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一社)ジェイス 年頭のご挨拶
2024年、あけましておめでとうございます。
一般社団法人ジェイスの代表としての新年のご挨拶です。
最初に個人的なご挨拶をさせてください。
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なにごともなく、おだやかな心持ちで、お正月を迎えられるということが、どれだけ大切なことか。
お正月と言えば、明るく楽しく親戚が集まって、紅白歌合戦を見る、おせち料理を食べる、初詣に行く、というイメージが、昭和の時代に育った私の世代にはありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
人が集まれは大人たちの間でひと悶着も起きるし、
今年のように、災害に見舞われて祝う気になどなれない場合もあるでしょう。
みんなが楽しそうに過ごしている脇で、辛さを感じていた誰かがいたかもしれない。
それでも何とか新しい年に希望をもって、初日の出を迎え、神仏に祈り、おみくじをひいて、前に進もうとする。初夢を喜ぶ。
そうして一年一年を思いを新たに今年こそはと気を引き締める。
そういうお正月を子どもたちに残していきたいものです。
2024年が、みんなの力で、良い年になりますように。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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さて、ジェイスが立ち上がったのが、2021年5月でした。
ちょうどコロナ禍の只中で、顔を合わせてのミーティングもままならない中のスタートでした。
この間、少しずつ展開されていった活動を温かく見守って応援して下さった皆様に心より感謝しております。
現在、2年半経過したところです。様々な活動を行っております。
しかしながら、こと広報に関しましては、
ウェブサイトを作ってその内容を構築するというところまででかなり時間がかかり、日々の広報にまでは手が回っておりません。
皆様に十二分なご報告ができていないことがいつも気がかりでした。
そこで、今回、2024年の年頭にあたり、この場をお借りして、
2023年一年間の活動報告をざっくりとさせていただくと同時に、
2024年の抱負を述べさせていただこうと思います。
どうぞお時間のありますときに、お付き合いください。
なお、全体をざっくりと俯瞰するアバウトな記述ですので、必ずしも関係諸氏のお名前を全て上げたり、一つ一つの出来事について詳細に記載することができません。詳しく書いたり、ほとんど触れなかったりと、ムラがありますが、今回は、あしからずご了解ください。
まずは2023年の活動報告からです。
1)社会環境の改善に資する事業
2月25日、社会的マルトリートメント予防全国集会プレ集会をオンライン上で開催しました。このときに録画した動画は、無料でyoutube公開しています。各地で自由に勉強会を開催していただけますので、無料で学べます。8分割してありますので、一つが10分程度です。ラジオのように耳だけで聞いていただくことができますし、どの部分からでもお聞きいただけますので、まだの方は(顔は見なくていいので!)ぜひお聞きください。
230225プレ集会1 はじめに https://youtu.be/pxBtRnW5J8g
230225プレ集会2 私たちは社会を変えられる
230225プレ集会3 被虐待児と同じ特徴を持つ日本の子どもたち
230225プレ集会4 問題の認識を妨げる価値観
230225プレ集会5 エデュケーショナル・マルトリートメントとは
230225プレ集会6 育児マルトリートメントとは
230225プレ集会7 家庭における教育虐待と学校における教室マルトリートメント
230225プレ集会8 追い込む大人たちと追い込まれる子どもたち
230225プレ集会9 次の犠牲者を生まないために~人権に基づく協働と対話の人育て
230225プレ集会10 質疑応答
このプレ集会にご参集下さった数百名の方たちの中から、5月に日本の真ん中に位置する名古屋での2日間(事前の任意の視察エクスカーションも含めると3日間)通しでの全国集会に60名以上の方に参加していただきました。現場で両日参加が条件のこの会に、全国から熱心な参加者が集まって下さいました。
集会は実行委員会形式で、ジェイスメンバーと名古屋・岐阜の開催地メンバーが合同で実行委員会を組織し、綿密な打ち合わせを半年以上に渡って続けました。事前に内容に関するショートビデオを作成したり、どのような方に参加していただくか協議を重ねたりもしました。
その後、楽しく笑いつつ真剣に涙もする全国集会で学んで火が付いたメンバーが、地元で勉強会や講演会を重ね、11月にはzoomで中間集会を開催、こちらも40名の参加でした。
現在、ジェイスと名古屋のメンバーを中心とした実行委員会が、来年7月中旬頃(予定)に再び名古屋での全国集会を企画中です。
7月中旬あるいは下旬の土日を中心に2—3日の予定ですので、ご参加をご希望の方は、どうぞ情報が確定する連絡を是非お待ちください(2024年も2日間の参加が原則となる可能性があります)。
2)普及・啓発事業(依頼講演・研修を通じて)
ジェイスメンバーは、それぞれの団体での活動をしているメンバーが多く、それぞれ自分たちの団体等で活動を展開しています。
各人で活動しているため、ジェイスのウェブサイトに掲載されている講演・研修報告は、代表武田の研修(年間30ー40回)が中心となっています。2023年度の武田の新しいキーワードは、乳児の人権、乳児からのデモクラシー、対話だったと思います。乳児に対するマルトリートメントを減じることで、人の育ちが保障されると考えています。
さて、ジェイスがどのような活動をしているかを理解していただくためにも、ぜひ、一度、報告ページをご覧ください。今年度、代表の登壇する講演・研修のお申し込みはほぼ終了しておりますが、代表以外の講演は受付中です。
3)普及啓発事業(メディアやSNSを通じて)
ジェイス代表の武田の各種メディアからの問い合わせや登場の回数が増えています。今年は特に「教育虐待」という言葉が一般的になり、そのような事件が問題となったり、そのような体験を持つ方々の関心が高かったように思います。
また、今年は、テレビ関連の情報収集のために、多くの方にご協力いただき、教育虐待の事例を聞かせていただきました。何れの話も身につまされるものでした。子どもの頃に、大人たちから強制される勉強に違和感を持ちながら、自分自身を責めて生活し、大人になってから自分を取り返すために自らのライフストーリーを整理して、自分の人生を生きて行こうとなさっておられる皆さんの泣き笑いを聞かせていただきました。それらの中から、共通項をまとめ、個人のストーリーを社会の流れの中に位置づけ、意味付け、言葉にしていく作業をこれからも続けていきます。引き続き情報提供をしてくださる皆さんの声を聞いていきたいと思います。
というのも、実はジェイスが最も伝えたいのは、教育虐待の問題そのものというよりはむしろ、その背景のエデュケーショナルマルトリートメント、またさらにその背景の社会的マルトリートメントなのです。
ですから、皆さんからうかがった話の背景を考え、理解し、そして、そうした成果を、FBやnoteにこれからも書き込んでいきます。
少しずつ進化&深化しておりますので、どうぞお付き合いください。
4)調査研究事業
ジェイスとしては、2023年度子ども家庭福祉学会民間団体活動推進事業の調査研究「社会的マルトリートメント」概念の構築 ~「社会的親」のあり方の検討のために 東洋英和女学院大学教授 山本真実氏をメンバーに迎え、ジェイスの築地、松田、横須賀、武田の5名で取り組んでいます。
社会的親、子どもが育つコミュニティをキーワードに全国各地を回って、いろいろな試みを見せていただいたり、お話を聞かせていただいたりしています。素晴らしい活動をしておられる方たちに学び、社会的マルトリートメントが起きない状態を、地域社会やコミュニティの中でどう作っていくことができるのか、考え、まとめて行ければと思っています。
また、代表の武田は、東京学芸大学研究員として、文部科学省科学研究費研究により、
1)「コロナ禍を含む近年の乳児発達の「おかしさ」実態調査:問題の所在と機序の探索的研究」(代表、分担研究者として、日本体育大学教授野井真吾先生・准教授鹿野晶子先生、昭和薬科大学教授吉永真理先生、東京大学医学部付属病院准教授野村幸世先生)
2)「教師を育成する教師」としての授業力を高めるセルフスタディとその推進に関する研究(大村龍太郎先生代表研究の分担研究者として)、
3)論理を教える国語の先生をどう育てるか:国語科教育学研究者によるセルフスタディ(幸坂健太郎先生代表研究の分担研究者として)
に取り組んでいます。
さらに、福井大学大西将史先生等が展開しておられる「エデュケーショナル・マルトリートメント研究プロジェクト」にもかかわらせていただいています。
これらは、一見、ジェイスの活動と直接の関係がないように思われるかもしれませんが、今後、しっかりとつながっていくと思っています。
なにしろ、大学に在職していた頃にはできなかった研究に、ジェイスという場を得たことで、やっと自由に取り組めていることに感謝しています。
必ずしもお名前がここに出てはいないのですが、共に研究に取り組んでくださっている皆さんに感謝するとともに、今後、この文章を読んで下さっている皆さんにもご協力を求めていくことがあるかもしれませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、学会活動として、
1)日本心理臨床学会大会自主シンポジウムにおいて「社会的マルトリートメントと心理臨床」の企画・発表・ディスカッションをしました。
藤原勝紀学会理事長、石田陽彦理事、平野直己元学会業務執行理事・編集委員、伊藤亜矢子学会誌編集委員会副編集委員長のご参加を得ての実施で、
心理臨床家を対象として、社会的マルトリートメントについてお話ししたのは、2022年度の北海道教育大学の平野直己先生門下の先生方を中心とした「心理臨床とコミュニティ」の自主シンポジウム、2023年4月の広島県臨床心理士会主催のスクールソーシャルワーカー対象のオンライン講演会に続く3回目でした。大変充実した討議ができました。
心理臨床の世界に、「社会的マルトリートメント」の概念が浸透すると、その影響は大きいと思われます。できる限り意識的に活動に取り組んでいきたいと考えています。
2)中国四国教育学会ラウンドテーブルの指定討論者として登壇しました。
旭川市立大学教授齋藤 眞宏先生が企画の中心となり、広島大学EVRI関係者を中心に計画された「セルフスタディを語り合う-教師教育者の「教えることを教える」ことの探究とその成果-」において、登壇者のご発表や質問者の問いに対してコメントをしました。そのコメントを自分なりにまとめることができていないのが残念なのですが、熱い議論が交わされた良いラウンドテーブルだったと思います。
5)相談・コンサルテーション事業
こども家庭庁のこどもデータ連携実証事業に参画している佐渡市において、「個々のこどもや家庭の状況や利用している支援等に関する教育・保健・福祉などの情報・データを分野を超えて連携させることを通じて、個人情報の適正な取扱いを確保しながら、潜在的に支援が必要なこどもや家庭を把握し、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげる実証事業」(こども家庭庁)が実施されており、それに協力しています。
また、
1月には、松戸市の子育て支援事業へのコンサルテーションを古野と武田が行いました。
2ー3月には、愛知県長久手市(吉田一平市長)の教育総合計画へのアドバイスと職員研修を武田が行いました。市長交代により、継続が難しくなってしまいましたが、職員の皆さんが投げたボールを受け止めて持っていてくださっていると信じています。
9月には、東京都杉並区の教育評価委員として、武田が「令和5年度 杉並区教育に関する事務の管理及び執行の状況の 点検及び評価(令和4年度分)」報告書にある通り、教育評価を行いました。この内容についてはすでにnote にも報告しています。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/085/763/051128_1.pdf
6)出版事業
ジェイスとしての書籍の出版は、企画が複数上がっていますが、2023年は手が回りませんでした。
一方、代表武田は、何冊かの共著書籍の原稿執筆を行い、また、2冊の翻訳書の監訳に取り組んでいます。監訳と言っても流し読みではなく、内容に責任を持つために翻訳そのものに関わっています。
何れの書籍も、心理・教育・ソーシャルワーク分野で、ジェイスの活動につながる内容です。今年は単著は出しておりませんが、ぜひ、今後ともジェイスとそのメンバーの執筆・編集する書籍に、関心を持ってください。
7)研修事業
自主事業としての研修事業、特に対人援助職の専門性開発に関する包括的な研修の開催は、昨年に引き続き、今年も検討を続けていますが、他の事業に時間と手間をとられて実現にまだしばらく時間がかかるかもしれません。
引き続き検討を継続していきますので、どうぞご期待ください。
以上です。
日頃のメンバー間での連絡は、主にSNSでのやりとりが多く、コロナ禍が明けてもなかなか全員が揃う機会が作れません。メンバー内でいくつかのグループに分かれてディスカッションを繰り返しています。
また昨年に引き続き、集まれるもので合宿をしたり、理事会で今後の活動について話し合ったりしています。
企業のようなノルマがあるわけではなく、収益事業があるわけでもなく、ボランティアの部分も多いため、今の時代にしては、活動展開のスピードが遅いかもしれません。しかし、やろうとしていることは、価値観の変換、社会の変革という大きなことですので、焦らずたゆまず進めていきます。
2024年の抱負
2023年の活動の中に、既に今後の方向性の芽は出てきています。
今の流れから、さらに社会的マルトリートメントの基となっている価値観のリフレクションが全国各地で起きるように、ジェイスは活動していきたいと思います。計画を立てて動くというよりは、その都度、出てきた新しい課題に対応していく、という団体ですので、外部からは、何をやっているか見えにくいかもしれません。
ただ、今年も、ジェイスの3つのビジョンに沿って動いていきますので、どうぞ引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【ビジョン】
ジェイスは、子どもたちのウェルビーイングを保障するために
大人の学びを支援する団体です。
ジェイスは、子どもへのマルトリートメントに気づき、
予防に取り組む大人を増やします。
ジェイスは、一人ひとりの子どもに必要な環境を考え、
子どもと共にその実現を図る社会を作ります。
2024年元旦
一般社団法人ジェイス代表理事 武田信子