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雲林県の小さな町で蘇った歴史建築
先日、雲林県の小さな町・斗南を訪れた。この町には、日本時代の警察施設の建物が残っているのだが、前回訪れた時、この建物に入っていたテナントが撤退してしまい、内部を見学できなかったのだ。
外観の写真だけ撮って、いつか新しいテナントが入ったら訪問するぞ!と密かに誓っていたのだが、10月からこの建物にレストランが入るのを知った。そこで、彰化南部から雲林を巡る機会に、斗南のお店にも行くことにしたのだ。
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お店の名前は「榕苑」。Facebookのページを見ると、鍋料理がメインのお店のようだ。しかし、いくら歴史建築と言っても、この手の鍋料理を一人で食べてもあまり面白くないし、お値段もそれなりにする。それなら、ということで、下午茶の時間帯にデザートセットみたいなものをチョイスすれば、比較的安上がりなことに気づき、午後2時頃にお店を訪問したのだ。
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今回注文したのは、アフタヌーンティーセット。こちらのアイスクリームとポットティーの組み合わせで、220元。ビスケットにマカロンも付いているし、ポットティーはオレンジフレーバーで飲みやすく飽きのこないおいしさ。しかも量がとても多いのだ。このボリュームだと、最低1時間くらいはお茶を飲み続けることになる気がした。
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このお店はどちらかというとグループ向けで、2人用、1人用の座席がない。ピーク時にカフェ利用は少し憚られる感じがするが、空いている時間帯なら気にせずアフタヌーンティーを楽しめる。
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ゆっくりしたかったが、次の予定があるため、30分程度で退店した。食事が終わったら、保存されている建物を一通り見学する。こちらは、木造建築の部分。レンガ造りの建物だけでないのが面白い。
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レンガ造りの建物の外部はこんな感じ。しっかりと修復され、スッキリした外観になっている。どちらの建物も、内部は団体席になっているようだ。
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このお店は、日本時代には警察の建物だった。そのため、留置場まである。これをあえてきちんと残すところがなかなか良い。
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もちろん、一晩お世話になったりしたくはないが、雰囲気だけでなく、チラッと過去を振り返ることができる施設は貴重だと思う。
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さりげなく展示された資料からも、日本統治時代の警察による治安維持、抗日運動との対峙などを学ぶことができる。
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さて、このような歴史リノベカフェの場合、オーナーの思い入れが色濃く反映されることがある。
たとえば、この空間。何となく、見様見真似で日本の庭園を模してみようとしたのではと感じられる。
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なので、ついつい朱塗りの鳥居も登場しがちだ。日本人の感覚でいえば、飲食店の庭に神社の鳥居を設置するなんて!とびっくりしてしまいそうだが、台湾人にとっては、鳥居=日本の象徴という面があるようだ。
多少のツッコミどころはあるが、歴史的建造物が活用され、長生きするのはうれしいことだ。ぜひこのお店も末永く頑張ってほしい。
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【店舗情報】
「榕苑」
住所:雲林縣斗南鎮中山路170號
営業時間:11:30~21:30(無休)