余った生コンのゆくえ―「残コン」を出さないために
残念な事件
今週はコンクリートにまつわる残念な事件が話題になりました。
生コンを作る工場、生コンプラントで生コンを作ったにも関わらず納入先の現場の都合により生コンが余ってしまうことがあります。
これを「残コン」や「戻りコン」といい、処理が問題となっています。
残コンは練り始めから数時間経てば硬化が始まるため早く処理しなければなりません。
また、生コンは現場ごとに強度などの規格が違うため流用することもできません。
昔は残コンに水や混和剤を加えて再度出荷をするということがあったそうです。
今回の事件も別の生コンに混ぜたとのことで似たようなことをしたのだろうと思います。
無論、このような処理は法令やJISに違反した悪質な行為なのでしてはいけません。
余った生コンのゆくえ
では余った生コン、残コンはどのように処理するのでしょうか。
日本コンクリート工学会の資料によると下記のような利用方法があるとされています。
代表的な例としてコンクリートブロックなど二次製品と呼ばれるものの材料に使うことがあります。
コンクリートブロックであれば建築物など厳格な管理が必要な物と違い、練り始めから時間が経っても使えます。
これなら型枠に流し込むだけで処分できるのですが、型枠の整備やコンクリートブロックの販売など手間がかかるのですべての生コンプラントができるわけでない処分方法ではあります。
他にも生コンを洗浄して骨材や洗水を再利用することもあります。
ただ、再利用できない生コンもありますし、手間も費用もかかるので生コンプラントとしてはなるべくやりたくないというのが本音だと思います。
残コンを出さないためには
このように生コンが余ってしまうと二次製品に使ったり洗浄したりと手間も費用もかかります。
ということは、生コンプラントで働く人たちにも負担がかかりますし、処分方法によっては環境負荷がかかるおそれもあります。
たしかに、今回の残コンの混入事件は完全に生コンプラントが悪いです。
しかしその背景には残コン処分にまつわるプラントの苦労があることも知ってほしいと思います。
残コンを出さないことが望ましいのです
しかし打設する施工業者としては生コンが足らないと、追加で生コンを頼まなければいけなくなるため時間がかかります。
そうなれば打ち重ねのせいで施工不良になる恐れもあるため多めに注文せざるをえないという事情があります。
とはいえ生コンの必要量は構造物の体積や実績から求めたロス率を計算することで予測することが可能です。
私も、生コンが足りなかったり、逆にかなり余ったりして非常に悔しい思いをしてからはキチンと計算して注文するようにしています。
こうした施工業者の努力によって残コンを削減することは可能です。
今回のような残念な事件を防ぐためには生コンプラントへの規制を厳しくするだけでなく、施工業者の施工管理者が残コンを出さないように努力することも不可欠だと感じます。
ぶっちゃけ
生コンプラントは組合全体で残コンの処分費を1,000,000円/m3くらいにめちゃくちゃ高くすれば、施工業者も残コン出さなくなると思うのです。
そうすれば残コンを出すような残念な施工業者も施工管理者も淘汰されるのです。
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