30分で書く嘘日記②毛
2024年11月11日
仕事仲間になってくれるアルパカを探しに会場へ行った。会場には毛量の多い者が集まっていて、わたあめの中を抜けるように毛玉の間を縫って進んだ。大きい者から小さい者までいた。見覚えのない者はおそらくイエティだろう。
アルパカのコーナーには一匹だけ毛の短いものがいた。
「毛を刈ったばかりなんだよ」湿り気の多そうな舌をちらちら光らせながら立会人の老人が言った。「真っ新な状態で仲間を探したいという、本人の希望でね」
そのアルパカを見上げると目が合った。無口なアル