ストーリー18 助け手を得た指導者モーセ
モーセは、旧約聖書に登場します。イスラエルの民をエジプトから脱出させた指導者です。イスラエル人でありながらエジプトの王宮で育ちました。恵まれた状況の中で多くのことを吸収して成長しつつ、同胞のイスラエル人たちのことをいつも気にかけていました。
やがて、モーセは神に呼ばれて、奴隷となっているエジプトからイスラエルの民を救出する使命を託されます。エジプトの王ファラオのもとへ行き、説得して出国の承認を得るという非常にむずかしい役割です。
「とてもではないが自分にはできない」
モーセが神に向かって嘆くと、兄アロンが助け手として与えられました。アロンは弁の立つ人物で、ファラオへの説得の試みを助けてくれる存在になりました。
モーセは、有能で秀でた人物であるゆえに使命を引き受けたのではありません。必要な助けは神によって与えられると確信したからこそ、立ち上がることができました。事実、モーセはエジプトから民を導き出しますが、彼自身の力によったのではありません。神が与えた数々の不思議なわざのゆえに、ファラオは観念してイスラエルを支配することをあきらめたのでした。
その後、イスラエルの民は荒野を旅しながら約束の地へと向かいます。モーセは民の歩みを一身に背負う存在となっていました。喜びも、悩みも、嘆きも、苦情も、民はすべてをモーセのところにもってきます。とてもではありませんが、一人で扱うことはできません。モーセは困惑し、疲れ果ててしまいました。
しゅうとイテロは、モーセの働きぶりを見て助言を与えます。民を小さなグループに分けて、それぞれのリーダーを立てるように。大きな特別のことだけをモーセのところにもってくるように。この助言により、すべての人の必要が満たされるようになりました。
モーセは、自分が本来すべき役割に専念するようになります。神が民に伝えたいことを聞き、民に語って聞かせる役割です。その教えの一部は「十戒」といわれるものであり、長く民の中に大切な教えとして受け継がれるものとなりました。