風とチーター
春一番なのか、先週からビュービュー風が強いメルボルンです。
うちは、フロント部分は築100年以上経っていてレンガ造りですが、普段生活している部分は後から建て増しされた木造なので、風の強い日には窓ガラスがガタガタ揺れて吹き飛ばされるんじゃないかと思うほどで、そのビュービューガタガタを聞きながら『三匹の子豚』に思いを馳せたりします。
天気予報を見たら、現在うちの地域の風速は37kmだとか。
・・・・風速37km!?
日本では台風での時だって、風速50mくらいだよね?と毎度ギョッとするのですが、実はこちらでは風速は基本「時速」であらわされるのです。
風の速さが「秒速」から「時速」に変わった途端ガラリとイメージが変わるんですよね。
例えば、風速10m/s、と聞くと、正面からウサインボルトが風になって秒速10mで走ってくるのを次々とかわしながら進んでいくような気持ちになる。
同じ風でも、これが36km/hの風、と言われると都電荒川線がゴトンゴトン通り過ぎるような雰囲気でのどやかな気分に。
個人的には「秒速の風」が好きです。
突風に飛ばされた木の葉が3秒後に30m先まで飛ばされる、というのは想像がたやすいけど、その葉っぱがながながと飛ばされ続けて、1時間後に36㎞先に到着するというのは、手紙を入れた小瓶を海に流して宛先通りに手紙が着く、というくらい鍛え上げられた想像力を必要とする話のような・・・いや、そうでもないのかなー。目の前の風は1時間後に36km先にいる風と同じなんでしょうか。
手元の図鑑を眺めていたら、世界で一番速い動物はチーターだそうですね。
その速さは「10秒で312.5m」、はやっ!
しかしそこに併記して「時速113㎞」と書いてあるのを見ると、ある種の「切なさ」を感じるのは、だれしもが、チーターが時速113㎞で1時間走り続けることなんてできない、というのが分かっているからなんですね。
とにかく最初の数秒逃げ切ればあとは何とかなる、とカモシカもシマウマも知っているからなんですね。
やっぱり風とチーターは秒速がいいなぁ
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