【第123回】 Intelligence Reports for Engagement 内に初期設定で用意されている 5 つのメールレポートを確認する
Salesforce Marketing Cloud の Intelligence Reports for Engagement のピボットテーブルには初期設定で 5 つのメールレポートが用意されています。
■ 初期設定で用意されている 5 つのメールレポートとは
この記事を読んでいる人の中にも、Email Studio の Tracking レポートや Analytics Builder の Reports(定型レポート)は活用しているものの、それらのレポート機能と比較して、比較的新しいレポート機能となる Intelligence Reports for Engagement となると、十分に活用できていない人もいるかもしれません。
そこで今回の記事を読むことで、これらの基本的な 5 つのレポートの内容を確認し、その内容を理解することで、Intelligence Reports for Engagement に対する苦手意識を取り除いて頂ければと思います。それでは、一つずつ紹介して行きます。
① Journey Performance
まず最初に紹介する Journey Performance は、用意されている 5 つのレポートの中では、最も汎用性や活用度合いが高いと思われるので、他に先立って紹介しておきます。
このレポートは、ジャーニー内のメールアクティビティごとのエンゲージメントデータをサマリ形式で確認できるレポートとなっています。
まず、Rows は、以下の 3 つです。
デフォルトではバージョンが分かれて表示されますが、もしバージョンをまとめて表示したい場合は Journey Version の項目を削除するか、上の図のように「非表示」にすることも可能です。
ところで、このレポート機能を初めて使用する方のために Intelligence Reports for Engagement のピボットテーブルの基本的な使い方を押さえておきます。基本的には Rows、Columns、Values の 3 つを組み合わせてレポートを作成していく形になります。
ワードとして Rows、Columns、Values のままだと分かりづらいかもしれませんので、以下のように整理をしておきます。
ディメンションとメジャメントの定義については、下記リンクに一覧がありますので必要に応じて確認して下さい。
Rows に続いて、Columns と Values も確認します。このレポートでは Columns は空欄です。そして、Values には、以下が 6 つが含まています。
以上が Journey Performance の説明になります。
これらの説明を見て、とっつきにくいかも・・・と感じた方は、まずは一旦、項目を「非表示」にしてみたり、Values にバウンスの情報を足してみたりと、色々動かしてみることをオススメします。そのうちに慣れてきます。このレポートは、別名で保存ができますので、手始めにこのレポートを参考にして、オリジナルのレポートを作成みてください。
また今回、私の note では、初めて Intelligence Reports for Engagement を扱いますので「ピボットテーブルとフラットテーブルの表示の切り替え方法」と「エクスポートの方法」についても簡単に触れておきます。
まず、デフォルトではピボットテーブル側の表示になっています。これをフラットテーブルに切り替えるには、以下の図の赤枠内のボタンをクリックします。表示は、好みに合わせて切り替えてください。
また、このレポートを出力する場合においても、ピボットテーブルで出力するか、フラットテーブルで出力するかを選択できます。出力したレポートを見てそのまま終わるなら、ピボットテーブルでもよろしいかもしれませんが、エクスポート後に、エクセル等で加工するつもりであれば、フラットテーブルがオススメです。
More Actions のボタンより、スケジュールしてエクスポートするか、すぐにエクスポートかが選択できます。
この他の機能としては、フィルターの機能もあります。こちらは文字通りの機能ですが、例えば、あるジャーニーの結果だけをピンポイントで表示させたい場合や、メールの送信数が 10,000 通以上のジャーニーだけを表示したい場合などに使用できます。すべてを表示すると、逆に見づらい場合もありますので、うまく活用してみてください。
② Campaign Performance
次に Campaign Performance です。
このレポートは、Salesforce Marketing Cloud で設定可能な「キャンペーン」ベースのレポートになっており、さらに、それに紐づいているメールごとのパフォーマンスが確認できるレポートです。
Rows は、以下の 2 つです。(※ Columns は空欄です。)
このキャンペーンとは、複数の施策をまとめることができる「タグ付け」機能のようなもので、キャンペーン単位で結果を集計が可能になります。このキャンペーンの設定は Salesforce Marketing Cloud トップページの「キャンペーン」タブで行えます。
ちなみに、私の認識では、このキャンペーンはメールの送信前に設定しておく必要があり、すでに送信済みのものに対しては、後から設定ができないという認識です。よって、計画的なキャンペーン設定計画が必要になります。大半の方は、このキャンペーン設定は行わずにメール送信していると思いますので、その場合、この Campaign Performance レポートでは、キャンペーンの項目に関しては非表示で良いかと思います。
続いて、Values ですが、こちらは、① の Journey Performance と全く同じなので、説明は割愛させてもらいます。
③ Email - Audience Engagement Over Time
次に、Email - Audience Engagement Over Time です。
このレポートは、送信時のパブリケーションリスト単位で、週ごとの「ユニークなクリック」の合計数を確認するレポートになっています。
以下がレポート表示の対象となっています。
このレポートは、①②とは異なり、Columns を使用する例になっています。下記の図の例のように「週ごと」や「月ごと」のサマリを確認したい場合は、このレポートを参考に作成してみて下さい。
④ Campaign - Best Performing Send Day
そして、Campaign - Best Performing Send Day です。
このレポートは「どの曜日が、ベストパフォーマンスとなっているか?」を確認するためのレポートになっています。
このレポートも ② のレポート同様、キャンペーンごとレポートになっていますので、キャンペーンを使用していない場合は「非表示」で問題ないかと思います。
Rows は、以下の 2 つです。ここでは、ジャーニー名やメール名ではなく、Send Weekday(曜日)というディメンションを用いています。
Values は、以下の 3 つです。このレポートを使って、開封されやすい曜日、クリックされやすい曜日を確認して、パフォーマンスを最大化していきましょう。
⑤ Email - Daily Send Summary
最後に、Email - Daily Send Summary です。
このレポートは「日別」での送信実績を表示するレポートになります。例えば「◯月◯日に合計でメールが◯通送信された」などが確認できます。
Rows には、以下の 4 つが含まれます。
Rows に Email Job ID が含まれていますので、メールメッセージのパフォーマンス実績ではなく、送信単位(ジョブ単位)でのパフォーマンス実績が確認できます。
Values には、以下の 11 項目が含まれています。こちらの 11 項目は、エンゲージメントデータを収集する際の基本的な形になるかと思いますので、他のレポーティングを作成する際に参考にしてください。
以上となります。いかがでしたでしょうか?
これら 5 つのメールレポートを確認することで、Intelligence Reports for Engagement のピボットテーブルをどのように活用することができるかのイメージが湧いてきたかと思います。これらのレポートを参考にしながら、是非、皆さんのオリジナルのレポートを作成してみてください。
おまけで、私のオリジナルレポートとして「メールドメインごとのバウンス分析」の例を記載しておきます。
⑥ メールドメインごとのバウンス分析
以下の形でレポートを作成してみてください。レポートの対象期間や、フィルターで設定しているメール送信数(Email Sends)の下限数は自由に変更して下さい。私の例では、集計期間中に 1,000 通以上送信されているドメインのみを選択しています。
以下のようなレポートが作成できると思います。このレポートを使って、特定のドメインでバウンスが多くなるような異常が発生していないかを確認してみてください。
それでは、最後に一般的な Intelligence Reports for Engagement の注意事項をまとめておきます。
注意事項
以下の 11 つのデータは正確性と完全性が保証されていません。参考レベルで使用してください。また、開封数とクリック数にのみ使用できます。
Email Click Event Lag Days の意味が分かりづらいですが、メジャメントの一種で「送信時点からクリックまでにかかった平均日数」のことです。
Complaints(苦情)のデータに関しては、大半のメールプロバイダーにはこのデータが無いので、この値はあまり参考にはなりません。
Email Studio における「プレビューとテスト」からのテスト送信を除外したい場合は、フィルターで Email Test Indicator を False で設定してください。つまり、Email Test Indicator が True のものが、テスト送信のフラグが付いた送信になります。
メール配信のレポートを作る時に設定すべきオススメのフィルターは以下の 2 つです。このフィルターを設定することで期間中に本番送信されたメールのみが対象になります。
データビューなどは 過去 6 ヶ月分のデータが保持されますが、Intelligence Reports for Engagement では、最大 2 年間保持されます。
Intelligence Reports for Engagement のタイムゾーンは「親ビジネスユニットのタイムゾーン」が使用されます。
▼ インテリジェンスレポートのデータの概要
今回は以上です。