次世代の子供たちに必須の力 "共感"を養える絵本「きもち」
自分には気持ちがある、それは相手にもある。
大人にも、子供にも、「誰にでも同じに」気持ちはあるけれど、
「気持ちの中身」はみんな違う。
・・・という、超当たり前ながら、次世代には必須の力「共感する力」をわかりやすく考えることのできる絵本です。
谷川俊太郎さんならではの超俯瞰的な視点と、長新太さんの超絶シンプルな絵で、登場人物の心理描写をわかりやすく理解できます。
<基本ステータス>
・絵を中心に楽しむなら 1.5歳〜3歳
・内容を楽しむなら 2歳〜6歳
<特徴>
・各シーン、各登場人物の「きもち」を考えることのできる絵本です。
・ページ数あたりの登場人物も少なく、表情と構成もわかりやすので(ページを見ただけで誰の気持ちを考えるシーンかなんとなく)、「誰が」「誰に対して」「どんな気持ち」まで、詳細に考えられます。
・シーンは、友人間の喧嘩、父母の喧嘩、おもちゃの横取り、病院の待合室など
・冒頭数ページは絵だけのページが続きます。文章がありません。これは読み手次第。
・泣いた、怒ったなどネガティブな感情が結構多く、全体的に暗い絵本ではあります。
谷川俊太郎さんの言葉は、書き手の視点が超ミクロからマクロへ突然に遠ざかるので、読者は、宇宙から何かを見下ろして(かつ細かく各人の心理もわかっている)ような感覚になります。
この絵本でも、交錯する視点は、面白みの1つです。
最近、いくらスピーチの技術があっても、いくら論理的思考があっても、次世代のリーダに必須なのは「共感」する力なのではないかと思います。
世界にある様々な問題・格差を理解して、共感する力がなければ、ただの自己実現の延長に過ぎません。
共感し、共感しあってこそ、人々を動かす思考と言葉を作れるのではないかと、そう思って、いや半分、そうであってほしいと願っています。