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台湾の旅行では偶然に乗っかるのが吉⁈〜基隆の日式宿舎で出会ったガイドツアーが凄かった
昨日、基隆の公開されている日式宿舎を見学した。午前中に仕事が終わってから出かけたため、現地に着いたのが午後2時半ごろ。
もともとは、同じ基隆市内でかなり離れた場所にある、期間限定公開の日式建築を訪れようとしていた。ところが、最寄りのバス停から徒歩20分くらい歩くことが分かり、そちらを後回しにして、週末の一般公開が始まった日式宿舎に行き先を急に変えたのだ。
1.基隆要塞司令官邸とは
台北の北東部にある基隆は、日本統治時代に軍港を含めた港湾都市として発展した。戦後も、造船業の中心地や軍都として発展を続けたが、近年は造船不況で産業が停滞。そこで、観光にも力を入れようとして、日本家屋の修復・活用にも力が入ってきた。
その中でも、「基隆要塞司令官邸」は現存する日式の木造建築としては、特に注目される存在だ。建てられたのは1931年。当時、基隆で観光バス事業を営んでいた流水偉助の邸宅として建てられたが、その後、戦後は中華民国軍要塞司令部鑑定として使用される。その後、一般人の所有になり、昨年の修復完了を経て、一般に公開されるに至った。
2.昨年の一般公開では建物をじっくり見られず
実はこの建物を見学するのは2回目である。昨年は、期間限定で基隆にちなんだ様々な展示が見られる展示会をやっており、それを見に行った。このような展示会は意欲的な作品が多く、とても楽しめるのだが、その一方で、建物そのものの構造や特徴などが隠されて見づらくなる。
それが、今回の公開では全て取り払われて、建物をじっくり見られそうなのだ。今回も、いつ公開が終わるかも知れず、急に行こうと思い立ったのだった。
3.ただの個人見学のつもりが…
時を今に戻そう。現地に着いた筆者は、とりあえず、適当に内部を見学して、もうひとつの目的地である、新しく開店した基隆の個性派レトロカフェに行こうと思っていた。ところが、中に入った途端こう言われたのだ。「もうすぐガイドツアーが始まるから、聞いていきなさいよ」と。
こういうときは時間の許す限り、流れに乗るのが得策だ。一般的に、ガイドツアーで話される内容はやや専門的で、ガイドの話も早口で聞き取りやすくないことも多い。
だが、部分的であっても、この施設のように独自のホームページやFBページを持たない施設の情報は入手が容易ではない。そこで、一つでも多くの情報を手に入れるには、ガイドツアーはかなりの手助けになりうるのだ。
(床の間付近についても細かい説明があった)
4.予想以上にガイドが充実していた
ガイドは、基隆市文化局の職員、ではなく志工(ボランティアスタッフ)が担当していたのだが、この方のガイドは本当に面白かった。
★屋根の様式
日本家屋の屋根は、切妻式・入母屋式・寄棟式など様々なスタイルがあるが、司令官邸は複数の様式が混ざっていて興味深い。当時としてはかなり贅沢な造りだったのではないか。
(洋間の正面は入母屋式に近いようだ)
(隣の和室は寄棟式のようである)
★基礎構造はレンガを使用
台湾の古い家屋の復元においては、一部分、透明なプラスチック等をはめ込んで、建物下部の構想を見せる工夫をすることがある。
建物の構造や様式、細部の特徴だけでなく、建主の流水偉助のエピソードや、日本ての見聞を踏まえた具体的な説明など、日本建築に縁がない台湾人でも興味深く聞ける内容だった。もちろん、中国語がある程度分かる日本人なら、内容理解の深さや正確さがすぐに分かるだろう。
★戦争の傷跡
住宅の裏には、こんなものも。これは戦時中に作られたとされる防空洞。ガイドさんは、狭い穴だと話していたが、一般庶民の防空壕の狭さを考えると、かなり立派な作りになると思う。
(説明プレート等がないのでガイドさんの話を聞かないと裏の防空洞に気づきにくい)
5.予定変更が楽しい台湾の旅
ホームページ等でもほとんど知らされず、現地にあっても掲示すらないガイドツアー。流石に台湾の観光地のガイドツアーは、一般的にはウェブ上で事前に情報が公開される。だが、中には現地に行ってみないとわからない掘り出し物の体験が待っていることがある。
そんなときは、帰りに飛行に間に合うなら、思い切ってスケジュールを変更して欲しい。事前に情報が分かっているスポットは次回に回しても構わない。これが、アフリカの奥地や、南太平洋の小さな島なら話は別だが、台湾であれば、見残しを次回に回すことも可能だ。
中国語を解さなくても、ある程度の話は想像がつくし、周りの台湾人が助けてくれることもある。(台湾では遠慮せずに「助けてオーラ」を出すのが吉)
筆者も何度も予定を変更して、一つのスポットに長居し、話を聞く機会を得た。では見残したスポットはどうする?それは、「再び同じ場所を訪れる素敵な口実」になるのだ。
皆さんも、台湾でなら気ままな予定変更の旅を楽しめるので、機会があったらぜひ偶然の発見を楽しんで欲しい。