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⋆留学を決める前の10年間。

フランス生活を綴る前に書いておきたいこと、パート1。
今回は少し長くなるので、目次を作りました。
読みたいとこに飛んで読めます。

片想いの始まりはいつ?

正直、私がいつから“フランス”というものに惹かれていたのかは定かじゃなくて。何がいいのかと聞かれても、パッと答えられない。

でも、高3の授業中にノートを破ってやり取りしていた手紙ですでに、友達の「Hello!」や「감사합니다!」に対して「Bonjour !」や「Merci !」と喜んで書いていた記憶がある。

この時は、ただただ「なんだかアートでロマンチックなフランス」に憧れていたような気がする。

夢の空間と、口先だけの夢

高校卒業後、専門学生になった私はお気に入りの雑貨屋と出会った。
そこは南仏からやって来たものたちが、細々と、でも行儀良く並べられた小さな屋根裏部屋のようなお店だった。

学生に買えるものなんてそうなかったけど、とにかく私の好きなものしかない空間で  “いつか、この店主さんが見ている景色をぜったいに自分の目で見るんだ”って、軋む階段を降りながら毎回心に刻んで帰っていた。
そして “いつか、こんな雑貨屋を私も開きたい”と思って、経営について学ぶために商業系の専門学校へ行った。

この頃から、嫌なことがあるとすぐ「あ〜フランス行きたい...」と呟いて、頭の中で逃げていた。
でも冗談半分で「私、フランスに行くから」と口癖のように言い回っていた割には、この時も大して何も計画はしていなかった。

もはや何がしたいか分からない

クラスメイトの就職先がどんどん決まる中、私の中で「雑貨屋をやりたい」という目標が揺らぎ始めたのは卒業前。
なんだか途端に、そんなことできないかも...と漠然と不安になった。授業を受ければ受けるほど、自分は経営者には向いてない自覚があったから。

2年生になってからは、専門学校のクラスメイトや同級生の友達よりも、フリーランスの人や自分の好きなことで独立している人と率先的に関わるようになった。
そして、とにかく知り合う人みんなに人生相談をして回った私は、その時にたくさんの素晴らしい縁が出来た。
...が、その分就活はほとんどしなかったので新卒入社の予定なんてあるわけもなく。
市内の雑貨屋のアルバイトですらことごとく面接で落ち、方向性を見失い始める。

社会人って何が正解?

卒業後も必死でもがき続けて、かろうじてチェーンの雑貨店に契約社員として就職が決まるも、もともと少ないスタッフが次々と辞めていく。
そうなってくると、入社後1〜2ヶ月で自動的に副店長並みの責任がのし掛かってくる。(結局派遣さんしか残らなかったから。)
その上、感情が明らかに表情に出るにも関わらず何も言葉にしてくれない店長に対して、極度の人間不審に陥ったことで精神的に病んで退職。(こちらを見ながら大きなため息をつかれたり、ずっと観察されていたり、不機嫌な表情で首をかしげる仕草をされるのが日常的に続いて、個人的に地獄の日々だった。)

その後、いっときヒッキーになる。

何もしない毎日が続いていくうちに「このままじゃ人間じゃなくなる...」と得体の知れない恐怖に駆られ、決死の思いで部屋から出てひとまずはフリーターになった。
着ぐるみやチラシ配り・マネキン(試食売り)などの派遣や飲食店(ホール・キッチン)、販売員やカメラマンのアシスタントなど、9年間で様々な仕事を経験した。
幸いどの職場も人に恵まれていたし、一生懸命がんばって働いて充実していたけど、結局どこで働いても職場の期待(という名の勝手な思い込み)に応えることに必死になって、1〜2年で精神的に思いつめたり体調を崩したりして辞めることが多かった。

とにかく言い続けて引き寄せた?

社会人として生きている中でも、なぜかずっと「フランスに行きたい」とは言い続けていた。
当時は”留学”なんて選択肢として一切考えてなかったけど、 “いつかフランスに行くため”と希望を抱き、お金だけはほんの少しずつ貯めていた。

そしたら、友達が4年大を卒業するタイミングで「まだ渡仏を望んでいるなら一緒に(卒業)旅行しよう」と誘ってくれたり、フランス人の方を紹介してもらって格安で仏語レッスンを受けたり、フランスのワーホリ中の友達から「遊びにおいで」と声をかけてもらって実際に会いに行ったり、職場にフランス人のお客さんが来て家族ぐるみで仲良くしてもらったり…
と、なんだかんだ運良くフランスと繋がることができていた。

たとえそういう誘いや話が来ても、ベストなタイミングで休みが取れたり、人のツテで安いチケットが取れたりはそうそうないだろうから、自分で引き寄せたのかなと今では思う。
(ずっとサービス業だったから、基本は連休なしの休日出勤は当たり前。2回目のフランス旅行時は行きた過ぎて勢いでチケットを取った後、シフトの相談を身構えていたらなんとバイト先の閉店が決まってしまった…!)

結果、もっと好きになってしまった

知れば知るほど興味が湧くし、旅行でフランスを2度訪れて強く思ったのは「キラキラした観光用のフランスじゃなくて、もっと日常的なフランスが知りたい」だった。
たった10日ほどじゃ、全然足りない。

ここまでで結局、18歳くらいから28歳までずっと「フランスに行きたい」と言っていたことになる。
でも、“このままずっと、行きたい行きたいと言いながらさらっと30歳を迎えるのか?”とか、“いつ、この想いが昇華するのか?”と真剣に考えた。

10年も「フランスに行きたい」と思い続けていたことに改めて気づいた時は自分でもちょっと引いたけど、もともと口先だけの夢だったものがいつしか魔法の呪文のようになり、これはもうそろそろ行動しとかないとぜったい後悔するな...と悟った。


次の記事、 パート2 への続きます。


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