はじめまして。自転車トライアルと申します。
自転車トライアルについて散らかっている情報をできるだけまとめてみようと思い、noteを始めてみることにしました。トライアル関連記事が主で、後は適当な散文を載せたりしようかなとぼんやり考えています。
私は自転車競技の中でもかなり珍しい「トライアル」という種目で使う、競技用の自転車をメインで扱っている「自転車屋のどか」というお店をやっております。場所は東京都昭島市。西武拝島線「西武立川駅」より徒歩5分程の住宅街でひっそりこっそり営業しております。
実家の1階をDIYで改装しただけの、適当な店構えです。袋小路の一番奥にあるので、年に数人はたどり着けないと電話が入ります。ただ、自転車トライアルについてネット検索をすると当店がHITするらしく、有難い事に全国からお客さんがいらっしゃいます。最近では海外からの来客もあり驚くばかりです。
さて「自転車トライアルとはなんぞや?」という所からのお話は割愛して(たぶんこの記事を読んでいる方々は、それなりにネットで調べていると思いますので)、自転車屋目線で「何を買えばいいのか」というお題でスタートしましょう。
【ストリートかコンペティションか、それが問題だ】
Youtubeのおすすめ動画で見て興味が出た。イベントでデモンストレーションを見てやってみたくなった。そんな方々が「はじめまして」と来店されます。最初からほぼ完璧な青写真を描いて来られる方は稀で、基本的に情報が乏しいトライアル車両については「何を買えばいいのか分からない」という状態で来られます。そんな状態が普通ですので大丈夫です。そこで私は一番最初に確認をします。「ストリートトライアルがやりたいのですか?それとも競技、つまりコンペティションのトライアルがやりたいのですか?」と。
自転車トライアルは2023年現在、大きく分類すれば2種類に分類されます。「ストリートトライアル」か「コンペティショントライアル」です。ストリートは主に24インチホイールの見た目はMTBっぽい車両です。サドルがついており、短距離であれば移動手段として使えなくもないです。コンペモデルはサドルもついておらず、かなり独特な見た目の車両になっています。コンペモデルは20インチが多く、26インチもあります。現在ではほぼ絶滅危惧種ですが24インチも一応あります。専用車両は自転車業界でも基本流通しておらず、大手スポーツ自転車店に行っても置いていません。また個人経営の有名スポーツバイク専門店でも扱ってさえいないでしょう。私のお店には年に一人くらい「同業なのですが・・・」と名刺を携えて「トライアル車両の現物を見てみたくて」と来店されるくらい珍しいです。
そんな珍しい自転車ですから、どんな基準で選べば良いのか分かりませんよね。「どんな自転車でもトライアルはできる!」という理論は一端置いておいて、専用車両の選び方に移りましょう。この2種類の似ているようで全然違う「ストリート」と「コンペティション」、私が一番最初に確認するのは「回転系の技をやりたいか否か」です。くるくる回る系の技はストリート特有の技なので、コンペモデルではやりにくいです。というか、そもそもそういった使い方を想定していませんので、基本できないと考えていただいて構いません。ですので「どうしてもテールウィップ2回転をやってみたい!」という方は、迷わずストリートを購入して下さい。次に伺うのは「早くダニエルができるようになりたい」かどうかです。出ましたね憧れの技ダントツ1位の「ダニエル」。これは私も憧れましたので気持ち分かります。競技では欠かせない技の一つである故に、コンペモデルで練習するのが最もダニエルへの道は近いです。1つはジオメトリー、もう1つは軽さ。ダニエルを早くやってみたい方は、迷わずコンペモデルを購入するのが良いでしょう。
トライアルの歴史を見た時、最初に来るのはコンペモデルです。ストリートは割と早い段階からありましたが、あくまでもコンペモデルを乗りこなしている人が遊びでやっている。という派生系になります。ですので順番としては・・・
コンペモデルを買って練習する
↓
ある程度乗りこなせるようになる
↓
色々なスキルを応用してストリートで遊ぶ
といった流れが最もスムーズです。私も見た目や技の派手さから、ストリートトライアル車両を最初に買いましたが、結局コンペモデルをしばらく借りて練習し、ストリートトライアル車両でもできるようになりました。つまり初心者がストリートトライアル車両を買っても、実は遊べる幅が案外小さく、結局はコンペ車両も必要になるという事です。これはトライアル界に入ってからの私的な統計で申し訳ないのですが、ストリート車両を買った人の中で、その車両だけでトライアル全般がとても上達した!という人を見たことがありません。上達するにはコンペモデルは避けて通れないのだとほぼ確信しています。ストリートが上手な人はもれなくコンペモデルを乗って来ているか、両方乗っています。またストリートを最初に買ったけど、続けているうちに壁にぶち当たってコンペモデルを買い足す。という人がほとんどです。それ以外の人は、恐らく残念ですがトライアルを挫折してしまっている人たちです。
【今回のまとめ】
ストリートトライアルはかっこいいのですが、かっこよく乗りたいのであれば理想は両方買うことです。ですが安い自転車では無いので、どうしてもストリートに強い思い入れが無い限り最初はコンペモデルを購入することをオススメします。次回、「じゃあ、その中でもそのメーカーのどんなモデルを買えばいいの?」という疑問にお答えしてきたいと思います。