【タイBL小説垢】ノブナガ・トーキョー

【タイBL小説垢】ノブナガ・トーキョー

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The Miracle of Teddy Bear 感想

あらすじクマのぬいぐるみだったはずのタオフーは、ある日突然人間になってしまった。 可愛がってくれていた持ち主のナット君は警戒心を剥き出しにして、ちっともタオフーに優しくない。そればかりか、時にタオフーが発した何気ない言葉に激高してしまう。 タオフーは戸惑いながらも、持ち主であるナット君が大好きなままだ。 ナット君と母親・マタナーさんとの奇妙な三人での生活に、家の「物」達は心配と少しの好奇心で、人間になりたてのタオフーに色々と助言する。 ナット君とずっと一緒に居たいタオフーは、

    • 感想【祟り蛇ナーク】

      絶賛隔離期間中の我が家は、暇な一週間をようやく本日終える。 コロナの年季明けで明日から下の子はやっと学校に登校する訳だが、明後日から冬休みなのであまり意味はない。 子供が自宅に居ると、当たり前だがタイBLが観られない。うっかりしていると濃厚なラブシーンがあったりするからだ。しかしタイの空気に少しでも触れていたい私は活路を見出した。BLじゃなくても良いじゃない。それである。 BL以外に興味はない、観る気はないと思っていた私であるが、この際背に腹はかえられない。契約していたU-

      • 感想【バンコクアソビ】

        著:高田胤臣 コロナに罹った。初めに娘が罹り、次に息子が、そして私、夫に罹った。 家庭内感染を防ぐのは無理だ。子供が小学生なら尚のことである。回復の早い子供は二日目にはケロッとして三日目には隔離状態も限界になる。隔離を解いた瞬間にコロナは大人に襲い掛かるのだ。 罹患初日は余裕ぶっていた私も、次の日がコロナの本領発揮だったとみえて、呼気に血の味が混じった。肺が軋む感覚を得たのは錯覚だろうか。回復傾向にある今もなお、時折ピシッと肺や臓器が軋む。 とはいえ私達家族は軽症だった。誰

        • 感想【I promised the moon2】

          私事だが義祖父が亡くなった。夫の祖父、子供達にとってのひいおじいちゃんである。訃報を聞いて九州に飛び立ち、バタバタと過ごした。やっと今日、元の生活に戻りこれを書いている。 義祖父は御歳101歳、誕生日の日に亡くなった。第二次世界大戦中はフィリピンで捕虜となり終戦を迎えたと聞いた。義眼で、耳が片方聞こえない。私がうんこの処理をしたおじいちゃんである。うんこについてはhttps://note.com/nobunaga_tokyo/n/n8a7409947645に書いてあるので参照

          感想【タイのしきたり】

          著:中島マリン 切らしていたビールを買ってきた。ビールと言ったが嘘をついていた事を謝らねばならない。実は発泡酒である。我が家はホワイトベルグという銘柄に傾倒気味で、時折金麦に走るがそれはホワイトベルグが店頭に無い場合であって、店頭にあれば必ずホワイトベルグを購入している。味はどこかスパイスの香りがする。コリアンダーとかそういうやつだ。これ以上の蘊蓄は語れない。美味しいかそれ以外か。新宿の帝王ローランドの言葉は汎用性のある秀逸な言葉だ。あと最近夫と話していて同意したのは、「奇

          感想【バンコクジャパニーズ列伝】

          著;皿井タレー ワールドカップに釘付けの夫が私のビールを飲んだ。最後の一缶である。 けれど良いのだ。何も騒ぎ立てる必要はない。仕事に疲れて帰ってきた夫が束の間のひととき、W杯とビールで一杯やるのを止める事は出来ない。二日酔いでもう二度と酒は飲まないと誓った舌の根も乾かぬうちに、サッカー観戦中の夫を尻目に、私はラムをジンジャーエールで割った物を飲みながらこの感想を書く事にする。 現在ほろ酔い気分ではあるが、酒は暖かい地方で飲むのが一番美味いと思っている。日中の酷暑を乗り切っ

          感想【バンコクジャパニーズ列伝】

          感想【タイぐるり怪談紀行】

          著;バンナー星人 私は怪談が苦手だ。スプラッタもNGである。ホラー映画を好んで観る人間の気が知れない。…と書いてはみたが、怖いもの見たさで読んでしまう、観てしまうのが人間である。 昔、夫がまだ彼氏だった時分、一緒に「SAW」を観た。言わずと知れたスプラッタ映画の代名詞であろう。しかし直視できない私は映画の半分くらいは両手で顔を覆っていた。怖くないシーンになったら教えてね、と夫に言って寄り添い映画を観たあの頃が懐かしい。夫はそんな私をか弱く可憐な女性と思っていただろうか。一

          感想【THE ECLIPSE】

          noteを初めて早4日は経つだろうか。出来れば毎日それとなくタイ沼関連の何かを更新していきたいと思うので、本だけに限らずドラマの感想なども書いてみようかと思う。 丁度昨日、「eclipse」を全て見終えた。ざっくりとあらすじを説明すると、支配者と非支配者の構造をタイの封建的かつ伝統ある男子校に落とし込んで物語は進行してゆく。主人公アック(攻め)は支配者側である先生達の膝元で、与えられた権力に疑問を持たず正義を振りかざす。対してもう一人の主人公アーヤン(受け)は身内の死の裏に

          感想【花、ドア、花びん、砂、大きな木】

          著:チャットラウィー・セーンタニットサック 翻訳:福冨渉 我が家では犬を飼っている。まだ六ヶ月の仔犬だ。仔犬と言ったが、恐らく彼女はもう既に大人の大きさまで育ちきったのだと思う。三ヶ月目でブリーダーから貰ってきた時よりも随分と大きくなった。 犬種はパピヨンだ。一般的に賢い犬らしい。なるほど確かに、昔実家で飼っていたマルチーズより格段に物覚えが早い。貰ってきて3日目やそこらでお手とお座りと伏せを覚えてしまった。昔飼っていたマルチーズは最後までそれらを覚えることがなかった。

          感想【花、ドア、花びん、砂、大きな木】

          感想【わたしたちはクーデターの日に初めてやった/浮気相手/におい】

          著:ルークケーオ・チョーティロット 翻訳:福冨渉 私事だが飲みすぎた。 二日酔いの朝は後悔と決意の時間だ。もう二度と酒は飲まない。頭痛と胃のムカつきの中でそう心に決める。酒を飲み始めた数十年前から今日まで、もう何度も誓ったはずなのだが…。 味噌汁のある国に生まれて良かったと思うのもこの時である。程よい塩気に鼻の奥を通る出汁の香り。胃に優しい豆腐なんかがあれば申し分ない。ただ、既に自立し家庭を築いた身としては、二日酔いで死んでいる枕元に誰かが勝手に味噌汁を出してくれる筈もない

          感想【わたしたちはクーデターの日に初めてやった/浮気相手/におい】

          【感想】タイムトラベラー・ブレイクポイント2020

          作者:チダーナン・ルアンピアンサムット 翻訳:福冨渉 ディストピア小説というジャンルを読んだ事がない。 それは単純に私が食わず嫌いなだけである。 きっとタイの作家さんでなければ読もうとも思わなかったと思う。もっと言えば福冨さんの翻訳がなければ手に取ってすらいない。 チダーナンさんはディストピア小説が得意だと作者紹介で書かれていた。少しばかり身構えてしまった。作者の構築する創作世界に入って行けるのだろうか。私の好みの作品は現実世界を舞台にした物語である。もっと言えばBLが好

          【感想】タイムトラベラー・ブレイクポイント2020

          初めに

          これからタイ関連書籍の感想を述べる前にお伝えしておきたい事がある。 何故タイ文学の感想を一介の主婦が書くのかということだ。 遡って2年前の2020年、現在日本の一部でもかなり盛り上がっているタイBLというジャンルに出会った。当時はコロナ禍が最も深刻だった時分、今みたいにこの新型のウイルスについては積み上げられた情報もなく、医療従事者の方々も精神をすり減らして右往左往していた。先の見通せない世界の閉塞感の中において、当時九州のど田舎に住んでいた私は東京や地方都市で報じられてい