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《卒業記念インタビュー》 主体性が問われる時代、自ら動けば道は拓ける 【週刊新陽 #99】

3月1日(水)、札幌新陽高校の第63回卒業式が行われました。

今年は226名の新陽生を見送りました。初代校長・水沼與一郎先生が掲げた「自主創造 この道は自ら拓くべし」という校訓のとおり、一人ひとり自分の道を進んでいってほしいと願っています。

新陽には、卒業にあたって表彰される皆勤賞や貢献賞など様々な賞の中に『一水(いっすい)賞』という独自の賞があります。

これは、水沼先生の雅号『一水』にちなみ名付けられたもので、『成績・人物ともに優れ、模範となる生徒のうち、校長が特に優秀と認めた者』に授与されます。

今年度の一水賞に選ばれた林あかりさんに、話を聞かせてもらいました。

未来を信じてくれる大人に出会った

-- 卒業おめでとうございます。新陽での3年間、どうでしたか。

まず、私たちに「コロナ」という言葉が付くことは確かです。高校3年間、最初から最後までコロナだった唯一の世代だと思います。でも、コロナ禍だったから(できなかった)という言い訳はしたくない。

コロナがあったけど色々できた、「本気で挑戦」し続けたと思います。

入学して2年間はオンライン授業も多く先生との対面での触れ合いは少なかったとは言え、自分からコンタクトすれば相談には乗ってもらえたし、課外活動も色々と参加できました。主体的に動けば、成長する機会は得られることが身に染みた3年間でもあります。

-- あかりさんは様々な活動に参加したり、自分から機会を作ったりして積極的なイメージがあります。それは以前からですか?

実は、もともと主体性が高いタイプではなかったです。

中学まではむしろ自信がなかったというか、2年半くらい学校に行っていなかったので、そういうラベルを自分に付けていて。不登校だった事実は変わらないしやってもしょうがない、自分自身の人生に関心がないような子でした。

それが、入学してすぐの面談で、担任の佐藤貫太先生が「あなたならできるよ」と言ってくださって。これが、自分の未来を信じてくれる大人との出会いです。

中学まで頑張ってなかった自分には何かができた証拠もできる根拠もないのに、信じてくれる人がいることは驚きでした。貫太先生の他にも自分を信じてくれる先生たちや大人たちと出会って、いつしか、自分でもできるのかもと思うように。

新陽に入って出会った人たちのおかげで、自分の人生にワクワクして、前に進むのが楽しくなっていったんです。新陽に通い始めてしばらくした頃、父に「本当に学校との相性がいいんだね。」と言われたのを覚えています。よほどイキイキしていたんでしょうね(笑)。

-- 未来といえば、あかりさんは海外進学を選びましたね。頑張ったことの中に英語もあったのでは、と思います。

最初はまったく海外に行くなんて考えてなかったんですよね。なんとなく、英語ができたらいいな、くらいの感覚で、英単語を1日10個覚えるところから始めました。海外進学とか受験のためではなく、自分のため、苦手を克服して過去を乗り越えるためにやっていたような気がします。

少しできるようになると先生たちが褒めてくれたので、モチベーションが上がって続けられました。海外進学を目指すことにして、エッセイを書いたりスピーチしたりも出来るようになりました。

応援し続けてくれた担任の佐藤貫太先生

大事なのはプロセス

-- そんな頑張りも認められての『一水賞』の受賞、おめでとうございます!選ばれた時の感想は?

とても嬉しかったです!受験の合否結果が出るより前に貫太先生から伝えられたのですが、大学の合格よりも価値がある、と感じています。

海外大学の場合、いろいろな書類を提出し多面的に見てもらえますが、それでも評価されるのは一部というか、ある時点での結果です。でも『一水賞』は、自分の新陽での3年間のプロセスが評価されたと思うんです。時間をかけて、私の内面や成長の過程を見てくださっていた先生方に選んでいただいたと思うとすごく嬉しいです。

私はうまく手際よくこなすタイプではなく、一回失敗しないといけない性格。一度やってみて「だめだ」となって、何がだめでどうすればよかったのか、色々考えて何度も挑戦しているうちにできるようになっていく感じ。壁にぶつかったときや悩んだとき、いろいろな先生が話を聞いてくれました。

そういう、うまくいかなかったことも含めて、そこからどう学んだかを評価してくださったんじゃないかな、と思っています。

-- この先、どんな道を切り拓いていきたいですか?

やりたいことというか、幸せにしたい人たちは決まっています。アプローチはまだ固まっていないのですが、中高生を幸せにしたい

だからキャリアのテーマは「教育」です。自分のクラスメイトたちのような中学生や高校生が幸せになるために、教育に携わりたいと思っています。

人それぞれ幸せの尺度は違う。その人が自分で幸せと思える状態が大事だけど、そうなっていないことも多いと感じてきました。みんなポテンシャルがあるけどそれをどう活かしていけるか、自分自身についても考え続けた3年間でした。

大学では教育学と心理学のダブルメジャー(異なる二つの分野を専攻すること)を予定。理論と実践を循環していくような大学生活を送りたいと思っています。

卒業式にて一水賞を授与

伝えたいことがありすぎる

-- 後輩や中学生へメッセージをお願いします。

まず伝えたいのは、「みんなの人生はみんなのもの。人生は人に決められるものでもなく、流されるものでもなく、あなたのもの。」ということです。やらない理由を決めるのも自分。だからこそ、できる理由(根拠)を探してほしい。

1年生の時、進学コース長の山西先生がオンライン集会で「やらされることではなく、やることを応援する」と仰ったのがすごく刺さりました。以降、自分も「やらされることよりもやることが好き」とよく言っています。

コロナ禍は主体性が左右する時代だと思います。コロナを「できない言い訳」にすることもできるし、みんなも「仕方ないね」と納得してしまう。その中で自分が動くか動かないか、主体性がとても大切。

受験においても、推薦入試や総合型では特に主体性を求められますよね。そのプロセスの中で自分と向き合うことから逃げないでほしい。心の声を正直に聞くことは自分の力になるから。

受験は結果がついてくるのがやっかいですけど・・・運や相性など自分の力だけではどうにもならないことはある。でも、過程を踏むことそのものは自分の選択でできるから、その経験を力に変えてほしいです。

学校も、待っていたら与えられる教育はなくなっていくと思います。やりたい人や助けを求めている人に必要な機会が提供されるようになるはず。新陽の単位制も主体性が反映されるカリキュラム。生徒が自分で選んだり行動したりする中で無意識に主体性が発揮される環境になっている気がして、すごくいいですね。

-- 同級生にも伝えたいことありますか?

とにかく同級生に救われまくった3年間でした。感謝してるし、尊敬してるし、応援しています!

一緒に頑張った経験の中で学びが広がっていったし、夢も形成されました。仲間たちをどうやったら幸せにできるか、ずっと考えていました。

対話を重ねる中でメッセージを受け取って変わってくれた子や、目をキラキラさせて話を聞いてくれた子、そういう子たちのおかげで私自身が気付くこともたくさんあったし、受験のモチベーションも高められたと思う。

他にない経験ができたのは同級生のおかげ。本当にありがとうと言いたいです!

-- 最後に、先生たちへ一言!

一言じゃ無理ですね(笑)。言いたいことがありすぎます!

まず、子どもたちの不確定な未来を信じることができる、同時に先生自身も不確定な未来に向かって歩んでいく、そんな大人たちがいる学校が家から通える場所にあったのは、奇跡としか言いようがないと思っています。あるいは運命かな。

だから出会いに感謝。新陽で働いてくれてありがとう、生きていてくれてありがとう、生まれてきてくれてありがとう、って感じです(笑)。どの先生も忙しいのに時間を作ってくださって、自分は恵まれていたなぁと思ってます。

挑戦の歩みを止めずにいられたのも先生の存在が大きい。できない理由はいくらでも探せたけど、できる理由を見せてくれるのは先生たちでした。そして先生方に支えていただいた3年間でもありつつ、そういう経験をもとに後半は自分の力で走れたことも自信につながりました。

これからも歩みを止めるわけにいかない、止めたくない、って思ってます。新陽の先生たちはすごいスピードで走ってる。自分も負けずに同じくらいのスピードで走りたい。変わり続ける大人に、私もなりたいです。

まだまだお伝えしたい感謝や尊敬の念はありますが、あとは直接、これからの人生で示していきます!

【編集後記】
夏にはアメリカの大学に進学予定のあかりさん。教育への想いがあり、2月の家庭学習期間は東京や高知の学校に行ってワークショップを企画・実施していたそうです。渡米まで学校現場に関わりたいと話していたので、ぜひ新陽にも来てもらおうと思っています。在校生や新入生の皆さん、お楽しみに!

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