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【第216回】 エンゲージメントデータの保持ポリシー 180 日への変更について

2025 年 1 月 15 日より、Salesforce Marketing Cloud Engagement のエンゲージメントデータにアクセスできる期間が 180 日に変更されます。この変更によって、エンゲージメントデータの保持期間が「データビュー」と揃うと思えば、理解し易いですね。

影響を受けるレポート

さて、「エンゲージメントデータ」と言っても幅広いですが、今回の変更で、以下のレポートが影響を受けるようです。

■ Email Studio のトラッキングのエンゲージメントデータ
■ 以下の Analytics Builder の標準レポート

  • Journey Builder メール送信のサマリー

  • Journey Builder メール送信の日別サマリー

  • リストの未エンゲージ購読者

  • デバイス別単一メールパフォーマンス

  • トリガーによる送信の領域別パフォーマンス推移

  • 購読者の直近の行動

  • 購読者エンゲージメント

6 ヶ月を過ぎた時に Email Studio のトラッキング画面の「開封率」や「クリック率」などの統計値が中途半端な形で計算されてしまうのか、それともそのまま維持されるのかに関しては、統計値の数値に影響はなく、あくまで購読者単位の詳細レベルのエンゲージメントデータにアクセスできなくなるだけのようです。よって、6 ヶ月を過ぎた時に「開封率」や「クリック率」が、おかしな数値になるわけではありません。

※ 今回、「データビュー」や「Intelligence Reports」は影響を受けません。


データのエクスポートについて

🔶 Marketing Cloud Engagement のデータ保持のヘルプ

上のヘルプドキュメントでは、もし、180 日を超えてデータを保存したい場合は、データを圧縮して、Amazon S3(有償)などの外部のロケーションに送信するようにオートメーションを設定するように推奨されています。またその方法も掲載されていますので、参考にしてください。

もちろん、データエクステンションに保存することも可能ですが、100 万規模の送信が多発する大規模送信者には厳しいかもしれませんので、そのような場合は、外部ロケーションに送信する処理が必要ということでしょう。

一方で、小規模~中規模送信者に関しては、データエクステンションに保管で良いかと思います。データエクステンションに保管する際の手順 については、以下の記事で少し触れたことがありますので参考にしてください。

なお、Salesforce CRM でこれらのデータを保管しようとしないでください。データストレージの観点から、保管環境としては最悪です。


補足

なお、以下の文章について補足しておきます。

Marketing Cloud Engagement の契約日が 2024 年 4 月 10 日 より前の場合、アクセスできるデータの範囲はどうなりますか?

  • 2025 年 1 月 15 日より、レポートで購読者およびジャーニーのエンゲージメントデータにアクセスできる期間が 180 日間になりますが、データは無期限に保持されます。次回の契約更新から、データ保持期間は 180 日に変更されます。

この「契約日」というものに「契約更新日が含まれます。つまり、2024 年 4 月 10 日に以降に「新規契約」か「契約更新」をしている会社の場合は、2025 年 1 月 15 日より 180 日より昔のデータにアクセスできなくなります。

今後も皆さん、契約更新をしていくと思いますが、契約更新を行うと、180 日間を超えるデータにアクセスできなくなりますので、注意して下さい。


最後に、今後、メインで使用していくであろう Intelligence Reports についても補足しておきます。

  • Intelligence Reports では、EventDate に基づき 2 年分のデータが保存されます。

  • Intelligence Reports のインストール時に、過去 90 日分のデータのみ遡って取得されますが、それより前のデータは取得されません。

  • Intelligence Reports のデータは Marketing Cloud 外(AWS)で管理されているため、Marketing Cloud から Intelligence Reports へ 1 日 1 回データが送信されています。この送信されるタイミングは、アカウントごとに異なります。任意の時刻に送信タイミングを変更することはできません。当日送信分のデータが確認できないのは、このことが理由となっています。

  • Marketing Cloud から Intelligence Reports へのデータ送信が失敗することがあります。何度か再処理は行われますが、それでも欠損する場合があります。欠損された場合、エラー通知は送信されないため、90 日以内に履歴データを再処理するようにケース申請してください。ダッシュボードで確認すると明らかに 1 日分データが無いなどの状況があったりします。

  • 連絡先が削除された場合、(個人情報が特定されない)エンゲージメントに関する「数値」データは削除されません。そのため、開封・クリックなどのエンゲージメントに関する「数」や「率」には影響が出ません。そもそも、Intelligence Reports は個人情報が AWS 側に送信されません。

  • 但し、有償版の Intelligence Reports Advanced により、データエクステンション連携機能を使って、個人情報を連携している場合は、該当の連絡先がデータエクステンションから削除されることで、連携されなくなることはあり得ます。この処理は 90 日以内で行われることが名言されていますが、通常 1~3 日程度で削除されます。

  • タイムゾーンは、子ビジネスユニットであっても、親ビジネスユニットと同じタイムゾーンが使用されます。

  • Hyperforce で Intelligence Reports を使用する場合、エンゲージメントデータは Data Cloud で保存/処理されます。この Data Cloud の Intelligence Reports を使用すると、Data Cloud の請求に影響を及ぼします。

今回は以上です。


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