【ネタバレ/映画レビュー】嘘を愛した女
5年ほど同棲した男性がくも膜下出血で病院搬送。
彼女は警察に呼び出され、彼の身分証明証がすべて偽造であり、自分が知っていた彼のあらゆることが嘘だったと知るー…。
「来る」の次にリコメンドされたので鑑賞。
劇場予告していた当時も少し気になっていたもの。
総論
彼女は彼の過去が気になって、それまで積み上げてきたキャリアを棒にふるかもしれない覚悟も持って、探偵と共に彼の過去を探りに行く。
やがて彼のパソコンが発見され、その中に保存されていた小説を発見。その中には彼が書いたと思われる、彼と、妻と、その子供の物語が綴られていた。
舞台は瀬戸内海。彼の過去が綴られているのではないかとあたりをつけ、彼女と探偵は過去の身辺調査を始める。
途中までその人と思われる人間に近くも、他人の空似であったことにがっかりするが、彼から、以前、同様の人を探しに広島県警が自分を訪ねてきたと告白する。
パソコンのパスワードに使われていた日付で広島の事件を探してみると、彼は元医者で、妻子が無理心中していることがわかった。まだ残っている家を訪ねて、飾られている子供の写真を眺めていると女の子であったことがわかる。小説の中に書かれているのは男子で、さらに妻の特徴は主人公と合致していることがわかった。小説は、主人公との未来を、彼が希望を持って描いていたものであった。
主人公は彼に確かに愛されていたと知って、病床の彼の元へ戻り献身的な介護を行う。やがて彼の意識が戻りー…そこで幕は閉じる。
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話のテンポは悪くなかったけれど劇場で見ていたら寝ていたかも。
キャラ設定がちょっといまいち。あんまり性格がよろしくない。
若干話に穴がある。流れは悪くない。
どこか昼顔を彷彿とさせる。
3.2点くらいかな。
ただ、個人的にはフィードバックがそこそこあったので見て良かったです。
ストーリー考察
自分の弱さの補完を他人に求める共依存関係
あんまりキャラに愛情をもてなかった…
きみはペット的関係。
くも膜下出血で倒れたのは事件によるストレスだったのでしょうか。
倒れる直前に彼女のお母さんに会ってと言われていたが、当日すっぽかし、その後に公園で倒れる。
会うことは自分の意思で拒絶したものと思われる。他人と法的関係を結ぶにあたってはさすがに過去の経歴なども誤魔化せないし、彼女に癒されているという感情を文章で書いて消化させようとはしたものの、消えるべきかどうするか、ズルズルきていたちょうど境目で倒れたものか。
彼女が、恋人が意識不明でコミュニケーションできない時間が続くも、彼との思い出を手繰ったり、彼の過去を知っていったりということで、どんどんその思いをこじらせていって神格化していくところは、別れた後でありがち。
ああ、こうやってどんどん忘れられない恋になるんだな…というのはちょっと思うところがありました。
捜査が進み、広島県警に行く前で「あなたにはわかんないわよ!」と叫ぶところの気持ちはよくわかんなかった。愛した人の過去を知るのが怖いということ…?それとも愛した人との記憶が揺らいでいくのが怖いということか。
途中まで、自身のことは愛している演技をしていただけで、妻子を今でも思っているのではと思い始めてしまったこともあっただろうけれど、パソコンに残してあった小説が、自身とその架空の子との話であったことに気づき、そういう妄想をしてくれるくらいには確かに愛してくれていたのだと確信を持て、東京にすっとんで帰る主人公。
意識のない彼の手を握って、彼が目覚めたらしたいことを羅列。
5年付き合ってて露天付き温泉行ったことないのか…とか、ヨガ別に彼好きそうじゃないな…とか、子供二人ほしいんかい、そこも彼が書いていたことと違うし、上がお姉ちゃんだと娘を想起させてトラウマなのではとか思うが、その辺の配慮がないまま自分の要望をぶつけにいく彼女もなんというか最後までずれていてそれっぽい。
何も知らないがとにかく自分に精神的にすがってくる素直じゃない彼女と、それを告げず多少ストレスに思いながらもまんざらでもない彼で、共依存的な関係だったのだろうと思われる。
最後のシーンはうっすらと彼が目を開けるが、意識が戻ったにせよ言語野が損傷しているかは描写がなく、あの後は重篤、植物状態、リハビリ、復帰とどの線も想定しうる。
なんにせよ彼の医療費を払えるくらい彼女が稼いでいたのは、単純にラッキーである…しかしあんな状態で仕事に戻れるのかね。
ウーマンオブザイヤー取ってれば本でも書いてなんとかなるのかな。治療を受けさせるためにも、彼女はちょっと反省して仕事を続けるべきである…
キャラ考察
①主人公(長澤まさみさん)
プライドが高く、へらへらしつつもキツイ物言いをし、自分が良く見えるように虚勢を張ろうとする。
同期の女性に対しても、自分には彼氏がいることで優越感を見せつけようとする。ワガママである自覚もありながら、それを受け止めてくれる人はいないのではないかとどこか怯えながらも、ある日出会った男性に惹かれ、自分を受け入れてくれそうな雰囲気に、どうにかしてもそばに置いておきたいと願ってしまう。
調査に出ている間、聞き込みをしている方々への感謝の態度もなく、探偵の方への無礼な態度の連続からも傍若無人な性格が滲み出る。
彼に対しては、好みであるという一点突破が大きく、かつ、好きな人の人間性を考察するよりも、自分から離れていってしまうことへの恐怖が先に立ち、やや一方的なコミュニケーションが多いところが懸念。
コンフィ〜のダー子ちゃんの方は演技であれをやってますが、こちらの彼女は素でこれなのでなかなか嫌な役回りでしたね。
(長澤さんは演技でそこまでやっているように見えるのでさすが役者さんだなぁと。なのでこれは脚本ですかな)
探偵との一泊を激しく嫌がるところはちょっと思うところあり。
記憶の中で彼のことを考え続け神格化してしまい、他の現実の異性と激しく乖離してしまったため、他の人からそういう対象と見られることにものすごいアレルギーを出し始めるというのは自分にも起こった事象なので、ああ、そういうことなんだな…と思って見ていた。難儀。
ベージュのファー付きコートが可愛かった。
瀬戸内の調査をあのパンプスはつらそうですね。
フラットシューズでもなかなかきついので女優さんにはスニーカーを履かせてあげたいところだが、プライド高いキャリアウーマン設定だったのでそこ貫いたんだろうなぁ…(確かに靴擦れで「痛っ…」というシーンは必要だった)
②彼(高橋一生さん)
とにかく線が細い…メガネがよくお似合い。
そして華奢さに反して、とにかく声が低いのが印象深い。
シンゴジラの安田さん役が印象付いている。
笑うと目尻がくしゃっとなるタイプの方で、この手の笑顔が好みという女性を一定数見るので、一部の層からは、本作でもベッドシーン込みで「キャー!」と言われているのだろうなぁ…と思いながら観ていた。
過去の経緯で妻子無理心中とあったけれど、結局妻は子を溺死させた後にトラックに突っ込んで事故死しているので少し歪められて報道されているようだ。
奥さん他人に迷惑をかける死に方はだめですぞ…トラックの運転手さんかわいそうである…
溺死した我が子を泣き叫びながら蘇生させようとはできるが、途中で育児に対して気を配らないあたりは、どんな作品でも家庭というものが成立しない根源としてよく描かれており、男女の超えられない壁であるように見える。
自分で選んで鑑賞しているのかはもはやわからないけれど、こういうのを見すぎて本当に自分はもう家庭という存在に憧れを持てないし、強い絆を持ったまま一生共にいるということなど不可能であるという前提で世の中を見てしまう…(苦笑)
家庭崩壊のその後、自殺する気にもなれず、殺人犯として追われているわけでもなく、流れ着いた東京で偶然にもお金のある女性に好かれ、生活。と、るろうに剣心的な流れ。
基本的に受け身で、消極的他責。出会い系アプリやってたのは、他のパトロン探しだったのでしょうか。
探していた小さなロボットフィギュアは、自身の好きだったものか。過去の記憶を手繰るのはつらいが、自身の幼少期であればいいということかな。
③探偵(吉田鋼太郎さん)
小五郎のおっちゃんと言われてましたがそんな感じでしたね。
ルパンのような小さいバンで旅をしつつ、ワガママ主人公をどこか放っておけないところも、娘にとりかえしのつかない発言をしてしまうところも、作中で”人間らしさ”のアイコンとして体現させようとした感のあるキャラクター。
奥さんが事務所に来た時に、ハッ…となって、そろりと机の上から足を下ろすのが可愛い。なんだかんだドキリとするくらいには惚れた女として今でも奥さんのことを意識はしていて、今更素直にもなれず、娘にも合わせる顔もなく、それでもズルズルとどうにかならないもんかと期待しているあたりも、こういう人いるよなぁという感じ。
主人公が言いすぎて、カバンを車から放り捨て、「あんたみたいな人と5年暮らした奴の気が知れない」と言ったのは好感が持てました。そうそう、そういうことははっきりすべき。それでも戻ってきた主人公が謝りもしないのに車に乗せちゃうあたりは甘いというか、いい人というか。あれは謝らせてもよかった案件ですがあえてそうさせたのかな。
④探偵助手(Daigoさん)
女性陣が割とヒス、主観的、傍若無人な性格が目立つ中、ピカイチで好きだった探偵助手。ブレない、そしてよく見ているので、機を読むのもうまい。
好きな感じだなぁ、誰だろう…と思いながら見ていて、途中で「あっこれDaigoさんか!」と気づいた。長髪似合います。
キムさんと呼ばれているので韓国の方の設定なのかなと思っていたけれど木村さんだった。
ゴスロリの子は性格が生理的に無理だったので割愛。
おすすめ度
見るとしたら女性なのかなぁ…忘れられない恋がある人向け。
ああいうタイプの女性が好きな男性にはいいのかもしれない。
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