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ディック・ロングはなぜ死んだのか?
落語的な・・・
4年前に『スイス・アーミー・マン』ていう「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフと「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・ダノ主演の変な映画があった(ネトフリで視聴可)。
無人島に流れ着いた男が、水死体を発見。空気を吸って膨れた死体はジェットスキーのようにおならで進むことができたのでそれによって脱出を試みるがって話。
水死体は水が溜められたり、勃起したチンチンが方位磁石になったりとアーミーナイフみたいにいろいろ使え、いつしか喋れるようにもなり、不思議な友情が生まれるという本当変なストーリーやったけど、不覚にも最後にはなぜか涙をこぼして感動すら覚えた映画やった。
そんな変な作品の監督最新作が8月7日(金)から公開される「ディック・ロングはなぜ死んだか」を観賞。
アメリカはアラバマ州の田舎町に暮らす売れないバンドのメンバー3人。ジークとアールとディックは練習と称して酒飲んでハッパやってバカ騒ぎ。が、あることからディックは重傷を負っしまうことに。しかもジークとアールはトラブルに巻き込まれたくないと緊急病院の前に放置してしまう。
これがきっかけとなって小さな田舎町はざわつき、ジークとアールはアリバイのつじつま合わせのために嘘を重ねまくるが・・・という話。
今作同様、主人公があることから嘘を積み重ねていくうちにえらいことになっていくブラックコメディ「ファーゴ」という、コーエン兄弟が1996年に発表した映画は、まるで講談を聞いてるような語り口やったけど。この「ディック・ロング〜」は落語みたいな感じやった。
事件を追うのが二人の太っちょのおばあちゃんとレズビアンの女性というのも面白く、その掛け合いも落語みたい。さらに嘘を重ねるジークと、のほほんと他人事のようなアールや奥さんたちとのやり取りや関係性も落語的だった。あと、ちょっとピーター・シェーファーの戯曲「エクウス」も思い出してしもた(そういや2008年のこの舞台ではアランを演じたダニエル・ラドクリフが全裸演技で話題になってたっけ)。
なぜディック・ロングが死んだかの理由を知ると、わ〜〜〜〜〜〜って感じ。これも落語的。
あと、とにかく奥さんの顔に注目!秀逸やから!