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学校の壁面構成
壁面構成と言えば、幼稚園、保育園。
クマさんやウサギさんやリスさんが、運動会やクリスマスを楽しんでいるというような装飾を教室の壁に貼るもの。
これに異を唱えたのが友人の保育教育者、
東洋大学の高山静子さんで、
私もそれに同意して、各地の保育士研修で、
「お内裏様とお姫様の格好をしたゾウさんを3月の壁面に飾ることは
日本の子どもたちの育ち、情操教育的にどんな意味があると思って、
それをしていますか」と問いかけてきた。
実は私は、それとは別に、
かつてから小中学校の壁面に違和感を持ち続けてきた。
最初に違和感を持ったのは、2003年頃。
カナダからの来客を日本の小学校にご案内しているとき。
「清く正しく美しく」のような学校目標や
「賢く強く仲良く」のような学級目標が張ってあり、
それがどうしてそこにずっと貼ってあるかを説明するのが
息苦しかったのだ。
さらに、どのクラスにも同じ「男女の顔に塗り絵して自己紹介」があって、
「私の今年の目標」・・・「さんすうをがんばる」「けいさんをがんばる」が並ぶ教室に、ため息が出た。
4月の最初だけならまだわかる(かもしれない)が、
秋になっても、冬になっても、翌年も・・・それが掲示されている教室。
毎年ほぼ同じ目標を書く子どもたち。
(私と同じ苦しさを感じ、ため息をついている子どもたちがいるのではないか)(いや、何も感じない子どもたちの方が心配だ)
全く同じテンプレートで、
生徒毎に中身だけが換えられている様々な廊下の掲示物。
書道であれば、まだ「模写」には意味があるのだろうけれど、
始業式にやっつけで書いた今学期の目標をずらっと掲示し続けることに、
どれほどの意味や効果があるのだろうか。
同様に、個性なく全く同じ作品が廊下に並ぶ図画工作。
あるいは人気アニメのキャラクターの絵が並ぶホール。
10年ほど前、世界的なウェディングドレスのデザイナーさんを
ある「模範的な公立学校」にご案内した後で、そっと感想をうかがったら、
にっこり笑って、"messy" と。
学校も、生徒たちの作品も、「がさつ」と。
でも、そう言われても仕方ない……。
教室や廊下に並ぶ、
授業の約束、発表の仕方、あいさつのきまり、意見の聞き方。
正しい姿勢。学習のめあてに向かおう。世界平和のために。
「廊下を走らない」「いじめ撲滅」「ルールは君たちのため」
さらには、「男女不純異性交遊禁止」「禁煙」(笑)←実際にあった例。
最近はSDGSとソーシャルディスタンスがお決まり。
一度、自分の学校に貼ってある「あるべき姿」の掲示物を全部、
体育館に集めて皆で鑑賞する会、をするといいのではないか。
そして、その次に、子どもたちに、
「職員室に貼るといい、先生たちのための標語コンテスト」を実施して、
その上位50作品を、
職員室とその周りの廊下に一年間、掲示し続けてみたらどうか。
さらに、家の廊下やトイレやキッチンに
「禁煙」とか「ダイエット」とか貼っておくと・・・効果あるかな?
うん、自分で貼れば、しばらくはね。
(家族が貼ったら、たぶん、効かない)
でも何か月もそのまま貼ってあるとしたら、
それは効果がない証拠でしかない。
ときどき自分の部屋に
「受験」「集中」とか貼っている子どももいて、応援はしてあげたいけれど・・・苦しい。学びは楽しいものであってほしいから。
日常は、自分のうちから気づきが出てくる意識で生活したいから。
教室は子どもたちの毎日の生活空間。
毎日見ているものは、その人の脳や心を作っていく。
センスのいい教室で、いつのまにか色彩やデザインの感覚が身につくような、そんな教室を作れないだろうか。
担任の先生たちがもう一杯一杯だったら、どうしたらいいのかな。
一度、全部、剥がしてみて、しばらく何もなくしたら、
すっきりして、いいアイデアが出てくるかもしれない。
すばらしい学校建築が増えてきているからこそ、
その中に、貼ってある掲示物と、
廊下にずらっと並べて置いてある「受験案内」に、
違和感を持ってしまう私。
子どもたちは平気なのかな。
子どもたちはどんな教室で学び成長することを
求めているのでしょう。
追記)
ではどういう教室がいいか、壁がいいか。
そのモデルが欲しいですか?
世界中の学校の写真からご紹介できますけれど・・・
掲示物の例がいっぱい写真で出ているマニュアルが欲しいですか?
その通りにやりたいですか?
まずは、子どもたちに聞いてみることから始めてみませんか?
あるいは先生たちで楽しく相談する時間を保障してもらうことからかな…。
#学校 #掲示物 #学校目標 #壁面構成 #校則 #教育改革 # やりすぎ教育