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東洋陶磁美術館と安宅コレクションと

この所ずっと安宅産業破綻事件に関しての本を読んでいた。

友達との会話の中で、東洋陶磁美術館について話してた時に、この美術館は安宅コレクションが元になってるんだけど、美術館ができた時に、多分NHKで昔、車椅子に乗った安宅さんが「これで良かった」などといい大阪市に礼をいう場面を見たことがあった様な気がする、というと、その友達がそれは住友銀行についての感謝では?と言うのでちょっと混乱してウィキペディアではなくて関連本を読もうと思ったのだ。

まず読んだのが松本清張の「空の城」。こちらで全体像をざっと理解した。

名の通った中堅クラスだが、トップになれない──その焦りから石油部門へ進出を急いだ巨大総合商社が、冷酷な国際商戦の渦に巻き込まれて、またたくまに膨大な赤字を抱え、ついに倒産。渦中にいた四千人の社員の何人が、その無残な敗北を予測しえただろうか?一方、仕事は放任、熱狂的な陶磁器マニアだった社主が見ていたものは……。石油という国際的な商品の“魔性”に命運を賭けた大企業の野望と挫折を、徹底した海外取材をもとにリアルに描く、《小説・安宅産業の崩壊》。

空の城 HP


そして、住友銀行側から書かれた安宅産業の社員達の労働運動に悩まされる 「メインバンク」。

次に、安宅コレクションに関わり続けた社員であり、初代東洋陶磁美術館の館長だった伊藤郁太郎氏の「美の猟犬」。


最後に、松本清張の「空の城」のドラマ化、「ザ・商社」。あの頃のギラギラした商社マンが描かれていて、中村紘子をモデルとしたピアニストを夏目雅子が演じ、安宅会長は片岡仁左衛門(先代)。このためにNHKオンデマンドに入ったw 素晴らしかった。


東洋陶磁美術館

そして、ずっと読んできた安宅産業の〆としての東洋陶磁美術館。カフェができたのを知らなかったのだけど、どれぐらい行っていなかったのだろう。もしかしたら、ルーシー・リー展以来行っていなかったのかもしれない。

安宅さんが、古美術商が見てほいしいと持ってきたものが3点あったとして、その中の一つは素晴らしいけれど他の二つがイマイチだったとしても全部買う。そうでなければ、良い物を持ってきてもらえない、って伊藤氏に言う場面があって、それを知って美術館を見ると、もしかしてこの中にも安宅さん的にはそうでもないものもあってそれが恭しく飾ってあるのかもしれないな、なんて思って楽しくなってしまう。

リニューアルして美術館は展示スペースが増えたような、小さなお部屋がたくさんできたような気がしたけど気がしただけかもしれない。建坪率は多分変わってないような気がするんやけど。。。

ガラスの展示棚の前の欅の美しい肘置きはゆっくり作品を見てほしいという美術館の気持ちなんやね。いや、初代館長の安宅さんの側近、伊藤郁太郎氏の気持ちか。

一番最後に入る展示室に、スターを集めた部屋があり、ものすごく素晴らしいんだけど、他の展示室と同じくシンプルにありのままを太陽光の元で展示してるのがかっこええと思った。同じ安宅コレクションが流れていった山種美術館の、速水御舟ルームとはえらい違いやなあw


友人がロイヤルホテルに誘ってくれたので、そのまま中之島を歩いてロイヤルへ。

バーナード・リーチが監修したリーチバーで酒を飲み、今井でおうどんを。ロイヤルホテルがどんどん廃れていくのが悲しい。あの晴れがましかったロイヤルホテルは復興しないのか!!!たくさん工事してたけどええ感じに改造してほしいものやわ。

午前中に新浴衣が届いたので着て行ったのだけど、帰って見たら、襟が変な型がついててかっこ悪かった。今度はちゃんと直して着よう。

↑収集の系譜-館蔵品をめぐって-
伊藤郁太郎 大阪市立東洋陶磁美術館 館長

24.8.7


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