野田映美+高寺あずま

のほほん派イラストレーターの野田映美と、ぼんやり系ライターの高寺あずまが、新宿界隈をふらふら歩いて、気になる街角をちんたら記録します。ふたりの共著『ネコと読む『方丈記』に学ぶ〝人生を受けとめる力〟』も文響社から好評発売中。

野田映美+高寺あずま

のほほん派イラストレーターの野田映美と、ぼんやり系ライターの高寺あずまが、新宿界隈をふらふら歩いて、気になる街角をちんたら記録します。ふたりの共著『ネコと読む『方丈記』に学ぶ〝人生を受けとめる力〟』も文響社から好評発売中。

最近の記事

    • プレイスポットデイトライン、または新宿二丁目盛衰記(おまけ)

      ちょうどいま(というのは、2019年10月12日から11月1日にかけてのことですが)、シネマヴェーラ渋谷で特集上映「蘇る神代辰巳」が開催されており、わたくしも何本か鑑賞してきました。 神代辰巳は日活ロマンポルノを代表する監督のひとりで、『恋人たちは濡れた』(1973年)や『赫い髪の女』(1979年)などは、成人映画という枠を超え、日本映画史に残る傑作として知られています。 さて、ロマンポルノはけっこう新宿ロケが多く、今回初見の『濡れた唇』(絵沢萌子の魅力爆発のノワールな佳

      • プレイスポットデイトライン、または新宿二丁目盛衰記(その2)

        (つづく)と記してから、数か月が経過しているような気もしますが、何事もなかったようにつづきます。 版元である新潮社の説明文をまるまる引用すると、伏見憲明『新宿二丁目』はこんな本です。 東西約三百m、南北約三百五十mの区画の中に、三百をはるかに越えるゲイバーと、女装系、レズビアン系バーがひしめきあう新宿二丁目。「二丁目」として海外でも有名な、世界最大の多様性を抱えるこの街は、一体なぜ、どのようにして、いつ頃からそうなったのか。自身、そこでゲイバーを経営する著者が、関係者への

        • 銅造地蔵菩薩坐像

          プレイスポットデイトライン、または新宿二丁目盛衰記(その1)

          紀伊國屋書店新宿本店1階には「新宿の棚」というコーナーが設けられており、『ノルウェイの森』や『ゴールデン街コーリング』のような小説、『台湾人の歌舞伎町』や『新宿駅大解剖』といったノンフィクションなど、新宿にまつわる多種多様な本が並んでいます。 脇にいるのは創業者である田辺茂一さん(を模した人型のパネル)。往時の新宿を豊富なエピソードとともに活写した名著『わが町・新宿』も、数年前、当の紀伊國屋書店からめでたく復刊されました。 わたくしの手元にあるのは、1981年、いまはなき

          プレイスポットデイトライン、または新宿二丁目盛衰記(その1)

          紀伊國屋書店の文庫売場、またはケッチャム王子の異常な愛情

          本を買うとき、7割方は紀伊國屋書店新宿本店で済ませます。近場にあること、品ぞろえが充実していること、このふたつが主な理由です。 本といっても新刊と既刊の両方があるわけで、とくに後者にかんして、紀伊國屋は頼りがいがある。数年前に出た本が当然のように棚に並んでいるので、わざわざ取り寄せる必要がありません。その場で買って、すぐ読める。このシンプルさがよいのです。 「Amazonつかえばもっと楽じゃん」という見方があることも承知していますが、書店にかぎらず、リアルな場所の空気感と

          紀伊國屋書店の文庫売場、またはケッチャム王子の異常な愛情

          JR新宿駅構内のスキマ

          JR新宿駅構内のスキマ

          紀伊國屋ビルディング、または前川國男の打込みタイル

          NHKの連続テレビ小説『なつぞら』の主人公なつは、新宿の路地裏にある「風車」の二階で暮らしているという設定ですが、ときおりこのおでん屋でビールをかたむけ、ほろ酔い加減でたのしそうにしているのが「角筈屋」の茂木社長。 新宿の地誌を愛するみなさんなら先刻ご承知でしょう、角筈屋のモデルは紀伊國屋書店、茂木のモデルは創業者の田辺茂一で、経営者としてはもちろん、新宿を盛り上げた文化人として(そして希代の遊び人としても)知られています。新宿映画の金字塔『新宿泥棒日記』(監督大島渚、主演

          紀伊國屋ビルディング、または前川國男の打込みタイル

          ビルディングとエジンバラ

          ビルディングとエジンバラ

          新宿末廣亭の寄席文字、または人気が右肩上がりになりますように

          落語に興味はあるけれど、わざわざ寄席に通おうとまでは思わない。そんなあなたにおすすめなのが、毎月の第3日曜日、TBSで放映される「落語研究会」です。 なにより月一回というのがありがたい。これが毎週のこととなると、録画がたまっていくなんてことにもなりかねませんが、月に一度くらいなら話芸に聞き惚れる時間だってひねりだせます。 この番組の良さは余計な演出がいっさい無いところ。キャメラワークも噺家を正面からとらえるだけ。京須偕充さんの解説とお相手をするアナウンサー長岡杏子さんのや

          新宿末廣亭の寄席文字、または人気が右肩上がりになりますように

          あづまとぼでごんと末広亭

          あづまとぼでごんと末広亭

          地には平和を、または新宿ハトぽっぽウォーキン

          ハトといえば平和の象徴。 という刷り込みが抜きがたくあるものの、あらためて考えてみると、なぜそうなのか、理由はよくわかりません。こういうとき、自らの知識不足を実感しますが、それを補ってくれるのが我らがインターネットでして、さっそく検索してみると、国立国会図書館が運営する「レファレンス協同データベース」に行き当たりました。 「ハトが平和の象徴という理由を知りたい」という質問を投げかけたのは小学生。好奇心旺盛で頼もしいかぎり。回答は岡山市立中央図書館。 聖書の中の「ノアの箱

          地には平和を、または新宿ハトぽっぽウォーキン

          新宿二丁目、または写真史が横たわる場所

          新宿二丁目といえば、世界に名だたるゲイタウンで、仲通りに一歩足を踏み入れると、そこかしこにゲイバーやレズビアンバーの看板がひしめきあっています。こうした飲み屋は、とうぜん性的少数者のコミュニティとして機能しているため、入口に「会員制」と掲示された店も多く見受けられます。 そんな土地柄を反映しているのでしょう、すぐ近くにある新宿マルイメンでは、LGBTの象徴であり、社会の多様性をあらわすレインボーフラッグが掲げられています。ウェブサイトにはこんなメッセージがありました。 新

          新宿二丁目、または写真史が横たわる場所

          新宿に住んでいた友人の思い出

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