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「保存的治療」の中の接着治療について

みなさんこんにちは
2025年12月東京都杉並区にのだデンタルクリニックを開院予定の
歯科医師の野田裕亮です!


前回の「保存的治療」の中で今日から何回かに分けて破折歯に対しての接着治療について歯牙移植の治療の流れのように診断、手術、その後の治療を分けてお話しようと思います。
歯根破折は歯の喪失の第3位とされており、むし歯や太い金属の土台が主な原因とされています。


(厚生労働省H Pよりhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html)


このグラフを見ると40代以上の方の歯の喪失の中で、むし歯による喪失以上に歯の破折による喪失の割合が増加しているのがわかります。

歯に起こるヒビについてもいろいろ分類をされていますが、以前書いたブログの中で、
・歯牙全体のヒビ
・根尖からのヒビ
に関しては保存ができないとされています。

それは歯根のヒビに対して骨縁下まではアプローチが届かないからです。一般的には抜歯を行い、入れ歯、ブリッジ、インプラント治療を計画されることが多いと思います。
接着治療とはそうした骨縁下にわたる歯根破折に対して医療用接着剤を用いて接着を図るというもの。
例えが正しいかわかりませんが、

「よく小学校の教科書に出てきた縄文土器、弥生土器のように発掘される時はバラバラでも接着剤で繋げ合わすことで一つの土器に戻ります。ただし、破片が一つでも足りなければそれは土器として完成できません。歯も同じ。パズルのピースが揃えば健康な歯周組織に守られてなんとか保存が保てますが、ピースが揃わなければ成功することはできません。」
そうお話しています。

接着治療の分類として
・口腔内接着法(直接法)
・口腔外接着法(再植法)
があります。

口腔内直接法とは読んで時の如く根の中に直接医療用接着剤を流し込むことで破折を埋める方法です。再植法と違い一度歯を抜く必要がないため、抜去時のさらなる破折を起こすことがないため、侵襲性の少ない治療法といえます。しかし、破折片同士が分離してしまっていることで中に歯肉が入り込んでしまっている場合や破折歯の周囲に炎症が認められる場合は適応にならないため適応症に限りがあります。

口腔外接着法は再植法ともいい、一度口腔外に破折片を抜去し、歯の形態を医療用接着剤で復元し、抜歯窩(抜いた穴)に戻すという術式です。割れてしまった歯質を確実に復元できること、割れ目に歯肉が陥入していても口腔外で元に戻すため適応になります。しかし一度口腔外に抜去する際にさらに破折してしまうリスク、歯周組織が感染によりすでに痛んでしまっている場合適応にならないことがありますので、しっかりとした事前診査が必要です。


一人でも多くの歯が残せるよう日々診療しております。
抜歯の宣告をされた方、抜歯の前に是非ご相談ください。


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