父ちゃんの本棚・先生、バスケがしたいです!私の原点『SLAM DUNK』
みなさんこんにちは。髪型だけは桜木花道のnock3です。今回はマンガ紹介。私が紹介するまでもなく多くの方がご存じであろう、バスケットボールマンガの金字塔『SLAM DUNK』です。
あらすじ
主人公の桜木花道が憧れの女性、赤木晴子に近づくために入部したバスケットボール部。札付きの不良でバスケがド素人の彼が、類い希な身体能力を武器に、地道に練習を重ねながら少しずつバスケットボール選手、そして人間として成長していく物語です。
マンガの魅力
SLAM DUNK以前も『ダッシュ勝平』や『DEAR BOYS』などのバスケットボールマンガがありましたが、SLAM DUNKの大きな特徴としては、「バスケットボールの試合描写のリアリティ」が挙げられます。描写には、プレイ中の選手の身体の動きはもちろんのこと、試合の流れやプレイヤーの精神状態など、プレイヤーが感じるリアルな状況が描かれているところが素晴らしい。シリアスになりがちなスポーツマンガの中にも、作者独特のユーモアもあって、バスケットボールに詳しくない読者をも引き込む魅力が詰まった作品です。
ちなみに私が衝撃を受けたシーンはこちら。
バスケットボールに詳しい方ならお分かりかと思いますが、コートのベースライン(ゴール下側のライン)はゲーム中はとても重要な場所で、ここに包丁持った怪しい大男がスウッと入り込んで桂剥きするなんて有り得ない!それでも何かを伝えようとした魚住の気持ちがこもった名(迷)シーンですね♪
作品の時代背景
作品の連載開始は1990年。当時私は小学生から中学生に上がる頃でした。その少し前から日本でNBAがメディアに露出する機会が多くなり、これまで一部のファンしか知りえなかったNBAの情報が流通するようになります。その時代の代表選手であるマイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソンは、当時野球少年だった私でも知っているほどのスーパースターでした(小柄な私はケビン・ジョンソンのファンでした♪)。
そして私が1992年に開催されたバルセロナオリンピックでは、バスケットボール競技でもプロの参加が認められ、NBAのスーパースター集団である「ドリームチーム」が結成。圧倒的な実力で金メダルを獲得しました。
NBA人気が加速する中、スラムダンクはバスケ人気に乗って大人気作品となります。連載当初は桜木花道の赤いリーゼントと学生服姿の描写が多かったので、私が初めて少年ジャンプで読んだときは、同じ雑誌に連載されていた『ろくでなしブルース』みたいな不良マンガなのかなーと思っていましたが、回が進むにつれ、本格的なバスケットボールの描写が中心になりました。湘北高校をはじめとして、作中の各チーム、キャラクターはNBAのチームや選手をモデルにしており、当時からNBAの情報を伝えていた『Dunk Shoot』や『HOOP』などの雑誌を見ては、「ああ、このシーンはこの試合のこの場面を題材にしてるんだなー♪」などとバスケ好きの友だちと話すのが楽しみだった記憶があります(ミーハーだったので『月バス』は見てませんでした)。作者の井上雄彦さんのバスケ愛が紙面から溢れ出すのを感じることができます。
『SLAM DUNK』と私
中学生の頃の私はバリバリの野球少年でしたが、NBAとSLAM DUNKの影響で、お昼休みや放課後に野球部、そしてバスケ部の友人とバスケットボールに明け暮れるようになります。
そして高校に入学と同時にバスケットボール部に入部。桜木花道のようなサイズも才能もない私は、マンガよりも地道な基礎練習から始まり、少しずつバスケットボールという競技に慣れていきましたが、まともに試合に出させてもらうようになったのは最終学年の3年生になってから。最終的にスタメンには入れず、チームの7、8番目の選手として引退を迎えましまた。同じ年代、福島県内では、後に日本代表で活躍する渡邉拓馬さんが1つ上の学年にいて、試合中に軽々とダンクする姿を見て、「おお、リアル流川だ!!」と驚愕したものでした。
本物の才能を見て自分の身の丈を知った私でしたが、高校3年間の部活動で、バスケットボールの楽しさ、面白さを理解できるようになりました。なので大学時代も体育会系のバスケットボール部で競技を続けました。この間、SLAM DUNKの作中では1年も経っていなかったけど、現実の世界は6年が経過して、バスケのルールもハーフタイム制からクウォーター制に変更され、30秒も24秒に変わった。そして私はいつの間にか花道どころかゴリよりも年上になっていました。
最後に
『SLAM DUNK』に影響されてバスケットボールを始めたという方は数え切れないと思います。私もその1人です。この作品が作られてからすでに20年以上が経過しましたが、今読み返してもバスケットボールの本質が描かれている素晴らしい作品だと思います。桜木花道をはじめとした個性豊かな選手たち、花道を囲むちょっと悪い友人たち、晴子ちゃんとその友達や、試合中に解説をはじめちゃうバスケ好きのおっさんなど、いろんな目線からバスケットボールを楽しむことができる。また、田臥勇太選手をはじめとし、八村塁選手や渡邊雄太選手など、日本人NBA選手が生まれた一つのきっかけが、この『SLAM DUNK』だと言っても過言ではないと思います。時代は違いますが、サッカーにおける「キャプテン翼」のような、次世代の選手を生み出しているという意味では、歴史に残る名作ですね。
バスケットボールという競技の入り口として、また、バスケットボールを好きになるきっかけとして、これからも多くの人に読んでほしいと切に思います。