始まり-吟遊詩人と謎の鳥-《連作掌編》
誰もいない山道を、とぼとぼと歩く緑色のコートを羽織る少女。彼女の目には、自由に羽ばたく鳥たちが映っていた。青い空を見上げながら、若き吟遊詩人は心の中で呟く。
「どうして人間には翼がないのだろうか?」
少女は独り言をつぶやいた。
「もし翼があれば、こんなに広い世界をもっと自由に旅することができるのに。」
少女の心には無限の冒険が詰まっていた。新しい土地を訪れ、新しい人々と出会い、彼らの物語を聞き、また自分の物語を語る。そんな夢を抱きながら、少女は詩を書き続けた。
ある日、少女は特別な鳥に出会った。その鳥はまるで、心を読んでいるかのように、少女のすぐそばに舞い降りた。鳥の瞳には知恵と謎が宿っており、まるで少女に何かを伝えようとしているようだった。
「君も空を飛びたいのかい?」
と鳥が尋ねるような気がした。
少女は微笑み、自分の詩集の一ページを開いて鳥に見せた。そこには、空を飛ぶ夢を描いた詩が書かれていた。鳥は興味深そうにその詩を見つめたあと、自分の足を差し出した。
その瞬間、少女の心には確信が芽生えた。この謎の鳥は、自分の足にその一ページを括りなさいと言っている。自分は翼を持たないが、自分の言葉と詩は翼となり、自由に旅をするのだと。少女の詩は空を飛び、遠くの人々の心に届く。そうして少女は、鳥たちと同じように広い世界を旅し続けることができるのだ。
それ以来、少女の詩には一層の深みが加わり、読む人々の心を動かす力を持つようになった。少女はもう空を飛ぶことを夢見るだけではなく、自分の詩を通じてその夢を現実にしていた。
これから語るのは、この吟遊詩人の足取りと、そこで出会った人々のお話。
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