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迷子の社会~失われた方向感覚~
戦場では指揮官のセンスが勝敗を分ける。とくに「進むのか、退くのか」の判断は生死を大きく左右する。SDGsの報道を見ていて、ふとそんなことを考えた。日本には真のリーダーシップが欠落し、大半の兵卒は方向性を見失い、与えらえた自由の中で「自慰行為」に走る。
67年の時を経て、再び敗戦へ。イーロン・マスクの勝利宣言とともに。
①戦後の日本社会
大戦後の日本は、安全保障をアメリカに委ね、経済成長に基軸を置いた。「護送船団方式」や「マスメディアの活用」で価値観・教育水準・生活様式・資産形成などに統一感を生み出して、高度経済成長を成し遂げた。
民主主義は体裁にすぎず、実際は国家主義的な方策だが、急速な経済成長のための「必然」であった。戦前の価値観とも親和性がある。同じ方向を向いて走っていればよい。凡人とっては比較的運の良い時代だ。
ヘーゲル風に言えば「人類が究極的な目標に向かって進歩し続ける」時代。
この時代の人を「ヘーゲル世代」と呼ぶことにする。
②ポストモダンの時代
プラザ合意からバブル崩壊、そして、失われた20年へ。1980年代、ひたすら努力する日本は、虎の尾を踏んだ。貿易摩擦に対してアメリカの敵視政策が始まり、バブル崩壊で一気に富は吸い取られた。
成長路線は行き詰まりを迎え、限られたパイの奪い合いが始まり、中産階級は地盤沈下。結果、少子化が進んだ。「持つもの」と「持たざるもの」の階層分化が進展したが、富の再配分はかつてほど行われるはずもない。失われた20年の過ごし方が人生設計を大きく分けた。
阪神淡路大震災や東日本大震災、中国の台頭やグローバル化の進展。技術革新によって護送船団方式の必要性も低下。同時並行的に様々な環境変化が激流となって日本を飲み込んでいった。
かつて、マキャベリは「運命と神の支配から自由意志へ」といったが、
サルトルは「自由の刑に処せられている」といった。
③VUCA時代
実際、意外と見えている人はいるんだと思う。わたしは見えない一兵卒。「持つもの」はバラマキをやって人気を取りつつ、更なる富の集積を進める。もしくは早期のリタイヤ。もちろん「真のリーダーシップ」は放棄したままで。「持たざるもの」は迷走を続ける。
【生き残りには高度なスキルと判断力】
・少数精鋭の技術者集団を適宜形成
・ティール組織とOODA、DAOの意思決定
・ピボットを踏み、スピーディな判断と対応
【逃げ場としての個性】
残念ながら、特筆すべき才能というのは誰にでもあるわけではない。それは自己肯定感とは関係ない。しかし、人はほめられたい生き物である。自分が安らげる居場所を探すのは、当然の行動ではあるが、そこがただの逃げ場になるという恐れを感じる。
・SNSという「つぶやき」の空間
→瞬間的に消えゆく声、不特定なつながり
・ナラティブ、好き・推しという価値観
→そんな「わたし」も愛して
・内への逃避行動で、悲劇から目を背ける
・自分の好き「探し」という奇異な行動へ
【正義を求める動き】
数限りなく存在する二項対立の価値観の中でどんどん方向感を見失い、自分というあいまいな価値観の中で、正義を模索しながら適宜「つぶやく」。
・美という正義、好きという正義
→ホワイト化、ビジュアル重視
・法的正義
→「誰のための正義」かに気づく
結果、シルバー民主主義を敵視し、「プチ持っているもの」にこの状況を招いた責任追及の矛先を向ける。「持っているもの」は高笑い。
キルケゴールは「現実としての人間の生き方」を模索して苦しんだ。
この時代の人を「キルケゴール世代」と呼ぶことにする。
④アウフヘーベンからジンテーゼへ
必要なのは「ヘーゲル世代」と「キルケゴール世代」のアウフヘーベンだ。
その先のジンテーゼだ。
日本のグランドデザインの一貫として、私は「地方創生」の活動に大きな興味がある。自分はこれから踏み込む予定なので、偉そうに言える立場でもないのだが、様々な取り組みの記事を見ていると少し違和感を覚える。
・第二次ベビーブーム世代がオブザーバー
・Z世代が看板
・カフェ、楽しく語り合い、好きに囲まれ
・時には自然に触れて自分を癒す
爺さん婆さんが見えない。メディアが恥ずかしいのか、コミュニティが隔絶されているのか、当事者として巻き込めないのか。日本のマジョリティは、現状変更を嫌う傾向は強い。が、シャッターを下ろされると改善も先延ばしになるだけだ。相続税は国の収入だ。暗黙知は消えてなくなる。
わたしの目指すべきポジションはそこなのかもしれない。
(2022/8/27)