ルルちゃんとかおるを読んで
いや、驚きました。言語学を学んだ関係で、黒田龍之介さんの文章は何度か拝見していましたが、新聞広告で新刊と重版本が紹介されていて、調べたら、家族の全員がすごいことになっている人々なんですね。お父さんが落語家で、本もたくさん書いておられる。お母さんは、書店にグッズコーナーまである絵本作家、妹さんも。何よりすごいのは、それぞれが自伝的な作品を執筆されていることです。お父さんの『落語家の生活』。お母さんの『ねないこはわたし』。黒田龍之介さんの『ロシア語だけの生活』、そして、くろだかおるさんの『ルルちゃんとかおる』。(他のはすべて未読ですが)。すごいすごい! 「マー姉ちゃん」や「本日も晴天なり」を凌ぐ朝ドラになります! 脚本は「ちりとてちん」や「カムカムエブリバディ」の藤本有紀さんにお願いしたい。とにかく、お父さんが、こどものために古典落語を書き直したり(お母さんの影響?)、ロシアの作家の話を落語にしたり(龍之介さんの影響?)、お母さんが落語からおばけを題材にしたり、娘(=かおるさん)と共作したり、この複雑な影響関係は、比較言語学者の龍之介さんか藤本有紀さんにしか扱えない範疇です。でも根幹になるのはこの「ルルちゃんとかおる」でしょう。軽妙な文体、辛さにも笑いで対応する底力、とにかく素晴らしい!