舌に合うから美味しい
ある日、妻と出かけた電車の中で
ふとこんな言葉をメモした。
「舌に合うから美味しい」
どんな経緯でこの話に至ったか覚えていないが、
日々の食事について話していた時だったか。
・・・
ウチの人はとても食材にこだわる。
調味料、食材、クエン酸、、、と。
永く健康でいるために色々と調べては、色々と買って、自分で作って試している。
新しいことの取り入れ上手だと感心する。
私もその影響もあるし、震災以降、自分たちでしっかり考えて何が自分たちにとって良いことかを考えてきた。とは言え、コンビニにも行くし、ファストフードも食べる。むしろ好きだ。
我慢はあまりせずに自分たちの好きなもの、舌に合うものが一番良くて、それが崩れると歪みが生じはじめる事って結構ありますよね。
・・・
この「舌に合う」という言葉は、設計の仕事においても重要ではないだろうか。
言い換えると「波長」とでも言うべきか。
クライアントとの波長、工事が始まれば大工さんとの波長、メーカー担当者との波長、社内での波長、予算との波長、様々な波長の波がある中で、もちろん一筋縄ではいかない。
何度も何度も会って会話をしたり、言葉を交わしながら近づいたり離れたり、そんなことをしながら少しずつ分かっていく。
時間はかかる。
お互いが多少なり理解し合えて、良いものづくりに対して、意見が流れ出せば最高ですよね。
両者ともスッキリした気持ちと関係性の中で、進んでいける気がする。
けれど短い打合せの時間の中で、
付かず離れずの関係性。
割り切ってしまった途端、足元から崩れ始め、引き渡すときにイメージと違うと初めて言われる。
とてもシビアな世界だと痛感する。
・・・
クライアントの舌に合う「言葉」や「姿勢」をもって、相手の言わんとしているところへ向かう。そこで心地よい食材を選んだり、育てたりしながら料理して、提供出来たならば、
お互いの「舌に合うから美味しい」が成立するかもしれない。
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