『REBOX4 特集:ファウスト系』表紙公開
インディーズらしい表紙になったと思います。内容のほうもご期待ください。
序文
「セカイの分裂を見つめて」沖鳥灯
加藤典洋「関係の原的負荷」への応答として。あるいは宇野常寛『ゼロ年代の想像力』で貶められた<ファウスト系>の再評価のために。
二次創作
「死んだらお終い」伊藤なむあひ
佐藤友哉『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』で七十七人の少女を屠った「突き刺しジャック事件」の前日譚。血と諧謔のスピード文体の「鏡家サーガ」をクラシカルな文体で新たに語りなおす。
「小説家と馬鹿げた世界」瀬希瑞世季子
「僕はこれを書くために生まれた」というデビュー作をひっさげて文壇に登場した「僕」。しかしライバルの愛媛川十三(舞城王太郎のキャラクター)に大きく差をつけられて意気消沈の日々。「僕」は実家の千歳市に帰省するが、「この国の小説家を全員殺害」することをもくろむ『殺陣班』の魔の手が忍び寄る。小説家の存在証明、モデル問題、SNSなどの切り口で小説の倫理と戦う。
「ラブレター問題」松原礼二
滝本竜彦『NHKにようこそ!』『超人計画』に触発されて創作。性的不満足の虚無感に苛まれる中年男性のもとにとつぜんラブレターが届いた。差出人は「中原岬」。中年の危機と冒険の遍歴。
論考
「ギャングとシリアルキラー ──佐藤友哉と高橋源一郎の過去、現在、1000年後」佐藤智史
『さようなら、ギャングたち』の高橋源一郎と『青春とシリアルキラー』の佐藤友哉。二人はかつて盛んに交流していた。ギャングとシリアルキラーを「自意識」「青春小説」でつなげ、大江ー中上、太宰治、サリンジャーと「サンプリング」してゆく。はたして高橋と佐藤の関係に「継承」はあったのか。戦後、震災後、そして1000年後の「文学の責務」を問いなおす。
短篇
「すごい愛」鯖
二十一歳の愛菜の生は渇いている。十五歳のとき父が失踪した。いまは母と埼玉で二人暮らし。スイミングスクール、別荘の湖、沖縄、秋刀魚の味、母の紅茶。愛菜は好むと好まざるに拘わらず「水」を求めているかのようだ。ウェットな人間関係に飢える現代のドライな肖像。特集外の短篇。
販売
2022年11月20日(日)
於:東京流通センター 12:00~17:00
文学フリマ東京35 第一展示場 A39-40 メルキド出版
文責・沖鳥灯
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