地域と生きる みんなで生きる をつくる
報告書が送られてきた。報告書というものは大概はつまらない。
いや、でも、これは私を15年支えてくれた友人の事業報告書だ。
暑いけど…。
*******パンフレットより
コミュニティワークって?
なんかやってみようという気持ちになる環境を作る仕事。
組織になっていないコミュニティを組織化していくこと。
当事者が主体性を持ってなにかに参画する場を作っていくこと。
大切なことは?
力がない人はいないと信じること
してあげる、という支援とは全く別のもの
取り組みに「それは面白いね」と共感して面白がる姿勢
「○○のため」というより「○○と共に」
いっぺんに課題を解決しようとせず、少しずつ変える
キーワード集から(例)
傾聴)本当に関心を寄せていることは何なのか、話しているときの感情はどうなのかを聞く能力
ファシリテーション)人々の活動が容易にできるよう支援し、うまく事が運ぶようにかじ取りをすること
目標
市民が自力でコミュニティを良くしていく。
課題を抱える当事者にはどんな向き合い方がよいですか。
例えるなら「地図を持っていない伴走者」。地図を持っているのは走っている本人。迷走しているように見えても見放さず信じ続け、見落としそうな情報を伝える役割だと思っています。
社交的ではない人でも務まりますか?
内向的な人でも大丈夫。自身の短所を隠さずにいれば、相手に助けてもらったり、教えてもらったり、よいかかわりが始まります。どんな相手にも、そして自分自身にも力があると信じることです。
*******
・・・15年間、私は路地だらけの地図を持って、いつも迷走していた。
ああ、彼女はこれを実践している。少なくとも心がけている。
報告書にもパンフレットにも、地の文を誰が書いたかは書いてない。
でも、彼女が一つ一つ単語を選んで書いたことが、私には伝わってくる。
2000年にトロントから帰国した時、Direct Social Work Practice (ダイレクト・ソーシャルワーク ハンドブック 明石書店)を非常勤講師をしていた学習院大学の学生たちと半期授業で一緒に読んだ(ソーシャルワークの学科ではなかったけれど、卒業後、ソーシャルワーカーが何人か誕生したと聞いている)。
そのレジュメを基に、日本全国から7人の猛者が毎月、自腹を切って交通費を払い、東京の私の小さな家に集まって事例検討会をしていた。
そのメンバーで、当時のこども未来財団の助成金300万円を3年間取って(申請書の実質的な作成者は彼女だ)、子育て支援研修のあり方を検討し、今の子ども・子育てコミュニティワークの基礎を作った。
その中で、私の話を聞いて、彼女が、どうしてもコミュニティワーカーのBill Lee氏を日本に招聘したいという。
(アマゾンではお高い中古しか買えないようです)
そこまで言うなら、とお会いしたことのないBill Lee 氏に連絡を取って、来日が実現。あの時の経験が、今、自分にどれだけの血肉となっているか。
10年後に再び、私がトロントに滞在した時、彼女はBill に会いたいとやってきた。英語がほとんどできないのに、アメリカ入国で足止めを食らって、「英語ができないなら来るな」と言われながら、ふらふらになってやってきた。それなのにそのときの私は、とても冷たくて、ずっと喧嘩状態で、彼女をトロントの街に放り出した。
あの状況からどうやって回復したのか、帰国して報告会で何を話したのか、私は良く知らない。でも、彼女は学んだ、という。どんな状況からでも学ぶ姿勢を崩さない人。どんなに私が悪者でも、迷走していても、自分自身を信じることができなくても、彼女は決して見放さず、信じ続けてくれた。
それが、彼女の言うところの、コミュニティ・ワーカーの姿勢。
だから、この報告書の言葉の一つ一つは、ずっしりとしている。
一介の、「いつも豆を煮るのに忙しいのよ」という自称「主婦」が、
県の事業を動かして、2年目は予算増。
トップダウンで社会を動かしている人を指をくわえてみている私を、
批判することもなく黙って見ていて、
べらべらと自分の妄想ばかりしゃべり続ける私の話を、
何時間でも聞いて、
自分は静かに着々とボトムアップで、
人づくりを続けている。
血のつながらない親類の介護をしながら、
様々な子ども家庭支援をスタートさせ、回るように支えてきた。
大学の先生だった私よりずっと研究ができる。本が読める。計算ができる。
(できないと言って、実力を出し切っていない人に仕事を振りわけるけど)大学出ていないのです、彼女。
(そういう女性が私の周りには、何人もいる)
私は彼女に支えられている。
社会はそういう人たちによって、支えられている。
彼女は自分以外に、そういう人たちを増やそうとしている。
私も「そういう人たち」の仲間に入れてもらって、
命ある限り、学び続けたいと、改めて思う。
写真左)チェレンジいばらき県民運動 令和元年度
『コミュニティワーク実践講座事業 報告書』
「地域と生きる」「みんなで生きる」をつくる
写真右)”コミュニティワーク”実践者たちからのヒント集
~やってみたい・挑戦中の全ての人へ