「バラシファイト」
7月28日(金)から公開される「バラシファイト」を試写で。
バラシとは舞台用語で撤収の意味。
演劇やイベント、ライブが終演を迎え、劇場を後にするには貸してもらった会館の現状復帰を目指さなければいけない。しかも退館時間までに。役者たちが打ち上げに向かう間、スタッフたちはそれぞれの持ち場の片付けを迅速に行わなければならない。そんな中で、昨今、予算が厳しい中、打ち上げにスタッフが参加できないことが多々ある。
舞台にあがってるやつだけが打ち上げできて、同じ舞台を作ってきたスタッフはなんで参加できない?一緒に打ち上げしてこれまでの道程を共有させてくれよ、冷たい弁当だけじゃなく、あったかい飯を食わせろよ、疲れた体に酒を染み渡らせてくれよ!なんで俺らだけ、私たちだけ参加できひんの?それも予算が足りないからか?・・・そんな不満をある人物がある方法を使い、一部門のスタッフだけ参加できる事になった。
それは慣習となり、スタッフはバラシの時間にその枠をかけてバトルロワイヤルを繰り広げることになった・・・。という話。
舞台を愛する人にはぜひ見ていただきたい裏方ファンタジーアクション!
自分もイベントの構成や演出をしているけれど、照明、音響、美術さんなど舞台を支えるスタッフさんは、だいたい打ち上げには参加してない。個人的にお誘いしてってのはあるけれど、撤収時間もあるので参加したとしても時間も遅くなる。ましてや全員参加してよ的な、大人数での打ち上げってよっぽどの舞台やライブ出ない限り滅多にないと思う。
僕が長年携わってる吉本のイベントなんてハナから打ち上げなんてないよねと思いこんでる。
今作では打ち上げに参加したいスタッフのバトルロワイヤルが繰り広げられる。それぞれの部門のこだわり、しきたり、ならわし、情熱、不平不満、思いが、実際その部門にいてはる方からすると“あるある”的なセリフがバンバン吐露と行動で表されてる。プロデューサーが見たら、襟を正さなくてはと思うはず。
昨年、久々に「リプシンカ」という演劇の舞台の脚本・演出をやらせていただいたけれど、少しは緩くなっていたとはいえコロナ禍だったので稽古中は、基本、稽古場とホテルの往復、もちろん打ち上げなんて最初から諦めていた。でもどこかで出演者、スタッフさんたちと打ち上げをしたいという気持ちはあって、それは今も燻ってる。
社交辞令的な「お疲れさまでした〜」ではなく心からの「お疲れ様でした!」を言いたい気持ち。それが今作を見てると改めて胸にきた。
エンディング、個人的にはツアーを支えるスタッフさんを歌ったとされるサザンオールスターズの「旅姿六人衆」って曲を勝手に脳内変換して、ちょっと涙してた。