トライアルとかいう人間の取扱説明書を更新してくれる神スポーツ(ラノベ風味)
最近思うのですが、自分の事は自分が良く分かっていると言いますがそれは内面的な話であって「対外的な自分の取扱説明書が雑」だという事に気が付きました。それすなわち「実は内面的な自分の取扱説明書も整理されておらず、日々適当に過ごしてしまっている」事の現われなのでは?と思い立ち、記事を書いています。
日本人の人生って、幼稚園や小学校で「集団生活」「基礎学力」の取説を作り、中学高校で「応用力」「適応力」「人間関係」「上下関係」などを書き加え「テンプレの取説を完成させる」のが基礎にあると思うんです。
ここに「会社を辞めた時の税について」とか「投資の基本」「起業基礎講座」なんて項目を追加して欲しいと思う個人的感想は置いておきますが、量産型を目指す日本のやり方に沿って私も出来上がってしまっております。まあ、だいたい取説の内容は中の下くらいならいいかなーとか思う訳です。
その「量産型取扱説明書」があれば、なんとなく大学に行ってなんとなく就職して、なんとなく社会人生活が送れる訳で。思考停止状態で暗記してる自分の取説に則り生活している人が多いのではないでしょうか。少なくとも私自身は繰り返す日々の中で自分の取説について疑問視する事はあまり無く、履き慣れた靴になった「自分」という「動く有機物」に少しだけ「社会性」を着て過ごしているだけです。
大人になると自ら目標を持たない限り、必要以上のインプットをしなくなる傾向が強いです。おっさんになると昔話を繰り返し、古いアイドルしか知らなくなり、若者言葉が外国語に聞こえ、物事のやり方も最後のアップロード時から更新されないままです。
そんな最終更新日が数十年前から止まっている取説を取り出し、さあ新しい内容を書き加えよう!と思い立つのは大変に腰が重いもの。ではどうすれば「あれ?どこに仕舞ったっけ?」と成り下がってしまった自分の取説を更新できるか。それは「趣味を持つこと」だと思います。
トライアル関連の記事ですから、この「取説の更新」にトライアルという遊びがとても有効性が高いという事をお伝えできればなと思います。
たくさんある「趣味」の世界。ですが「体を動かす趣味」となると少し幅は狭くなります。楽器も身体を動かすといえば動かしますが、もっと根源的な「全身の使い方」について深く考えるのはやはりスポーツでしょう。トライアル以外の自転車競技、もしくは他のスポーツについては一端置いておいて、トライアルについて話を掘り下げて行きましょう。
指導法がある程度固まっているメジャースポーツと違い、トライアルは常に自らが求道者でなくては上達できません。野球やサッカーが「古くから文章化されている文化」だとしたら、トライアルは「口伝による古(いにしえ)の神話」程度のザックリ感です。この文明社会の中で、未だに天気予報を祈祷師が行っているくらいだと思って下さい。(あくまで例えです)
ですがこの「自らが求道者でないと上達できない」という部分に、自分の人生の取説を更新できる大きな魅力が詰まっています。
トラ車に初めて乗った時、その操作性の悪さから不良品を疑うくらい思い通りに動かせません。そして「あれ?自分ってこんなに自分自身を思い通りに動かせないんだっけ?」と強く感じます。「もしかして自分には無理なんじゃなかろうか」と思う刹那、小学生が軽々とその課題をクリアしていく現実を見ます。そうやってまたトライアルの自転車操作を通じて、人生の1年生に戻れる訳です。
2024年現在はネット社会で何でも便利に調べられますから、とりあえずYoutubeなんかで基礎練習方法動画なんかを視聴することでしょう。しかし前述の通りトライアルは練習方法が「古からの口伝」レベルなので国内外全ての動画で言っている事に一貫性が欠けます。そして最終的には自分の身体が思うように動かなくてはいけませんので、地道な練習あるのみです。なかなか思うようにいかない、正解が分からない、成功したけど「なんで成功したのかも分からない」と、分からない事づくしです。ここに取説の更新ポイントが詰まっています。
私のお店に来られた方に、よく教えるのが「踵を下げる」事です。これは私自身が教えてもらった事で、基礎動作以前の「基礎に入る前の基礎」になるかと思います。そして教えてあげるとほとんどの人が途端に乗りやすくなり、その場で成長を実感できます。
上手く乗れない
↓
何度かやっても上手くできない
↓
(ちょっとアドバイスを貰う)
↓
途端に改善して上達する
どのスポーツ分野でも同じだとは思いますが、自分の中で「これが自分にとっての正解」と思える方法に辿り着いた時点で、ひとつの答えが生まれます。それをひとりで行えて、場所も別に玄関先でもいい手軽さもある。こんな手軽に成長を実感できるスポーツは少ないと思います。特に2輪競技では自転車トライアル以外は無いのではないでしょうか。ストリートはそれなりの空間を必要としますし、ダウンヒルは当然コースに行く必要があります。クロスカントリーは距離を必要としますし、ロードバイクも同じくです。
私が知らない自転車競技もたくさんあると思いますが、この記事はトライアル万歳な記事なので、とりあえず自宅筋トレ的な手軽さで遊べるトライアル万歳です。
さて、あなた自身の取扱説明書の最終更新日はいつでしょうか。思い通りに身体も自転車も動かせるようになってみたいと思いませんか?これは単にトライアル遊びを推しているだけでなく、自分自身と真剣に向き合う機会を設けられる。という拡張性も持っている事をお伝えしたい次第です。「成長」の実感から遠ざかっている大人にこそ、お勧めしたい自転車遊びです。
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