話すシーンで大事なのは聴く力 【週刊新陽 #106】
今年度が始まり2週目に入りました。
1年次の生徒は、中学校とは違う生活に戸惑う様子を見せつつも、新陽高校の制服姿がだいぶ板についてきたように見えます。2・3年生もクラス替えやハウス替えがあったり使用教室が変わったりする変化の中で、徐々に環境に馴染んでいるようです。
先週から今週にかけては個人面談週間。放課後、担任・メンターの先生が受け持つ生徒と一対一で話をする大切な機会です。
そこで今回の『週刊新陽』は、「話す」がテーマです。
個人面談で顔合わせ
企業で行われてる面談も、評価するためのものや成長を促す1on1などいろいろありますが、新陽の個人面談も時期によって目的を設定しています。
たとえば、3年生は『自主創造』を見据えて進路決定に向けた相談がメインですが、先生たちは生徒の「今」の話を聞くことも大事にしています。2年生は『本気で挑戦』をテーマに、自分の現状とありたい自分のギャップをモチベーションに変えるための対話を。1年生は、自分で考え決める力をつけていくために『自分を知る』ことがカリキュラムのベースとなるので、面談でも生徒の自己理解をサポートします。
とはいえ、年度始めの面談ではまずお互いを知ることから。先生も最初すこし緊張気味だったりもしますが、生徒一人ひとりの話を聞いて距離が縮まっていくようです。
校長、コメンテーターに挑戦中
実は昨年4月から、テレビ北海道(TVh)で毎週土曜日のお昼前に放送されている経済情報番組『けいナビ』に出ています。
『けいナビ』は、杉村太蔵さんがMCの北海道経済の応援番組。毎回道内のユニークな商品やサービスが知れたり経営者にお会いできたりするので、私自身すごく勉強になりますし、人生初のコメンテーターという貴重な経験をさせていただいています。
ディレクターさんたちが取材したVTRを受けてスタジオでトークするのが基本形で、さらにこの4月からは、太蔵さんや北大の平本健太先生、そして私が取材先に訪問するロケ回も始まりました。
事前に台本を送ってくださるので取り上げるテーマや流れは分かっていて、特集する企業のWebサイトや関連記事など下調べして収録に臨むのですが、本番でコメントするのってすごく難しいです。
要点が絞れずダラダラ話してしまったり、言葉がうまく出てこなかったり。(それでも上手に編集してくださるおかげで、放送ではなんとかなってます・苦笑)
特に最初の頃、収録前の打合せで話が盛り上がったのに本番で全然喋れず落ち込んだことも。打合せのやりとりで「〇〇と思います」とか「こういう事例があります」と答えると、プロデューサーさんから「ではそれでお願いします!」とOKをもらうのですが、いざ本番となった時に不思議と出てこないのです。
そこにアドバイスくださったのが太蔵さん。「打合せであまり話さない方がいいですよ!人間、同じことを二度言うのは難しいから」と。それ以来、打合せではすっかり無口になりました(笑)。
また、太蔵さんからは「赤司さんは雑談がおもしろい」と言っていただいたこともあり、本番中も雑談するぐらいの気持ちで、あまりコメントを考えすぎないように心がけています。むしろ、VTR内の話や太蔵さんや平本先生のコメントに意識を向けていると自然と言葉が湧いてくるので、自分が話すことよりも聴くほうに集中するようになりました。
そして今月から、北海道放送(HBC)の平日夕方の情報番組『今日ドキッ!』でも月に1〜2度、コメンテーターを務めることになりました。
生放送な上に幅広い情報を扱うため、けいナビとはまた違う緊張感がありますが、こちらもスタッフの皆さんが優しくて気を配ってくださるので、楽しくやらせていただいています。
インタビューのプロから学ぶ
今でこそ、校長として大勢の前で話をしたりコメンテーターを務めたりしていますが、子どもの頃は話すのは苦手で、社会人になってからもどちらかといえば人の話を聞く仕事の方が多かったように思います。
それでもいろいろな機会を得て場数を踏み、少しずつ話せるように。もちろん大事な場面で失敗したり、あとになって「こう言えばよかった」と後悔したりしたことは一度や二度ではありませんが、そういう経験も学びになっていると思います。
そんな中で、「私はこういうことが言いたかったんだ」とか「こんなふうに考えていたんだな」と自分の考えを整理できるようになったきっかけの一つがインタビュー。
新陽の取り組みに注目してくださるメディアのインタビューを受けることが時々ありますが、記者の方々の質問力には毎回感心します。かなり下調べされていることが分かる深い質問や、こちらが予想していなかった切り口からのハッとする問いを投げられると、自分のことなのに新たに発見した感覚になることも。
特に、昨年2月からNewsPicks Educationで連載されている『チームになる学校』の記事すべてをライティングしてくださっている三原菜央さんのインタビュー力はすごいです。
国内外の学校現場をたくさん知っている三原さんならではの客観的な質問もあれば、1年以上に渡って定期的に新陽の様々な先生から話を聞き、何度か学校にも来てくださっている伴走者としての目線の質問もあり、且つとても話しやすいので、インタビューされているうちに自然と話が広がるのです。
そしてそれが記事になった時、自分の言葉なのに自分よりも上手く、言いたかったことが表現されていることに感動します。(三原さんのインタビューを受けた新陽の先生たちみんなが同じ感想を持つようです。)
三原さんがまとめてくださった文章を読んで、あらためて自分たちの取り組みについて整理することができています。
ちなみに、1年超続けていただいたこの連載は来月(予定)で一旦終了します。最終回は、初回と同じメンバーで『学習する学校』の取り組みについて振り返りつつ、今後の展望を語る記事になる予定ですので、お楽しみに!
それから、最近はインタビューを受ける側の機会が多いのですが、これからインタビューする側にも挑戦します!しかも動画配信という自分にとって新たなジャンル。こちらもただいま準備中ですので、公開が決まったらお知らせいたします。
素敵な方々から貴重なお話が聞けますので、ぜひご覧いただきたいです。