校庭が本気の雪遊び場になった日 【週刊新陽 #147】
先週レポートした冬季スポーツ学習を兼ねた宿泊研修に続き、今週も札幌の冬ならではの活動をご紹介します。
その名も「新陽YUKIASOBI〜アウトドア体験してみない?〜」。2月4日(日)、新陽高校グラウンドで様々な雪遊びができるイベントを初開催しました!
新陽オリジナル科目『アウトドア探究』
今回のイベントは学校設定科目『アウトドア探究』の授業の一環。
新陽には、『アウトドア探究』のほか『e-sports研究』『Google演習』『澄川学』など生徒が実践的に社会や地域とつながって学ぶ『出会いと原体験』という学校設定教科があります。
昨年10月にスタートした後期『アウトドア探究』の生徒は44名(αとβの2クラス)。由仁町をフィールドとしたキャンプや学校周辺の自然体験などを経て、迎えた雪のシーズン。冬場のアクティビティを体験できるイベントを生徒自身が準備し運営する企画として「新陽YUKIASOBI」は実施されました。
1月の大雪のおかげもありすっかり雪に覆われた新陽のグラウンド。もともと斜面があったり除雪で雪が集められていたりして、ほとんど手をつけずともグラウンドの約半分が雪遊びの会場になりました。
唯一、『アウトドア探究』の生徒たちが制作したのがイグルー(雪や氷のブロックを積んで作るドーム型の家)です。自衛隊札幌地方南部地区隊の隊員の方に指導していただき、4名程度が入れる大きさのイグルーを2つ作りました!
スコップで雪を持ってくる生徒、ひたすら雪を四角く固めて200個以上の雪のブロックを作る生徒、できたブロックを並べて接続部分が合うようにカットする生徒、上に積んでは隙間ができないよう雪で埋める生徒など、それぞれが役割分担して作業を進めます。
いつのまにかイグルー制作から離れ、雪山を掘って洞穴のようなものを作っている生徒も(笑)。
3日に渡り自衛隊の皆さんの力をたくさんお借りして、本格的なイグルーが完成しました!
きっかけは卒業生と先生の雑談
イグルーともう一つ、いつもの校庭にはない、人工的に作られたものがあります。今回の目玉の一つでもあるスノーボードのデモンストレーション用のコースです。
イグルーの雪のブロックの余りを活用してジャンプ台を作ったり、古い机や教壇をセッティングしたり、コースのセッティングをしに前日から来てくれたのは卒業生や在校生などのスノーボーダーたち。しかもトップクラスの現役の選手ばかりです。
実は、今回のイベントは新陽卒業生でプロスノーボーダーの濵田海人さんとの共同企画。昨年9月にNo Mapsでスノーボードイベントを実施したSNOW SMASHの方々にもご協力いただきました。
遡ること一昨年、2月に開催された北京オリンピックに出場しスロープスタイルで8位入賞した海人さんが母校に凱旋してくれたのは、帰国してすぐの3月1日でした。
その際、選手としての目標だけでなく、スノーボードで北海道を盛り上げたい、子どもたちにもスノーボードの楽しさを伝えたいという夢があることを語ってくれた海人さん。
そしてこういう時、話を聞くにとどまらず、〇〇さん紹介できるよ!こういう方法はどうかな?など具体的なアイデアがどんどん出てくるのが新陽の先生たちの特徴。しかもだいぶ前のめり(笑)。
さらに、学校でスノーボードのイベントできたら面白い!新陽のグラウンドならやれるんじゃない?!と話したあの日から1年11ヶ月、『アウトドア探究』担任の髙橋励起先生と植田祐矢先生、そして濵田海人さんによってそのアイデアが実現しました。
海人さんたちトップボーダーがダイナミックに滑ったり飛んだりするパフォーマンスに、会場は大いに盛り上がりました。
子どもも大人も校庭を遊び尽くす
かまくら(イグルー)やトップボーダーによるデモンストレーションのほか、そり遊びや、焚き火を囲みながら焼きマシュマロやホットココアを味わうなど、小さいお子さんから高齢の方まで幅広い世代の方が思い思いに過ごすことができたのも、今回のイベントの良かった点かもしれません。
そしてたぶん、いちばん多くの人が楽しんだのが雪板。SAM'S BIKEの皆さんが雪板を紹介し指導もしてくれたおかげで、初心者から上級者までグラウンド中を使って雪遊びできました!
事前告知は、学校WebサイトとSNSでのシェア、そして近くの澄川小学校・澄川南小学校・澄川西小学校・澄川中学校で配っていただいたチラシのみ。にもかかわらず、120名を超える方が遊びに来てくださいました。
来場者が予想を遥かに上回り、準備したマシュマロが足りなくなって買いに走ったほど。大盛況の中、『アウトドア探究』の生徒はそれぞれに役割を見つけて主体的に動きホスピタリティを発揮し、クローズ後もお客様をお見送りしたり片付けたり、みんな大活躍でした。
なお4校の校長先生にチラシを配っていただけないかお願いしたところ、みなさん快く「楽しそうなイベントですね!」と引き受けてくださって、とても嬉しかったです。また、後日いただいた澄川南小の石橋校長からのお電話によると、南小の先生や児童ご家族も遊びに来てくれていたそうです。
今回のイベントは、シラバス(授業要項)の「冬場のアクティビティと雪の有効活用」としての位置付けで、この学習活動の目的は「地域の方々と一緒に野外活動を学び、自ら体験することで、新しい価値を創造する」こと。実際「地域の方々に楽しんでいただけたのが良かった」というのが、関係者みんなの共通の感想です。
卒業生と先生のアイデアから生まれ、多くの方のご協力と生徒の頑張りによって実現した「新陽YUKIASOBI」。あらためて野外教育の大きな可能性を感じ、次の冬やさらには夏のアクティビティへ、既に企画が始まっています。