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第1話 三河に漂う暗雲

9月27日 記録者:丹羽長秀

 殿が申された。

 今年もこの日が来る。もし明日が歴史通りにやってくるのであれば明日、三河に武田が侵入してくる。450年近くも繰り返される武田信玄のTHE LAST WAR。上洛できずに果てた武田信玄が毎年繰り返し西上してくる姿を見るは苦しくもある。しかし儂は武田を滅ぼした当事者として信玄を迎え撃ち、いつの日かこの西上作戦を終わらせてみせよう。

9月28日 記録者:丹羽長秀

 殿が申された。

 やはり今年も動いた。三河と信濃の県境付近にあるローソンの店員からのTwitterによると武田先発隊が三河に侵入したようだ。先頭は赤い特攻服と書いてあったゆえ恐らく先発隊は今年も山県であろう。しかし赤い特攻服とは失礼であろう・・・。山県の赤備えは戦国時代における強さの象徴のようなものである。敵とはいえ許しては置けぬ。その店員の情報を山県に伝えよ。あとは山県がどうするかである。儂なら炎上だけではすまさぬ。
 肝心の武田本隊は未だ甲斐にいて動いておらぬようだ。武田公式Twitterは出陣式の準備が順調と写真をアップしておる。兵の数が多いゆえ出陣までは今しばらく時間がかかるであろうが、本体の動きをしっかりと見極めねばならぬな。策士揃いの武田家である、公式アカウントでフェイクニュースを流すことも十分ありうる。
 問題は徳川だ。まだ国力が整っておらぬ徳川では武田には勝てぬ。万一に備えて尾張への侵入を防ぐ対策を練る必要がある。ハッシュタグは#現代版武田家西上作戦であるゆえ、各自常に武田と徳川のあらゆるSNSをチェックをして備えよ。

9月29日 記録者:村井貞勝

 殿が申された。

 信盛(佐久間信盛)、武田本隊が動いた段階で滝川一益と共に徳川の援軍に向かえ。今からその為の準備を始めよ。移動は新幹線を使うがよい。あれが1番早い。新幹線の切符は今井宗及がみどりの窓口で手配させよう。それとこのウェアラブル時計を全員につけさせよ。丹羽長秀が何名討死したかを常時把握し兵の増派を行おう。ただしGPS履歴で無駄な動きがありそれで兵を死なさばそなたのSNSを晒して全て炎上させる。抜かりなく進めよ。
 宗及、そなたはその時期に修学旅行による新幹線の団体車両が走るか確認し、もし団体車両が走るのであればその指定席を学校から全て倍の金額で買い上げよ。学校の言い値で構わぬ。表向き修学旅行の団体車両と思わせて置けば織田が援軍を出した事には誰も気がつかぬ。全ての兵に携帯の電源を切らせ、道中の様子をSNSにアップする事を禁じよ。
 秀吉(羽柴秀吉)、浜松駅から出ている遠鉄タクシーを買収せよ。新幹線で到着した信盛一行をタクシーで移動させる。武田軍は野戦を好む、野戦であれば三方原で間違いなかろう。武田軍は行軍疲れもでてこよう、こちらは移動はDoor to Doorで兵を疲れさせずに戦に臨ませる。
 信盛、秀吉が遠鉄タクシーを抑えるが、戦の最中に万一が発生した際は配車アプリで呼び寄せ尾張に逃げ延びよ。決して浜松城に戻るでないぞ。浜松に戻ったらそなたのSNSアカウントが浜松城と共に炎上しかねぬゆえ注意せよ。


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