば、
休みが欲しいとあくびをする人もいる。
 
 
だから「幸せってなんだろう」とか
「幸せになりたい」なんて思ったところで、
その答えは何十通りもあって、
それでいて他人の共感を得られるものでもない。
 
 
人は誰もが幸せを求めて、
幸せにならなきゃ駄目だと自分を追いつめて。
 
ああでもない、こうでもないと苦しんで、
結局のところ何が自分の幸せなのか
わかっているようでわかっていなくて。
 
 
目の前にあるもの、現在の環境が
本当は幸せだなんて絶対に認めない。
 
もっともっと幸せになりたくて、
もっともっと輝く自分が欲しくて。
 
 
心は絶対に満たされない。
満たされないからこその心。
 
それは誰にも否定できないこと。
哲学者だって貴族だって同じ。
 
 
そうやってどんどん上を求めることは
目標があるってことでもあって。
 
向上心がなければ人は腐るだけだから、
もっとを求めることは大切なこと。
 
そんな風に考えながら、
そんなことをわかっていながら。
 
 
そしてまた不幸せの日常に囲まれながら、
幸せを求めなくちゃと自分を鼓舞しながら。
 
そうしているうちに俺は気付く。
自分自身の幸せの定義がわからない。
 
 
俺は何を求めている。
いったい俺は何になりたい。
 
俺は誰を欲している。
俺は何処に行って何がやりたい。
 
 
見えない見えない。光も見えない。
聞こえない聞こえない。導きは聞こえない。
 
泳げたいやきくんのように日々をこなし。
誰にも見えないように唾をぺっぺと吐き散らかし。
 
 
出てくる文句は誰かのせいで自分のせいで。
才能もないくせにあるように着飾りたくて。
 
きっと明日はってきっと未来はって。
根拠のない光にすがって。
 
 
それってきっとみんな同じで。
見せないだけで苦しんでてもがいてて。

幸せを求めながらも、
自分が何を求めているのか
わかっているようでわかってなくて。
 
 
人には人の幸せがある。
人はずっと幸せを求める。
 
 
幸せになりたいな。幸せになりたいな。
悩まずにいたいな。苦しまずにいたいな。
 
幸せになりたいな。幸せになりたいな。
満たされていたいな。もっともっとあれが欲しいな。
 
 
あれが何かは知らないけど。