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「見仏記」のすごさとKindle読み放題

最近久しぶりに「見仏記」をKindle読み放題で読んでるけどすごい刺さって面白い。高校生の頃に読んでたのはサブカル憧れだけやってんなと思うわ。いとうせいこうの仏への文章を読んでたら私が書きたい感じで流石としか言いようがない。博学の上に立ちつつ、観光案内にはならず、自分の考察を嫌味なく書くところ。


例えばいつから一般の人が仏を見ることが始まったかにつて、「まず明治初期のフェノロサなどによる仏像の美術化、そして和辻や亀井勝一郎という国産インテリの仏像訪問期、さらに戦後になって修学旅行と〝ディスカバー・ジャパン〟のキャンペーンが観光化に拍車をかけ、その後アンノン族の寺社訪問が増える、というわけだ。」(『見仏記 (角川文庫)』(いとう せいこう, みうら じゅん 著)より)と簡単にまとめる感じとかほんまに膝を打ったわwみうらじゅんが絵を担当するからではなく、仏の写真を載せないところもすごいいいんだよね。今は見ようと思えば簡単に検索して補完しつつ読めて高校生の頃とは違う楽しみ方もできるしね。

他にも

「廃仏サイズってあるね」
 私は笑いながら、そうだねと答えた。みうらさんはその返答が不服なのか、声を上げる。
「だって、この人らは小さいからやられやすいでしょう。雪蹊寺の薬師とかは大き過ぎるからさ、ひるむと思うよ。廃仏しに来ても、手を出しにくいっていうかさ」
「ああ、たぶん人体より小さいかどうかってことが重要なんじゃないの。やっぱ、人体に近いと殺人感覚になるでしょう。それより大きいと、今度は恐くなってくるよね、たぶん」
「だからさ、廃仏サイズってあるんだよ」」(『見仏記2 仏友篇 (角川文庫)』(いとう せいこう, みうら じゅん 著)
「寺ってこれが恐ろしいよね。来るたびに見えてくるもんが別なんだよ。〝おのれを見せてやるぞ〟ってことなのかな?」(『見仏記4 親孝行篇 (角川文庫)』(いとう せいこう, みうら じゅん 著)より)

などなど名言の宝庫。

そんな風にKindle読み放題で読み進めていたら、これは怠け者の図書館やなと思ってきた。(Kindle読み放題とは正式には『Kindle Unlimited』と言って、Amazon(アマゾン)の電子書籍読み放題サービス。月額980円。)

ちょっと知りたいことを調べたりするのや、ネットでは浅くしかわからないところを補強するのに、読み放題で検索すると手軽な本に出会える。例えば、空海について知りたかったら専門書はないけど、「空海は、すごい〜超訳 弘法大師のことば 苫米地英人」みたいなのがあって、それをパラーっと読んで知識を得てから本物の本を探して見つけて買ったりできるので悪くないかななんて思ってきた。(その本は読んでないけどw


いとうせいこうとみうらじゅんの「見仏記1」を久しぶりに読み放題で読んで感動したので、続きを買おうかなと思って検索すると「見仏記4」までが読み放題になっていた!うれしくなってダウンロード。(見仏記は現在7巻まで出ている)行ったお寺の仏像の話を面白く読んだり、滋賀のお寺の話を読んで行きたくなったり。2巻ではいとうせいこうは、みうらじゅんのことを35歳のおじさんと買いていて、若い!と思ったけど、そりゃそうだよね、高校生の時から私が読んでたんだからそうなるよね今63歳らしいこどそりゃそうか。あの二人はずっとくだらなそうで意味のあることをやり続けてそのまま永遠に同じポジションで偉いな。そりゃ博物館のお寺展の時に名誉顧問として呼ばれるわ。みうらじゅんの徹底して仏(ぶつ)にしか興味がないのがすごいと思ってたけど、読み進めるとだんだんお庭の前でぼんやりもしていて、これが歳をとるってことかwwとか思っている。いとうせいこうとの寺への格式ばった解説は全くしないのにその意味は理解して書いてるところと、みうらじゅんの仏像を表現するときに専門用語を使わずに、ゆるやかなアプローチで自由に表現するのがすごいわ。頭の良い文章や解説よりもすごい頭がいるよね。
とにかく、Kindle読み放題は怠け者の図書館ってことw、図書館って深く知りたいことを知るために行くところだけど、読み放題は浅くしかわからないし人気商品は読めない。けど、私ぐらいのわからないことをまず知るためには利用価値があるなあと最近思っている。

「見仏記」を読んでるとみうらじゅんはフェノロサになりきって仏像を見ているらしい。私はこれからは見仏記の二人の隣で見てる人になりきって仏像を見てみよう。


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