週末のBloombergより
◆FEDが少しでもハト的なニュアンスを出すと、マーケットの期待を修正するのが大変なので、かなりタカ的トーンでスキップしたというのは正しい戦略。
◆但し、2回も追加利上げを見込むなら、なぜ今回見送ったのか、あるいは7月利上げをコミットしなかったのかについては疑問が残る。
◆イールドカーブのインバート具合を見る限り、市場は利上げ最終局面を確信している。あと1~2回追加利上げがあるかどうかはもうほとんど市場に影響を与えそうにない感じになっている。
◆利下げが遠のいているので、CASHでイールド5%超を相応な期間享受した方が良さそうに見えるが、中立金利が2.5%なので、やはり再投資リスクは恐い。3.5%超ではある程度デュレーションリスクをとり、債券インデックスに対してニュートラルにしておいた方が安心感あり。
◆欧州ではAT1債起債が再び活況になってきている(AT1債価格もじりじり戻し基調)。
◆クレジット商品のパフォーマンスはHYやレバローンが良好な一方、IGは横ばいで冴えない。それでも2025年の借り換えラッシュ(Maturity Wall)を考えると、今年後半くらいからはスプレッド拡大要警戒。
◆ムーディーズはHYのデフォルト率5%への上昇を予想しているが、コロナ後の8%よりはかなり低い。投資先を求めるカネは世の中に溢れており、デフォルト率が5%を超えて上がっていくのは相当難しいのではないか。
◆FED、ECB共、ここからはいかにしてインフレを目標の2%に押し下げるかに集中する局面。共にインフレリスクは引き続きアップサイドと見ている。
◆それでも米欧日株やコモディティは上昇継続。利上げはどのみち最終局面にあり(ここからさらなる凄まじい金利上昇はない)、しかも米国がソフトランディングに成功しそうだという期待に支えられている。
◆ドットコムバブルと今回のAIブーム最大の違いは、担い手が得体のしれない泡沫企業ではなく財務健全で実績ある巨大企業群であること。AIを積極活用中と言っているだけの会社の株まで上がっているわけではない。
◆UBSによるCS吸収後、欧州にきな臭い銀行がなくなったので金融システムは安定化する。またウェルスマネジメントの巨人として、バークレーズなどの大手行の顧客(金融商品供給などで)にもなる。但し、投資銀行業務においては多くの大手行にとって強力なライバルとなる。
◆CSのアルケゴスのような不祥事を防ぐのは非常に難しいが、結局はヒト(相手)の見極めに尽きる。定期的かつ批判的に再評価を重ね、悪いニュースには素早く反応するという基本以外に特別な打ち手はない。
◆商業用不動産価格は、コロナ後定着した在宅勤務(オフィスの2割は不要になる)で特に厳しいオフィスで▲30%、その他ホテルやアパート等では▲10~15%のイメージ。
◆サンフランシスコで空室率35%などといった最悪部分だけがセンセーショナルに報道されがちだが、全体がそんなに酷いわけではない。オフィス向け米地銀の債権は総資産の1.5%程度なので、仮にその1/4が飛んでもそれほどオオゴトでない。
◆中国経済は過剰債務、不動産不況、少子高齢化、資本逃避(富裕層海外脱出)などでかなり苦しくなりつつある。中国当局は財政・金融両面で下支えに動きそうだが、グローバルコモディティ価格の下落要因になりうる。