週末のBloombergより
◆最近の米長期金利上昇は、①長期的な米経済成長見通し(潜在成長率/実質金利/R*)の上方修正、②長期債需給の悪化によるもの。インフレ見通し/期待の悪化によるものではない。
◆10年4~4.25%あたりはフェアバリューなのだろう(だからいったんレベル感での押し目買いが入った)が、デュレーションロングやフラットニングポジションの巻き戻しが進行中で、ベアスティープニングの流れはもう少し続くかもしれない。
◆長期金利上昇が止まるためには、米経済の減速や金融環境の引き締まり(リスクアセット価格下落~株ではこれが始まりつつあるかも~や貸し渋り)の顕在化が必要そう。
◆来週24日に始まるジャクソンホール(パウエル講演は25日)では「まだインフレとの戦いは終わっていない」という感じのややタカ的トーンになろうが、それは市場織込み済みか。
◆ハイイールド債のデフォルト率は足元の2.8%から5%(長期平均レベル)に上昇するという分析もあるが、デフォルト率上昇はまだまだマイルドなものにとどまる可能性高く、クレジット市場でスプレッドワイド化やセルオフが始まるような気配はない。
◆米長期金利には明らかに上昇モメンタムが感じられ、仮にそれが止まってもイールドはその後長期高止まりしそうに見える。レベル感で今安易に買いエントリーすべきではない。
◆インフレ2%+実質金利2~2.5%+リスクプレミアムと整理すれば、10年金利は4.75%だって十分あり得る。
◆米国債の発行はまだまだ増やさなければいけない一方で、中国と日本が今までのようには買ってくれなくなることが確実なので、他の買い手も慎重化している。
◆国債入札結果がちょっと悪いだけで雰囲気が悪くなり、金利上昇が再開し易い。
◆コロナ後の過剰貯蓄の余熱もあり、米個人消費はこれまで予想以上に堅調だったが、さすがにそれも終わりつつある。クレカによるファンディングも目いっぱいであり、そろそろ消費が落ち始めてもおかしくない。
◆債券市場はさすがにもう諦めて金利上昇を受け入れつつあるが、株式市場はその点でまだまだ出遅れている(金利上昇が悪さをするとすれば、これから)。現状のPER20倍超を維持するのはしんどいかも知れない。
◆気候変動対策をサポートするための投資は引き続き非常に重要だが、公平かつグローバルな基準に基づく正しい情報を得られるかという点(ディスクロージャー)に最大の問題がある。
◆気象のボラ上昇(大雨/干ばつ、猛暑/厳冬)がどんどん酷くなることを前提とする(分散)投資が必要。
◆(サマーズ氏の見立て)米10年金利は、①インフレ:2.5%、②実質金利:1.5~2%、③リスクプレミアム:近年ずっとマイナスだが、本来は0.75~1%⇒最低でも4.75%がフェア。
◆財政赤字は今織込まれている以上にさらに悪化することが確実なので、長期金利上昇は止まりにくいと見る。
◆米景気が誰も予想しなかったくらい強い割にインフレがほぼ予想通りに落ち着いている。今後ブレるとすればインフレ上昇方向である可能性が高そうに見える。
◆中国は、不動産バブル崩壊、過剰債務問題、少子高齢化、若年者失業などといった国内問題に加えて、最近は西側諸国が中国との付き合い方に急に慎重になったため、海外からも逆風が吹いている(直投や輸出が急減)。
◆独裁を確実にした習近平が経済音痴で、適切なマクロ政策が全く発動されていない。
◆今一番中国に必要なのは小幅な利下げではなく需要の下支えだが、1億人の共産党員から12億人の一般市民への所得分配を伴うので、政策として発動されにくい。
◆若年失業率の発表を都合が悪くなると急にやめるくらいなので、中国ではそもそも統計が全く信用できない。中国政府は実態をつかめておらず、正しい手の打ちようもないのではないか(但し、今でも中国に投資している機関投資家は、統計をそのまま信じて安易に投資しているわけではない)。
◆中国を追い詰めすぎると、これらの問題を全て米国のせいにして外に暴発するリスクがあるので注意が必要。
◆株主提案などを通じて非効率企業の株主価値の最大化を追求する「アクティビスト投資」が最近やや低調。金利上昇に伴うM&A減少や昨年の低パフォーマンスによるリスクマネーの慎重化などの影響か。