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まちサロンおきやんちができるまで【その2 着手】
いつか居場所を作りたい、居場所を作ろうとしている、という人もいらっしゃると思います。参考になるかどうか、もしかしたら、うまくいかないかもしれないけれど、これから立ち上げる東京都杉並区「阿佐谷北3丁目まちサロンおきやんち」ができるまでのプロセスを書き留めておくことで、なにがよくてなにがよくなかったかが、あとで検証できるのではないかと思い、書いておきます。
書いている私の今の立ち位置は、地元に住んでいたことはあるけれど、今は隣の区に住んでいるおきやんの娘がお手伝いしている、という感じです。
【その2 着手】
プロジェクトが始まりました。
最初に規約案や、目的や事業計画などが必要になります。
プロジェクト実行者の八十九歳のおきやんは、
これまでに様々な店の立ち上げを手伝ってきたので、
書類作成のハウツーに関する経験値がありました。
これができて、本当に始まるんだ、という感覚が出てきました。
私は大学教員として研究助成金申請してきましたので、
助成金申請書類の作成方法を知っています。
また、地域にどんな助成金があるかは、おきやんがよく知っていましたので、私はおきやんが作成した申請書原案に手を入れて整理をしました。
迷ったときには、セカンドリーグいばらき理事長、一般社団法人ジェイス事務局の横須賀聡子さんに相談しました。
茨城県の事業としてコミュニティワーカー養成も手掛けておられる横須賀さんは、一般市民をエンパワーしてその力に頼ってものごとを進めるプロです。
あ~すればこ~すればと先走り勝ちな私たちに、
これはみんなで決めたほうがいい、これは自分たちで用意しないで、
みんなに知恵も手も借りた方がいい、とアドバイスして下さいました。
さて、次に、改装工事です。
最初、おきやんは、自分のアイデアで工務店さんに依頼して4月にはオープンしようというプランでした。そこで、私たちのアイデアをどう実現するかについて、基本設計を考えて下さる人たちに間に入っていただくことを提案しました。
それは、以前、私が自分の家の改装デザインを、
一級建築士事務所スタジオ宙(MYU)の郡由美さんにお願いした経験からです。
郡さんは、実に丁寧に私の希望を聞き取り、
自分でも明確でなかった将来のイメージを私の中から引き出して、
それが実現するような設計を見事に考えて下さいました。
その結果、私は、改装後に、日々の生活の質がぐんと変わるという経験をしたのです。
そこで、
住民参画型を積極的に取り入れ、私たちの事情を勘案し、方針を理解して、費用もできるだけかけない形で進める ことができるように、
自分たちも地域の居場所づくりをしてきた、
おきやんの孫世代、私の息子世代の若手の知人に声をかけてみました。
ワークショップ、参画型、デザイナーを入れるという新しい概念と方法を、
昭和一桁生まれのおきやんが実感として理解するまでには
少々時間がかかって、
さっさと工事が進むものと思っていたのにそうはならない
ということに最初は戸惑っているように見えました。
今までとは勝手が違うので、当然です。
でも、おきやんは、NPOのリーダーを今も務めている現役で、
説明に合点、方針に納得すれば、話は早かったのでした。
今はむしろ、連絡用のメッセンジャー・グループに、
思いついたことを積極的にいろいろ提案してくるほどです。
流動商店の皆さんは、仕事を楽しくするプロでした。
一緒に作っている仲間感、こちらが納得するまで待ってくれる姿勢。
的確な判断に信頼がおけて、本当に頼んでよかったと思います。
打ち合わせを終え、希望を伝えて出来上がった最初の図面の基本構造は、
かつて25年前に自分が大学内に作った学生相談室という名の学生の居場所と似ていました。
でも、そこからです。
さらにさらにいろいろな思いつきのアイデア💡が出てきて、
少しずつ形が変わって、
より地域の居場所としての工夫が加わっていきました。
こちらの勝手な注文に、
一級建築士の中山陽介さんがうーんと考えて応えて下さって、
より良いアイデアが出てくるので、わくわくしています。
さて、
愛される居場所にするためには、
近隣迷惑にならない配慮が必要ということで、
まずは耐震工事の調査を入れました。工事が必要とわかりました。
また、どこまでどのような防音をするのか、いろいろと議論しました。
(これに思っていたよりお金がかかったのです。
クラファンを始めるきっかけとなりました)
工務店は、おきやんが懇意にしている
「日本環境システムズ」の森嶋貞夫社長にお願いしていたので、
流動商店さんと調整、相談して進めていただきました。
材料高騰の時期にどう調達するかなども問題になりましたが、
本当に親身になって対応していただいています。
工事に来てくださる方たちも、とても気持ちいい人たちで、
会えばついおしゃべりしてしまいます。
しかしながら、問題だったのは
出資できる金額に限度がある中で、何を優先するのか、
どこまで完成度を高めるのかでした。
大切にしたのは、
「最初から、完成品を作らないこと」です。
関わって下さる皆さんにお願いできることはお願いすること。
利用者や関わって下さる方たちに関わり代(しろ)を残すこと。
みんなの居場所を作るのですから。
最初から素敵な場所を作って、どうぞ、まあステキ、
というふうにはしないのが、私たちの方針でした。
オーナーが出資したからと言って、最初に頑張ったからと言って、
最終的に、オーナーの持ち物にしないこと。
みんなの居場所であるということを、
みんなで共有しながら進めていきたいと考えました。
でも、今回の場合、実は、最初はその「みんな」=住民がいないのです。
おきやん個人の思い付きですから。
なにせ、つながりの薄い住民をつなぐプロジェクトですから。
おきやんから着手の話を聞いた人たちが、
次々と「使わせてください」「いつ完成ですか」
と関心を持って申し出て下さるので
とてもうれしい、ありがたいことなのですが、
それは「完成品を待っています」ということ。
でも、作ろうとしている居場所は、
一緒にやって下さる人たちに集まっていただいて、
みんなでだんだん形にしていく居場所、です。
作るのは基本のデザインだけです。
中身は、ごちゃごちゃまぜこぜで、
時間をかけて変化していくものだと思っています。
手間がかかります。
仲間同士の意見がぶつかることもあるでしょう。
情報共有も難しいでしょう。
そのプロセスそのもの、面倒くささが、住民自治が、
地域には大事なのではないでしょうか。
それが効率優先の価値観に席巻されてしまって、
みんなが自分事(じぶんごと)に時間を取られていく中で、
近所付き合いが敬遠されて、
自治会も誰も手伝わなくなって、ルーチンを守る集まりになりがちで、
地域が痩せていってしまったのではないでしょうか。
そのために、まず誰に関心を持って手伝ってもらえそうか、
どういう人にいつどのようにお声がけすればいいのか、
大切に考えながら進めることにしました。
コアとなる運営協議会のメンバーが固まってきました。
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最後まで、長い文章を読んで下さって、ありがとうございました。
理想を書いても、現実は上手くいくかわかりません。挑戦です。
共感していただけましたでしょうか。
どうぞ、それぞれの形で一緒に参画してください。
プロジェクトのご支援をどうぞどうぞよろしくお願いいたします❣
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